田植えにはおにぎり

　　田んぼのわきに大きなシートが広げられ、おにぎりが届く。田植えにはおにぎりがつきものだそうだ。たいして働いてもいないのに、おにぎりでほっと一息つく。お酒も、「蔵一番しぼりたて」「純米大吟醸赤磐雄町」「赤磐雄町（生）」と届く。酒好きから歓声が起こる。つまみには、田村杜氏の育てたわさびと、酒一筋の酒粕で作ったわさび漬けが出る。これがまたうまい。参加者によるバーベキューも始まり、炎天下の宴会が始まる。田村杜氏をはじめ、お蔵の人からいろいろと聞くチャンスである。
　　田村杜氏は、皆の質問に答え、米造りの話、酒造りの話と熱弁をふるってくださる。
　「この田んぼでとれる雄町は一級品です。この田んぼで良い雄町をつくらずに、他の田んぼに良い雄町をつくってくれとは言えません。」
　「稲穂が出てから肥料をあげると米に窒素が残る。」「稲穂が出たらもう根は育たない。稲穂が出る前にしっかりと根を造らないと」「土壌が硬いと根は横に伸びる。」「酒も米もスタートラインに立つ前にきちっと準備をしないと美味く造れない。」「鑑評会のお酒は８頭身の美人、わたしは６頭身位の方が好きだ。」

　　バーベキューの肉も焼き上がる頃、ウクレレを手に、ハワイアンを歌う参加者が出たり、川に飛び込み涼をとる者が出たりと、盛り上がる一方である。手足は日焼けで真っ赤になっている。この楽しさの代償にしては安いものだ。