憧れの富士さん
くみ丸  
●え?!私が富士山?!
かなりのお年頃(…)まで関西で過ごした私にとって富士山は永遠の憧れでした。
たまに関東へ出向く時、新幹線の車窓から富士山が見えるか見えないかは一大事。
見えたら大吉、見えなかったら小吉…的自分おみくじ。就職活動や引越しの準備で上京した際に車窓から見た富士山にどれほど勇気付けられたか。

そんな富士山、まさか自分が登るなんてこれっぽっちも思っていませんでした。
いくらなんでもそれはね、みたいな。

だからドリームメーカーのメンバーが登頂したと聞いたとき、うらやましいなぁと思ったけど、それでもどこかひとごとでした。私にはムリです、と。しかしながら機は訪れる。
もともと山には登りたいという趣向を持っていたところへ低山のトレッキングや10km超の街歩きを経、私ももうちっと鍛えれば登れるかもねーなんて冗談で言ってたのが本気モードになり、お誘いを受けた時点で即座に「登ります!」って返事してました。ワカメはかなり心配していましたが。“山をナメたらアカン”と。

そして8月某日。その日がやってきました。

メンバーはドリメの大将・トラさんと若頭のボブ、そして私とワカメ。
富士宮ルートから上ります。スタートの標高2400m。

登頂前日。荷造りは済ませてあるので、晩ご飯&お風呂のあと出発。
23時半ころには富士宮口新五合目に到着。
お盆の時期はマイカー規制が行われているけれど、係員の方に障害者手帳を提示すれば通してもらえます。おかげで登山口に一番近い駐車場に車を止めることが出来ました。これ、すごい助かります。ありがとうございます。
車の後部座席をフラットにし、簡易寝台を作って仮眠。車に当たる雨音を聞きながらいつの間にか寝てました。人生初の車中泊。思ったより快適に寝られることを発見。
登山当日
4時起床

トラさん・ボブたちも夜中に着いて仮眠をとっていた模様。カセットコンロでお湯を沸かしてコーヒーをいれ(標高が高いのでお湯が沸騰しない)、サンドイッチの朝ごはんを摂ったあと登山準備。
この時間は寒くっておまけに雨も降っていたのでフリースの上から雨具を着ました。
5時過ぎ、いよいよ登山開始。
五合目からトイレは有料制です。100円払いました。

〜六合目

なんだかとても緊張してました。心拍数が高かったのは高度のせいではなくタダの緊張。
「富士山に嫌われたらどうしよう!」ってそればかり考えていた気がする。
いつも遠くから見ていた富士山。永遠の片思いだと思ってたけれど、少しでも側に近づくことが出来るのなら…(ドキドキ)。
足はともかく一番怖かったのが高山病。低気圧に弱い偏頭痛持ちなのでそれが一番心配でした。
なので呼吸も深呼吸を心がけ、6時過ぎに六合目へ到着。
標準では20分で行くらしいですが、4倍くらいの時間をかけてたどり着きました。
かなりおっそいペースですが、後にこのペース配分が功を奏することになる…。

えっちらおっちら登るの図
撮影:ワカメ
身体も温まり汗ばんで来、晴れてもきたので雨具やフリースを脱ぎ、長袖のラッシュガードに化繊のTシャツスタイルに。トイレは200円。洋式トイレがあってよかった!

雲海。すごい綺麗。
撮影:ワカメ
〜新七合目

七合目には新と元祖があるというのは予習済み。とりあえず今回は目指せ七合目。
新じゃなくて元祖の方。
義足での登山では、基本義足の膝は使いません(私の場合)。一歩ずつ進みます。
健足を一歩出して義足を健足にそろえる。いわゆるチャペルでの結婚式でバージンロードを歩くときの歩き方といえばいいでしょーか(私は仏式だったので歩いてないけど)。
断端を振らないので義足の方は全然疲れません。時間はかかるけど仕方ない。
ゆっくりと進みました。
途中休憩し、こまめに水分と栄養を補給。そして深呼吸。ちょっと頭痛がし出したので、余計意識して深呼吸をしていました。酸素も吸う。これ以降休憩の度に吸うようにしました。
7時過ぎに新七合目に到着。斜面で滑った際にソケットに空気が入り合わなくなったので、トイレで装着しなおす。めちゃくちゃ汗が溜まってました。
深呼吸とストレッチをして元祖を目指します。

新七合目
撮影:ワカメ
〜元祖七合目

新から元祖まで結構長かった気がする。休み休み登って9時半ころ到着。
意外と元気。ここで終わる気がしない自分。恐れていた高山病も“気のせい”程度の頭痛でおさまっているし。
見上げれば八合目がすぐそこに見える。距離にして570m。なんだ、行けそうじゃんってことで上を目指すことに。小さいおにぎりを食べストレッチをした後出発。

大変です! 倒れてます!

元祖七合目に到着、浮かれるの図
撮影:くみ丸 撮影:ワカメ
〜八合目

すぐそこにあるはずの八合目が遠かったんです。
そして岩・岩・岩! しかも道が狭いので登る人・下りる人で渋滞する。
気が焦る。今日は人が少ないけど、多いともっとプレッシャーを感じると思う。
お互い様なので誰も文句は言わないんだけど、こっちの気持ちの問題で…。
這い上がるといった感じでのぼり、八合目に到着。着いたときはかなりへばってたのですが、おにぎり食べて休憩したら身体がリセットされました。
ワカメは全然疲れてないそうで、頂上まで行っちゃいそうな雰囲気。日帰りは流石にムリなので九合目の山小屋に電話してみると今夜の宿泊は可能らしい…。
とりあえず九合目まで行って考えるかってことで、出発しました。

〜九合目

比較としては八合目よりはラクでした。でも途中で気持ちがちょっと折れそうになった。
このときから「さっき登った八合目を無事に下りられるのか?」という不安が心の隅っこに居座り出す。下山してきた人に「えらいなぁ(=しんどいなぁ)、その調子やったら天辺まで2時間半かかるで」とか声をかけられながらも(余計なお世話やねん!)登り続けそして12時半頃、九合目に到着! 登山開始して約7時間。ついに来ました。

萬年雪山荘の前にて
撮影:トラさん
おにぎりを食べるほどお腹が空いている感じはしなかったので、プロティンバーとお菓子をちょっと食べ、この後どうするか思案。
休憩すると復活し、頂上まで行けそうな気がしたけどそれだと日帰りはムリ、宿泊する準備もしていなかったし、行き当たりばったりで泊まるよりは、最初の計画通りここで下山し、改めて宿泊登山の計画と準備をしてから臨もうってことで勇気ある(?)撤退を決めました。
登頂は出来なかったけど、私の心の中は充足感で一杯。次回の目標も出来たし、頂上を諦めることに関して心残りはまったくなかったです。それよりも八合目からの下山が心配で…(笑)。
下山へ
そして13時半過ぎ下山スタート。トラさんは下山に5時間かかると予測。
ビンゴだったんだけど。登りも予測時間ぴったりでオドロキ(笑)。

いやー、下山の方がきつかった。義足を先に出すわけでしょ。フラットな足場を探し、健足をどこにおろすか考えて一歩一歩進むわけで。九合目を下り始めてすぐ右足の太ももにキました。
ここでよぎるのが、箱根駅伝の映像。難所のペース配分を間違えて足がガクガクフラフラになりながらたすきを渡す選手の映像が思い出され、「ヤバイよ、ヤバイよ」と思いながら下山してました。
気づけば渋滞の先頭になっているので、横によけて先に下りてもらいつつ。
それでも何回か膝折れする場面があって冷や汗をかきました。
膝折れしてこけようものなら、死ぬもん。絶対。

そして恐れていた八合目からの下山。
「登れたんだから下りられないはずはない」と言い聞かせ、
冷静・ゆっくり・安全を唱えながら下りました。岩場ではストックを片方だけ
持ち、岩に手をついて座りながら。格好悪くてもいいんです。安全が第一ですから。
元祖七合目に着いたときはホッとしました。
格好なんてつけてられません。
座って下りることもしばしば。
撮影:ワカメ
…距離的にはここからが長いんですが。

七合目あたりからガスってきて視界も悪くなり、日没のタイムリミットも迫っていたので焦りました。

水滴が髪につきます
撮影:ワカメ
新七合目あたりから下山時の義足の使い方も分かってきた感じ、下り始めよりはスムーズにいけたと思います。
新七合目から六合目まで長かったなー。山小屋が見えないのもあって、どこまで行ったら着くのかめどがつかなくてしんどかった。右足もプルプルしているし。
ようやく六合目の小屋が見えたときはホッとしました。
しかし。ジグザグに下りるので、見えてもそこからが結構遠いんですよね…。

それでもふと顔を上げるとこの景色
撮影:ワカメ
登りに比べて下山時の休憩は短かったです。一旦座ってしまうと立ち上がれない気がしたので、山小屋でもトイレなど済ませるとすぐに出発しました。

ここら辺までくると下山のペースや歩き方も分かってきたような…(多分)
撮影:ワカメ
六合目から五合目もそう。六合目に着いたのは18時頃、水分補給をしてすぐに下りました。
ここの道はめちゃくちゃラクだったー。義足の膝も使えるし、普通に歩ける場面も多かった。
でも確か登ったときはすごくキツかった記憶があるんだけど…。九合目まで行って帰ってくると、六合目から五合目の道はフツーのハイキングコースに感じられるものなのだろうか?

そして登山開始から13時間以上経った18時30分過ぎ、無事に新五合目の駐車場に到着しました!!
駐車場へ下りる階段でコケました。最後の最後で(笑)。
下界へ下りて、思うこと
いつも遠くから見るだけだった富士山にまさか自分が登るとは思ってませんでした。
前日になってもすら、「ほんとに私、行くのかな富士山」なんて思ってた。
頂上にはいけなかったけど、充足感で一杯です。これがもし天辺まで行ったとしたら…どれだけ感慨深いでしょう。次回は是非入念な計画を持って挑みたいと思います。
私に歩幅を合わせていたワカメは最後まで息切れすることなく元気でした。
普段何もスポーツをしていないのに高山病にもかからず下山できたのは、超スローペースな私に合わせて登ってたからかも。

後からくる人に追い越されながら、先行くトラさん・ボブに申し訳ないなと思いつつも物理的にペースを上げるのがムリだったので、登りは終始自分のペースで行けたのが良かったと思います。
途中で右足が張ってきたら躊躇なく休憩。チョコレートやドライフルーツなどで栄養を補給し、水分もこまめに摂りました。なかでも一番効いたと思うのが
こちら。http://www.meiji.co.jp/health/p-plus/jelly/ 【2009/10/14時点のリンク】
これ、とてもいい働きをしてくれたと思う。ワカメも同意見。次回からはこれを一人2つってことで意見が一致。

義足のソケットをこまめに付け直すことも重要。面倒くさいんだけどね。断端を振らないとはいえ汗はかくので、滑った時にソケットに空気が入り半抜けみたいな状態になります。すぐに空気を抜いて調整するんだけどやっぱりちゃんと装着しなおした方がいい。どんな小さなリスクも早めに対処しておくことが大切だと実感しました。

事前に富士登山ガイドや登った人のブログなんかを読み込んでたのも参考になりました。経験者が書いてくれてる「コツ」が本当にその通りだと思います。
思った以上に軽装の人(タンクトップにペタンコサンダル、ジーンズの人など)、若い人が多かったです。
そんな格好で登れるならそれはそれですごいんだけど。今年も富士山で死者が出ているし、山をナメたらアカンです。

下山は登りほど休憩&水分を摂らなかったので、五合目に着いたときは軽く気分が悪かった。
酔ったみたいな感じになって、晩ご飯があまり食べられなかった。食べたら吐きそう…みたいな。
下山だし…って油断したのが悪かったみたい。ちなみに水は登り八合目の時点で500mlのペットボトル2本とも空になり、九合目でワカメのを少し貰い、八合目で1本買いました。それに引き換え帰りは500ml1本も飲まなかったからなぁ…。
頂上まで行くとしたら500ml4本は要る。

あと持って行ってよかったなと思ったのは100均で買ったアウトドア用のウレタン座布団。休憩するときに岩場に直接座るとズボンが破れるのですが、このおかげでかなりラクに座ることが出来ました。

持っていったらよかったなって思ったのがプラスチックのコップ。
魔法瓶にお湯を入れて行き、八合目でコーヒー、九合目でインスタントのお味噌汁を飲みましたがステンレスのカップを持っていってたのでかさばって荷物になりました。…って持ってたのはワカメなんだけど。
私のザック(30L)には雨具、フリース、長袖シャツ、座布団、500mlペットボトル2本、おにぎり3つを入れてました。
最後に
行ってよかった、と心から思う。次回は頂上まで!って目標も出来ました。
今になって冷静に考えてみたら、やっぱ九合目から頂上って遠い。厳しい。
今の私じゃ登りきるには何かが足らない。と思う。
次回も楽しめるようにトレーニングしないと。
怪我無く事故なく戻ってこれたのは見守ってくれたトラさん・ボブ・ワカメのおかげです。
感謝です!! ホントーに有り難うございました!!!
DATA 【この足で登りました】
ソケットはアイスロス(ピン式)
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膝はインテリジェント膝
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足部はトータルコンセプト
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