〜 旬の肴あれこれ 〜(海山便より)

虎魚> < 木の芽
鰆(さわら)> < 天然帆立貝> < はたはた> < たかべ> <> < 南瓜豆腐
飛魚> <> < 蓴菜> < のれそれ> < 稚鮎(小あゆ)> < 蚕豆・空豆
白魚(しらうお)と白魚(しろうお)> < 愛魚女> < 甘鯛・ぐじ> < 赤むつ・のどぐろ> < 鮭新巻き
喜知次(きんき)> < かぶら蒸し> < 秋鯖> < 生筋子> < 穴子> < こはだ> < 秋刀魚
> < 鶏魚> < 旬魚針魚> < 春の初鰹> < 春告げ魚“目張”美味> < 早春の山菜

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虎魚

おくし(有明海)おくじ(秋田男鹿)おこじょ(北陸)おこじん(広島)やまのかみ

  和歌山や宮崎の漁師が山の神にそなえて、豊かな漁を祈ったという。山の神は、自分より醜いオコゼをみて、喜んだそうだ。こんな話が伝承するほど、オコゼの姿は特異で、おまけに背ビレには、猛毒を持っている。しかし、店の水槽のオコゼは、泳ぎ方といい顔といい、とても愛敬がありユーモラスである。夏の白身の刺し身としては、フグに負けない旨さがある。また、油との相性が良く、唐揚は魚の中でいち番旨いといってもいい。皮の湯びき・胃袋・肝をゆでて冷水にて冷ましポン酢でパクリ、冷たくひやした満寿泉涼をゴクリ、幸福感じるよね。(皐月・海山便りNo.30より)

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木の芽

  春先から出るさんしょうの木の芽(若芽)です。すりつぶして白味噌とまぜ、木の芽和えにしたり吸い物の香りに使ったり煮物、炊き合わせ、焼物にも用います。栽培ものは一年中出回りますが、わりと高価で料理屋へ行かないと出会えません。爽やかな香りです。(皐月・海山便りNo.30より)
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鰆(さわら)

  どちらかというと、関西以西での利用が多く調理方法も、土地土地で工夫されています。瀬戸内地方、特に四国側では、これを春告げ魚と呼ぶように、春の魚だから鰆と書くが、名前の由来は、細くスマートな体形、すなわち、狭腹からきている。関東では、相模灘と房州ものが冬から春まで最高のものとされます。脂肪があるのに、味は軽く、淡泊なので、どんな料理も向くさかなで、西京味噌漬けなどが、ポピュラーな肴ですよね。関東では、あまり刺身にしませんが、鮮度の良い鰆は生でも旨いものです。また、カツオのたたきの様に、皮目を焼いてぽん酢も美味しいですョ。
  この時期、スーパーなどで40cm〜60cmの物が安く並びますので試して下さい。海山では、1mもの約2kクラスのものを使って、刺身、寿司、大吟酒粕漬けなぢ造ってます。酒粕があれば旨い焼物が出来ます。まず鰆に軽く塩を当て、身をしめるとともに臭みを取ります(38分位)。酒粕は、固ければ、酒3、みりん1でやわらかくします。白味噌を一割くわえて、漬床を作りさわらの水けをふき取りそのまま漬けます。冷蔵庫で一日寝かせれば食べられます。3日〜4日大丈夫です。新酒と会わせると旨い!!(初月・海山便りNo.28より)

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帆立貝(天然)

  一年中どこでも食べられるほたてですが、かつては豊漁と不漁の差が激しく、高値を呼ぶこともありましたが、近年、養殖技術の確立もあり、安定した値で売られています。天然物は殻が厚く丸みを帯びた反対側が色濃く、平らなのが特徴です。この時期大きい物は、白子、卵巣を抱えています。刺身はもちろん殻ごと焼いて醤油をたらし熱熱をパクリ、香ばしさと共に帆立の甘みも旨い逸品です。貝のひものコリコリとした食感もいい。
  海山では、洋風焼もします。牛乳、小麦粉、バター、白味噌を加え、白ソースを作ります。帆立を切り分け、バターで焼き、菜の花、筍もいっ緒に炒め、白ソースで和え、殻にもどし、パルメザンチーズをふり天火で焼きます。女性の方に好評です。酒は、今の所、酒一筋の大吟醸にごり、合いますよぉー。にごり酒なのにキレがバツグンの辛口酒です。(弥生・海山便りNo.29より)

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はたはた

  鰰は雷の神を意味し、はたはたは雷が激しく鳴るときに海辺に集まる魚を表す。
  身も美味だが、ぶりことよばれる緑色の真子は、歯ごたえのよさととろみのある独特の味が珍重されています。平成四年から三年間主産地秋田では、禁漁しました。江戸時代にもこの魚の繁殖を助ける目的で、卵の採取を藩主が禁じたため、密漁者がぶりの子と偽ってとったので、ぶりこと呼ばれるようになったといいます。産卵期の冬場になると、接岸し、水深2〜10mの藻場にきて産卵しましたが、沖合にいる魚をも底びき網で漁獲し、湾岸整備の名目で藻場も荒らされ激減。そして禁漁ということになるのですが、多くの魚がそうであるように、何か腹の立つ、何かムカムカと怒りを感じるのは、私だけでしょうか。
  旨い魚が喰いたい、旨い酒を飲み続けたいと思う時、何かえたいのしれない大きな黒いものが、どんよりと頭の中にモヤモヤとうかぶのです。スカッとしないのです。今年はこのハタハタ、ぼちぼちと河岸に並びますが20cm位のものは、一尾5〜6百円なんて値がついています。責任者出て来い!!なんて吠えたい気持ちになりますね。旬の魚、本当の旨いものは、どんどん高くなってしまいます。悲しいことです。(秋から冬へ・海山便りNo.27より)

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たかべ

  別称しまうお(熊本)、しゃか(和歌山)、べんと(高知)、ほた(鹿児島)、他にあじろ、いぼち、とこや。
  日本海の中部以南、相模湾から九州東岸にかけての岩礁帯にすむ日本特有の魚。20cmまでの小型魚で以前はあまり上等な魚とはされず、市場でも安値であったが、近年は比較的高級魚として扱われています。全体に青緑色で頭の小さな魚です。ちょうどイサキのシーズンの終わるくらいから型も良くなり脂ものってきます。伊豆から伊豆七島近海で水揚げされ、日本海にはいない魚です。身がやわらかで脂のたっぷりのった魚なので、焼きものに向きます。特に、ひと塩して干すと抜群の味です。諏訪泉の強力原酒の仕込水ロック(氷)で、やりたいですね。磯魚特有の癖も、するする流して、箸の進むこと受けあいです。(夏から秋へ・海山便りNo.26より)

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鱸(すずき)

  夏魚の代表格で、良質の白身魚として高値で取り扱われ、東京市場では、両国の川開きの時期に特に値が高くなるといわれています。ぶりと同様、成長時期に応じて呼び名が変わる出世魚で、一般に25cm前後の一年魚をせいご、30cm〜60cmくらいまでをふっこ、それ以上のものをすずきと呼びわけます。さらに5〜6cmのものをこっぱと呼びます。活魚か活けじめの状態で市場に並びますが、洗いにするには身が活きてないと作れません。氷水の中で身がちりちりっとはぜる様に洗います。さっぱりと梅じょうゆなどで頂きます。この辺りでは、三陸、常磐産の夏ものが特に上物とされています。淡白で上品な味わいをもつ白身魚で料理用途も広く、刺身、椀種、焼き物、煮物、蒸し物のほか、あらは潮汁やちり蒸しも旨い。酒一筋備前シリーズで彩色試すのも楽しいし夏のねばった口中に寒椿(梵)も良いと思います。(夏から秋へ・海山便りNo.26より)
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南瓜豆腐

  夏になると毎年海山では南瓜豆腐を作りますが、好評なのでマル秘作り方教えます。かぼちゃ1/4をまず蒸します(竹串が通るまで)。だし250ccを火にかけ濃い目の吸い味を作り冷まします。フードプロセッサーにかぼちゃを入れ、吸い地を少しずつ入れて混ぜます。ボールに移し玉子を5個入れ、ときほぐし裏漉しします。面器かパッドなどに入れ蒸し固めます。とりひき肉をだし7、味りん1、しょうゆ1、水溶き片栗粉であんを作り両方冷たくしてあんをかけて頂きます。(夏から秋へ・海山便りNo.26より)
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旬魚飛魚(とびうお)

  暖海性の魚で、文字どおり空中を飛びます。とびうおの仲間は種類が多く、春とびと呼ばれる。八丈島でとれるはまとび、初夏から出回るほんとび、九州、山陰地方で干して出し用で使われる、ほそとび(干しあごと呼ばれる。)下関地方で角とびと言われるつくしとびうお(この幼魚の干物もだしあご)と呼ばれる。ゴールデンキャビアという、とびの卵を塩蔵品として、フィリピンやインドネシアから輸入され、とびことして、寿司種や、料理のあしらいに使われています。八丈島名物のとびのくさやは、ほとんど、はまとびうおです。鮮度の良いものは刺し身がいち番です。塩を当て、風干しの干物、焼きもいいし、包丁でたたき、つみれにして汁物にしても美味しいですよ。割と安く手に入るのでこの時期試して下さい。(皐月・海山便りNo.24より)
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旬魚鯒(こち)

  こちは、鮃を細くしたような形で、底魚であるため砂泥底にいるとほとんど見分けがつかないそうです。身じまりが良く白身の中でも非常に美味しい魚です。市場には野じめのものと活魚とが入荷しますが、活魚は野じめの倍以上の高値で取り引きされています。これからの時期、洗いや薄造り、昆布じめ、甘み、歯ごたえ共に絶品です。ちなみにめごちと普通呼ばれているのは、ネズツポ科の別種の魚です。(皐月・海山便りNo.24より)
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旬菜蓴菜(じゅんさい・スイレン科)

  つるりとしたのどごしが涼味あふれる素材です。万葉の時代から食用とされていたそうですが、保護管理が十分でないため自生地が少なくなっている状況です。若い巻いている葉をひとつひとつ摘みとっています。ゼリー状の粘液でおおわれた一番芽がもっとも味が良いとされ高値で取りひきされています。海山では鰹出しをきかせた土佐酢で冷たくして、お出ししています。お酒の合い間にさっぱりしていて良いつまみだと思います。(皐月・海山便りNo.24より)
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旬魚のれそれ(穴子の稚魚)

  あなごの稚魚は、白く透き通り、平たい体で、5〜6cmほどで、生臭みはまったくなく、つるっとしたのどごしのよさが身上です。冬から早春にかけて、沿岸近くを移動しているのを捕獲するのですが、詳しい生態は良く分かっていません。高知と岡山の郷土料理ですが、ここ数年、早春の珍味として、良く出回っています。岡山では、べらたと呼ぶそうです。ぽん酢でつるっと頂きます。(卯月・海山便りNo.23より)
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旬魚稚鮎(小あゆ)

  海で冬を過ごしたあゆの稚魚は、4月頃6〜7cmになって生まれた川をさかのぼります。6月頃からそれまでの肉食をやめて岩についた藻を食べるようになります。その頃が塩焼きの鮎の旬の始まりというわけですが。この時期に市場に小あゆが並びます。このあゆは琵琶湖産です。環境やえさとなる藻類の少ないことから、成魚でも6〜7cm止まりまでしか育ちません。でも琵琶湖のあゆは、一般の河川に移すと普通のあゆと同じ大きさに育ち、養殖用、各地の放流用として重要な資源となっています。磯辺揚げや、筍といかだ串にして、木の芽味噌田楽にして頂きます。(卯月・海山便りNo.23より)
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旬菜蚕豆・空豆(そらまめ)

  他の豆類と違って空に向かってさやをつけるので、この名があります。また、美の形が蚕に似ているところから蚕豆と読ませたりします。原産地は遠くアルジェリアの北アフリカで栽培の歴史は古く古代のエジプトやギリシャの遺跡から発掘されているほどで、日本でも8世紀に試作の記録が残っています。若ざやのものは、ビタミンCを多く含みビタミンB1・B2、カルシウムと、栄養価の高い食品です。早春に鹿児島から始まり、西南暖地からだんだん北上し、7月頃の宮城の出荷が最終です。海山ではさやから出してゆで、美味しいだしで含め煮にしています。(卯月・海山便りNo.23より)
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白魚(しらうお)と白魚(しろうお)

白魚(しらうお)   姿、大きさは、違いますが、さけやますに近い魚で産卵期になると海から川へのぼり一年で成熟します。かつて隅田川の水がきれいだった頃には、この川にものぼってきて江戸の春の名物とされてたそうです。産地により大小があり、方言も各地でさまざまな呼び名があります。

白魚(しろうお)   は、しらうおとは別種の魚で、成長しても6cmほどの小魚でハゼ科特有の吸盤状の腹びれをもち、生きている時は、半透明の体に赤黄色の点が見えます。活きていないと価値がないため踊り喰いで食されるのは、ほとんどこの白魚です。北陸や山陰地方で「いさざ」と呼ばれる春の珍味のひとつです。海山では九州の「からつ、玉島川」のものが入荷中です。 (弥生・海山便りNo.22より)
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愛魚女(あいなめ)

  その名は賞味すべき美味な魚とでもゆうような意で、肉は白身で透明感があり、白身のわりに脂が乗っていて、関西方面では、あぶらこ、あぶらめ、などと呼ばれます。愛媛の方面ではもみだねを買う金まではたいて買う魚というたとえで、もみだねうしない、なんて言われています。それほど美味で旨い魚です。皮目を焼いたお造り、塩焼、唐揚、お碗、旨い!!(如月・海山便りNo.21より)
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甘鯛、あまだい(ぐじ)

  一般に食用とするあまだいには、3種類有りまして、最も浅い水深30〜100mのところにすむのがしろあまだい、次があかあまだい、いちばん深いところにすむのが、きあまだいで200m近い深さにすんでいます。いずれも日本の中部以南の砂底に穴を掘ってすむ習性を持ち、おもしろいのは、若魚には雌が多く、大きくなるにつれて雄がふえていきます。上物で扱われる大型のものはすべて雄ばかりです。
  あまだいの身は名の通り白身でやわらかく、甘みがあって非常に美味。京都では、昔から福井県の若狭のひと塩ものがよいとされ(身がやわらかいので若狭から京へ着く間にちょうど良い身締まりになった)京料理には欠かすことができない食材です。また、静岡県の興津の生干しも興津だいで有名です。甘鯛は、小型のものは脂ののりが今ひとつで、kg以上のものが良いのですが、魚河岸でキロ4000〜5000円という高級魚なので、1尾売りとはいきませんが、ひと塩ものを焼いて、ぬる燗酒できめると絶品です。たまりませんよ。(睦月・海山便りNo.20より)

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赤むつ・のどぐろ

  むつに似て目が大きく全体に赤身を帯びているのでこの名があるが、まったく別種の魚で、口の中が黒いので、北の地方では、のどぐろと呼ばれています。新潟、石川などでは、なじみの魚ですが、関東では市場の入荷量の少ない魚です。冬は脂がのり大変美味な白身魚、煮つけ、塩焼きともに横綱です。(師走・海山便りNo.19より)
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鮭新巻き

  正月によく新巻きが一本、家に有りますよね。そのまま焼いたり鍋にしたりするのもよいですがちょっと変わった料理を二品、ぜひ試してみてください。

「マリネ」   まず、新巻きを三枚におろして節にします。皮をひいてひと口大の薄切りにして下さい。酢180ccに対して昆布だし150cc、砂糖80g、薄口しょうゆ少量、たかのつめを入れてさっと沸かして冷まして下さい。この甘酢に、新巻きを一晩漬けます。たまねぎ、にんじん、ともに薄切りにして塩でもみ水でさらし、しぼり、新巻きと漬けます。好みでレモン、マヨネーズでどうぞ。

「糀漬け(こうじづけ)」   三枚におろした新巻きを一口大のぶつ切りにします。大根も乱切りにして天日で半日ほど干し、キャベツはざく切り、にんじんは4cm位の千切りに、以上の材料とたねを抜いた赤とうがらし、千切りの昆布を混ぜ、材料約2kgに対して糀(こうじ)カップ1、塩大さじ8の割合で加えてよく混ぜ合わせます。2〜3kgの重しをし、10日から1か月くらい漬けると食べ頃です。冷蔵庫で冷たく冷やして置くと、お新香変わりでさっぱり頂けます。もちろん酒の肴に最高です。どんぶりにたっぷり盛って。(師走・海山便りNo.19より)
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喜知次(きちじ)・きんき

  晩秋から冬にかけて美味くなる魚・珍味がたくさんあります。きんきもそのひとつで、北海道や東北地方で多くとれ、大きさ30cm位で頭部やえらぶたにとげがあり、体色は赤です。華やかな赤ほど鮮度は良い。肉は白身でやわらかく、脂がのっていて本ト、美味です。塩焼、煮つけが代表的料理ですが、ちり蒸しやかぶら蒸しも美味しいですよ。(霜月・海山便りNo.18より)
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かぶら蒸し

  白身魚などに、すりおろしたかぶを乗せて蒸した料理です。家庭でもわりと簡単に作れますので試して下さい。まず、かぶをすりおろします。(本トは、聖護院などの大きいかぶがよいのですが。)布巾を敷いたざるにのせ、水けをきりかぶに癖があるようでしたら一度水にさらして下さい。軽く塩をして味を調え、泡立てた卵白をかぶの3割混ぜます。吸い地程度のだしに含ませた、きの子やぎんなん、ゆり根などを入れるとごちそうになります。大きめの器に白身魚を置き先のかぶをこんもりとのせ、だいたい20分位蒸します。魚にすっと竹串が通れば蒸し上がり。だしを吸い物位に味を付け水溶きのかたくり粉を加えてあんを作り蒸したての魚にあんをかけ、好みでゆず、わさびを添えてアツアツをフゥーフゥーで召し上がってください
  作るのがめんどうな人は海山へどうぞ(霜月・海山便りNo.18より)

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秋鯖

  魚の中でも代表的な青背の赤身魚です。通常えさの多い近海にすみ、産卵が終わる頃から猛烈な食欲を示し始め、秋から冬にかけて脂がのってきます。これが俗にいう秋さばです。年間100万トン以上の水揚げがある大衆魚の一つですが形の良い1kgのさばになるとkg3500〜4500円なんて値になります。7百g〜8百gのさばとは、脂ののり、味もまったく別物ですが、さばが一本4500円ですよ。驚きませんか?。又、佐渡や葉山沖などでこの時期回遊しないものを一本釣りで揚がるものがありますが、これは関さばと並んで刺身になる見質で、白く透き通った身に、まっ赤な血合いが美しい色をしています。こういうさばは、一本5000円〜6000円なんていうのも珍しくないので、しびれますが、旨さには勝てませんよ。本物を食べるには、それなりの根性と覚悟がいります。近頃は、背の部分がブルーといった青いさばがありますが、ノルウェー産のさばで、しめさばとはいきませんが、脂ののりもよいもので焼きものや、みそ煮などには良いと思います。いわゆる文化干しのさばは、ノルウェー産が多いと思います。
  さて、鮮度の良いさばが手に入ったら、しめさばを作ってみたらどうでしょう。三枚におろしたものを、まず塩でしめます。(荒塩が良い)両面にべったりとまぶして2時間位置いて下さい。塩を水で洗い流して小骨を抜き酢に漬けます。(10分〜15分位)で、出来上がりです。その日、片身を食べて、もう片身は、酢でふいた昆布にはさんで置くと、翌日でも美味しく食べられます。(神無月・海山便りNo.17より)

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鮭、生筋子

  さけの未熟な卵巣を塩蔵したものが筋子です。いくらの方が完熟したものを、バラバラにして、塩蔵したものです。今は冷凍ものが一年中有りますが、生筋子のしょうゆ漬けは、これからが美味しいのでぜひ作ってみてはいかがでしょうか。まず加減じょうゆを作ります。酒、味醂を煮切ってアルコールを飛ばします。(酒1、味醂0.5)次に濃口しょうゆ0.5あればたまりしょうゆ0.5(なければ濃口1)昆布だし0.2の割合で火を入れます。そして冷ましてください。生筋子は手がやっと入る位の塩湯を多めに沸かし、そこへすじこを入れて手でほぐします。簡単にバラバラになりますよ。一日加減じょうゆに漬ければ出来上がり。温ったかいご飯に乗せてハフッハフッかっこんでめし上がって下さい。ちびちびでは行けません。ひとつぶひとつぶのいくらが、あなたに幸福を届けます(神無月・海山便りNo.17より)
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穴子(幼魚めそ、めそっこ)

  一年中出回るあなごですが旬は夏から秋にかけてです。我、海鮮山鮮では、水槽の中活かしてある物をその場で調理しますが、使用する穴子は、1s10本位の大きさと決めています。15cmほどの若魚を、めそっこと呼んで天ぷら種によく使いますが脂の乗りがいまいち、かといって大きめですと身も皮も骨もかたく、脂もきつめです。私は100g前後の物が皮も身もやわらかく好きです。活きてる穴子を、すし種に使うと(煮穴子)15分から20分炊くと、もうトロトロになります。死んだ穴子では、どうしてもやわらかく炊けないのです。天ぷらにしても活物は、ハシでち切れる、ふっくらとした揚げ物になり、さっと湯がいたゆびきも、活物のシャキシャキした食感と、穴子特有の香り、草原で寝ころんで深く息を吸いこんだような、そして甘さと、かすかに湖畔にただよう消えいりそうな匂い、活きてる穴子にはそんな味覚を感じるのは私だけでしょうか?。一度お試しあれ……。(長月・海山便りNo.16より)
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こはだ(このしろの幼魚)

  こはだは、江戸前のすし種には欠かせない魚で、すしで光り物といえばこの魚があがります。大きさにより各地でいろいろに呼び分けていますが、一般に4cm前後のものを新子、10cm前後のものをこはだ、25cm位なるとこのしろと呼んでいます。おもに内湾にすむ沿岸性の魚で3〜6月に産卵しその年の秋に市場に出たものが“通”の喜ぶ新子です。このしろの名は、大量にとれる魚なので下魚とみなされ、庶民が飯代わりにしたというので、こ(食べ物を意味する古語)の代とか、この魚は焼くと人を焼くにおいと似たにおいがするところから、昔、娘を所望された人がこの魚を焼いてその煙を見せ、娘が死んだといい逃れたので、子の代だとも言われています。
別称/おやのしゃくせん(有明海)、つなせ(大阪・愛媛)、ばだらこ(北九州)、べっとう(石川)、ぼいと(神戸)、よな(浜名湖)
(長月・海山便りNo.16より)

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旬魚秋刀魚

  八月のさなか、さんま?と思いますが、もう七月の始め頃から新物が出てまして、北海道の厚岸あたりから南下してきます。何だか年々早く出回るようになってきました。昔は生で刺身なんてしませんでしたが、最近は寿司種にもなっています。が、やっぱり塩焼きが旨いですね。良いさんまは腹がしっかりしていて、肩の盛り上がりの良いもの。持つとピンと刀のようにしっかりしたものを選んで下さい。刺身・酢の物・マリネ・手巻き寿司、とろのような、とろける味を楽しんで下さい。旨いヨーッ。(葉月・海山便りNo.15より)
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  大衆魚の代表、あじのたたきは肴の人気者です。水槽などで泳いでいる蓄養あじは姿形は同じですが食味としては、感心できません。日本近海のまあじには瀬つきの群れと沖合を回遊する群れがあります。瀬つきは背が黄、黄緑色を帯び、沖合ものは黒っぽい色です。
  この時期大・中・小と脂が乗ってますので料理も色々出来ます。鮮度の良いものは刺身・たたきで、しょうがを添えて食べるときの涼しげな味感は、夏を迎える最高の肴といえます。ばってら寿司も美味しいですよ。酢飯に大葉、青柚子、煎り胡麻を混ぜ押し寿司にして白板昆布の酢炊きをのせ、包丁します。青魚は酢に合いますよ。美味、美味…。ビネガー香。
(文月・海山便りNo.14より)

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鶏魚(伊佐木・斑魚・イサキ科)

  暖海性の魚で海草の多い岩礁地帯に住む魚です。若魚には、頭から尾にかけて数条の黄褐色の縞があり陸のいのししの子と同様にうりんぼうの名で呼ばれますが、この縞は成長とともに不明瞭になります。ひれのとげと骨が、かたく鋭く、のどに刺さると大変な目に合いますので、塩焼など骨の回りをちゅうちゅうするときは要注意。
  味は癖のない淡泊な味で、磯魚特有の香りが少しあります。今の時期脂の乗りも最高ですが梅雨が明けると、途端にやせてしまいます。塩焼が一番ですが刺身も旨い!!。半身は皮をひき、半身は皮に湯をかけて、松皮造りにわさびじょうゆでいただきます。酒は塩焼には磯魚の脂に合わせて菊姫山廃吟、刺身には、梵寒椿がいいなあー。どうですか。
(水無月・海山便りNo.13より)
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旬魚針魚

  ほっそりとした銀色に輝く青みがかった背白く透明な腹、そして長く伸びた下あごは、紅をさし何とも美しい魚です。また、逆に外見とは裏腹に、腹の中の粘膜が黒いところから、腹黒い人のことを「さより」のような人とたとえていわれます。
  さよりの名はこの魚が細長い群れを作る習性に由来します。「さ」は狭、「より」は多く集まるの意です。産卵期の5月6月頃河口近くに入ってくる今が旬です。味もきわめて淡泊で上品な白身、近海ものの大型は高級魚扱いですが旨い!!。
(皐月・海山便りNo.12より)
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春の初鰹

  初鰹というと五月の薫風を連想しますけど、今は南方の海へ真冬でも黒潮に逆行して漁船はカツオを追います。三月半ば過ぎに九州の南端で勇壮な初ガツオの一本釣りが始まります。今の時代ではロボットも活躍していて、カツオが針にかかるとロボットは竿を跳ね上げ、その反動でカツオは空を飛び針からはずれる。勢いロボットですからそのまま反対の海へ逆戻りという事もあるそうです。
  カツオ船に追われながら北上し、5月には関東沖に達します。カツオの到来を待ち望んでいた江戸時代の庶民の心意気は、女房を質に入れてでも喰いたいという、粋な話しになってます。上りカツオは紅色の鮪の赤身のような淡泊な味でもカツオの旨味が上品で秋の脂の乗った下りカツオより好む通人が多いようです。(私は上り下り両方とも大好きですが。)今これだけ食品に溢れた現代でどれほどの人が初カツオを渇望しているでしょうか。呑兵衛、喰兵衛様達はどうですか!?。
(卯月・海山便りNo.11より)
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春告げ魚“目張”美味

  かさごの仲間で磯釣りの対象魚として人気がありますね。名前のとおり目の大きなカワイコちゃんであります。
  生息場所により体色が変わりますけど同じ種類のものです。浅海にすむほど色は黒みが強くなり、深場にすむものは赤身が強くなります。濃いめに味をつけた煮もの、揚げおろし、塩焼、ちり蒸し、刺身も美まい。皮目をサット湯に通して姿造り、残ったあらはみそ汁、いい出しが出ますよ。酒は清泉の新酒、手取りのあらばしりもいける。
(弥生・海山便りNo.10より)
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早春の山菜

「蕗のとう」   ふきのつぼみが、ふきのとう。ふきの中でも八っ頭という品種がよくとれます。苦みが強いので好みも人それぞれですが、春は渋み苦みを頂くといいます。昔からの知恵で冬の間に体に取りこんだ、悪い脂肪や毒素をえぐみといっしょに体の外へ出してくれるという働きがあるので薬だと思ってえぐみを楽しみましょう。

「山独活」   葉先の緑色のものを盛り土をして部分的に白く軟化させたものを山うどといいます。香りも良く風味があって酢味噌が美味しい。

「たらの芽」   たらの木に出来る新芽を食べます。特有の香気があり、栄養価が高く、強壮効果があり、また糖尿病、健胃、整腸、神経痛にも効果があるといわれています。

「草蘇鉄(こごみ)」   しだ類の一種でまだ葉の開かない若芽を食べます。軽いぬめりと淡い香りがあり、ビタミンCなどを多く含み栄養価も高い。

(如月から弥生へ・海山便りNo.9より)
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