四軸インテリジェント義足膝継手
製造元:株式会社ナブコ アシスト製品部
概要
この製品も、基本的にはNI-C111(単軸)と同様に、膝から上の切断によって、膝の機能を失った人のためのもので、マイクロコンピュータによる遊脚期の自動制御で、自然な大腿義足歩行を実現します。

NI-C111との相違点は、左写真のように、膝軸にあります。NI-C111は、軸が一本であるのに対して、これは4本のリンクバーで構成(4軸)されていて、より生体膝軸に近い自然な歩行を実現していることです。

また、膝伸展補助機構を採用することで踵接地時の完全を実現して、下り坂や階段下り時の膝折れを防止します。そして、メーカーが大きな特徴として、単軸膝と比較したときに、つま先離れ時の下腿長の1%ほど短くなり、つま先が引っかかりにくくなるとしています。
単軸膝の適応は、中〜高活動者ですが、この4軸膝は、低〜中活動者向きです。これは幾何学的に解析してみると明らかになることですが、単軸膝と比較して、少ない筋力で立脚期の安定が保たれ、膝折れをしにくい構造となっているからです。

この膝も、単軸同様にナブコ同社の取り扱い講習を受講した義肢装具士がマイコンへのデータ入力を行う必要があります。

装着者の感想

以下は、夢人島に寄せられた装着者の感想です。

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新しい義足ですが、使えば使うほど良さが分かってくる感じです。
昨日は、前の義足のイメージからなかなか抜けられなくておっかなびっくりでしたが、少しずつ慣れてきています。

まだ様子をうかがっている感じは抜けませんが、今のところ裏切られた感じは、全くありません。それどころか、スーパーでゆっくり買い物をしている時や、道をどんどん歩いている時など、「あっ、これかな!」という感覚があります。
やはり、12年の歳月は、目覚しい進歩だったのですね!

まだ自分のものにするには、少し時間もかかりそうですが、うすGさんにきれいに歩けるよう、練習の仕方も聞いてきたので、単なるブランド義足にならないよう、しばらく意識して歩こうと思っています。

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鈍さんこんにちわ。S.Uです。久しぶりに投稿します。
 今日、待望の4軸の仮あわせに言ってきたので少し詳しく報告したいと思います。
これから4軸を試そうと思っている方にも、何となく分かる、と思っていただけるよう小説風に書いてみました。

 T弘済会に着くと、いつものように待合室へ。缶コーヒーとタバコでくつろぎ、新しいやつを待っていました。
若い女性の先生(というのか、とりあえずそう呼ばせていただきます)が私の物と思われる義足を持って待合室に現れました。Uさんいらっしゃいますか。はい私ですと言うと、こちらに大事そうにかかえて来ました。
見るからにハイテクっぽいブラックのLegで、これは性能がよさそうだと一目で気に入りました。手に取って眺めてみると、4軸のシャフトとエアシリンダ、これらを被う黒いグラスファイバーの外装がいかにも
メカニカルな美しさを醸し出しています。それに思いのほか軽い。これはいいぞ。新しい自転車を手に入れたときのあの感覚です。ちょっと着けてみてください。私はおっかなびっくりLegをベンチに立てかけ、さっそく装着していた今のLegを脱ぎ、新しいLegのソケットを取りだすと、あわただしく装着しました。2重ソケットの外側は今までの茶色の硬いものからポリプロピレン風の半透明のものに変わっていました。今までのより柔らかめでいいね、と言うと、最近こういうのになったんです。と少し分かりにくい答え。まあいいやと思い、立ち上がると、注意しながら少し歩いてみる。

 今までの3R-15に比べるとなんだかふわふわした感じでたよりない。「少し歩いて慣れてください」、と先生。
廊下をパンツ一枚で数回往復した。今日は少し寒いな、と思いつつ、4軸の動きを把握しようと、自然に懸命に努力している自分に気がつく。やはり3R-15と全然違う。怖い。かかとを付けるタイミングと伸展するタイミングがなかなか合わず、膝折れの心配が先に立つ。それとソケットが少し大きめで不安定な感じ。

 ちょっと一服と、タバコを一本取りだし、ベンチで火を付ける。中央線がゴーと音を立てて通過した。15年前にここで1ヶ月近くお世話になった日々が思い出される。鹿児島から来ていたY爺さん、元気かな、大洗のヤクザ風の刺青のおじさんもどうしてるのか。などと回想に耽っていると、S先生。「どう?」と言いながら待合室に入ってきた。「少しソケットがブカブカして大きめなんじゃないですか」、と言うと、「Uさん太ってきたから、大きめにしたんだよ、すぐに足が腹と同じように太ってきてちょうど良くなるよ」。と皆の前で大声で説明してくれた。確かに、今のソケットはしっくりしているが、少し長く歩くと、足の先に血がまわらないのではないかと思われるようにすぐに疲れてくる。大動脈の部分を押さえつけているのかもしれないな、などと納得した。

 S先生は、「今、N社の人がコンピューターの定数を設定してくれるからそこで待ってて」、と言い残して事務所に戻っていった。数分すると、N社の技術屋さんが手にコードの付いたコンピューターを持って待合室に現れる。「Uさん、今から定数を決めますので、廊下でゆっくり、次ぎに普通に、最後に早めに歩いてみてください。このIntelligentは8段階のオートマチックトランスミッションのようなもので、遅い、普通に、速く、と3つの数字を決めてやると、間の条件は中のコンピューターが自動的に計算してくれます。」と、新しいLegの後ろにあるソケットにコードを取りつけ始めた。「足を振ってみてください、定数を変えるとどうなるか分かりますよ」と、N社の技術屋さんはコンピューターに数字を入力し始めた。足を振り出すときの抵抗感がみるみる変わるのが分かる。「これはすごいぞ」とまたも感心。実際に遅く、次ぎに普通に、最後に早足に歩きながら、私の後をN社の技術屋さんがコンピューターを見ながらついてくる。歩き出してから、速度を上げていくと、Legはちゃんと抵抗感を自動的に上げながら着いてくる。またゆっくり歩くときに今までだとスコーンスコーンと蹴るような歩き方になるのが、これはしなやかに寄り添ってくる。よくデパートなどで品定めするときのあのスピードが、このLegなら出来る。それに何となく力を入れなくても自然に歩ける感じがする。

 数字の設定が一先ず終わった。今日はここまで。2週間後にコスメティックを付けて完成だ。
 N社の技術屋さんと夢人島の話。結構有名なんだなあ。

 新しいLegを脱いで、古いのに付けかえる。重い。歩きにくい。たった一時間強の装着だったのにいつのまにか完全に慣れてしまい、古いやつが一層古く感じる。2週間後は私の都合で、会社を休まずに済ませるには土曜しか来れないと思ってそう決めてしまったのだが、会社を休んでも早くしたい、と後悔した。

 4軸は昨年のニューモデルだそうで、耐久性は大丈夫なのかなど、これからの心配はあるが、まあいいじゃないかという気になったのも今日が初めてである。Ottoの3R-60の方が良かったかな、などとも思わなくも無い。だいたいドイツの製品はカメラでも車でも頑丈で長持ちする。メード、イン、ジャパン、期待を裏切らないで欲しい。

 今、自宅に戻り、パソコンに向かってこのImpressionを書きながら、あの装着感を反芻している。
S.U  

ご注意

この義足について、製作などの相談は、担当の義肢装具士になさるのが良いと思います。
参考文献: 鉄道弘済会東京身体障害者
福祉センターの現況について
インテリジェント義足膝継手
ご使用の手引き (株)ナブコ
文責: 宝亭鈍騎