本を閉じる 


『セイドメイド -喜びの追憶-』

byOZON

 普通の人達が普通に暮らすベッドタウン。
その住宅地を静かに見下ろす小高い山の中腹に
一軒の大きな洋館が建っていた。

名前は桐ノ宮邸。住宅街の人達は、そこに二十歳後半のまだ若い主人と
幾人かの使用人が静かに暮らしていることを知っていたが
あまり興味が無いせいか、日常会話で話題に出るようなことは特に無かった。


 深夜1時。屋敷の外では虫の音すら聞こえない、静まり返った夜の闇。
月明かりに照らされた廊下を照明も点けずに歩く一人の男がいた。
だが、彼は別に泥棒という訳ではない。この屋敷の主、健一郎である。
彼は眠れない夜にこうやって寝静まった屋敷を歩き回るのが趣味なのだ。

彼は、夜の闇を恐いと思うようなことは無かった。健一郎に言わせると
夜の闇より人の心に巣食う闇の方がよっぽど恐ろしいらしい。
働き盛りなのに仕事もせず、この屋敷で隠居生活を過ごしているのは
それが理由だからなのだ。

あても無く青白い光に照らされた庭を眺めたり
廊下に飾られた絵画の、昼間とは違う色合いを楽しんだりするうちに
彼の足がピタリと止まった。

 健一郎が止まった場所は、この屋敷ただ一人のメイド、ユカの部屋の前だった。
彼女は半年前に16才という若さで多額の借金を背負いここへ売られてきた身である。

健一郎は始めユカを肉奴隷にしようと企み、借金を肩代わりして
奉公人にするという、事実上は人身売買の方法で彼女を手にいれたのだが
純朴な彼女から逆に愛の尊さを教えられ、今では相思相愛の仲になっていた。

そのユカが今日の昼間、やけによそよそしく
自分を避けていたことを彼は思い出していた。

今夜はユカと愛し合う日ではない。
最近は彼女の体力も考え、夜の奉仕は週に3回と決めている。
もし今日が奉仕の日だったなら、ベッドの上で焦らしと言う名の拷問にかけ
彼女から洗いざらい聞き出していただろう。

そこまで考えた時、健一郎の脳裏にちょっとした悪戯心が沸いてきた。
何も明日まで待つことは無い。今、ここで寝ている彼女から
聞き出せばすむだけの話だ。

 口の端でニヤリと笑った健一郎は、そっとドアノブに手をかけると
音を立てないようにゆっくり開き、長身の体を部屋の中へ滑らせ入れた。
室内は廊下よりもさらに暗かったが、彼の目はとっくに慣れている。
使用人らしく飾りの少ない部屋には、先月デパートで買ってやった
鏡やぬいぐるみなどの小物がちんまりと並んでいるのが見えた。

少しきしみやすい床板に注意しながらベッドの脇へと忍び寄る。
すぅすぅと小さな寝息を立て、横向きに寝ているメイドがそこにいた。

『何も知らずによく寝てるな…』
そう思いながら彼は腰のあたりから布団を静かにめくる。
可愛らしいパジャマの、子供っぽいお尻がその姿を現わし
布団にこもっていた女の子特有の甘酸っぱい香りが彼の鼻先をくすぐった。

『そうだな、ただ起こすのもなんだし…』
悪戯心はさらに加速する。尻の谷間にひとさし指と中指を添え、つつと奥へ。
閉じられた太ももの奥に暖かく湿った感触を確認した彼は
弾力あるその布地の丘を、羽箒で撫でるように優しくこすりはじめたのだった。

しゅっしゅっしゅっしゅっしゅ………

「ん……………ふ………」
ぴくっとユカが反応する。だが、まだ夢の中にいるようだ。
圧迫を強めた彼の指先がさらに先へと進んでいき、淫裂の前あたりに
こつんとぶつかる固いものを発見した。

「んっ」
小ぶりのお尻が一瞬ぴくんと震える。
彼女の快楽を揺さぶるボタンを指先に確認した健一郎は
そこを指先で何度も突ついて、官能の信号をまだ眠っている脳へと送った。

「んふ……………ふ………んぅ」
しだいにユカの反応が良くなっていく。若い肌がしっとりと汗ばみ
全身に熱を帯びてきているのが健一郎にはっきり感じられた。

「やぅん・・・」
起きているのか、それとも寝ぼけているのか
力無い両手が股間にかぶさり、頼りなくそこを覆った。
健一郎は左手を彼女の腰から前に回し、その邪魔な両手を払ってしまうと
よりいっそう本格的に指の責めを強めていった。

くにくにくに、くっ、こりこり、こりこりこりこり…
「んふぅっ…んっ、はっ、あっ、あっ」
固く尖った芽に、一点集中の快楽責め。寝ぼけながら両手が
かすかな抵抗をするが、彼の妨害により無駄な努力に終わっていた。
そろそろ本格的に起きてしまうのを悟り、健一郎は
布地の上で存在を主張する可愛らしい突起を、グッと深く押し込んでやる。

「はぁぁうん!」
背筋を仰け反らし、甲高く叫ぶユカ。
「ん…ご主人様?」
夢うつつのまま、彼女がゆるりと振り返る。
「はは、やっと起きたか。寝ながらでも感じるんだね。」
「もぉ…」
怒っている割にはなんだか嬉しそうにユカはほっぺをふくらませた。

詫びの印に健一郎はユカに軽く口づけを与える。
「すまんな、急にユカが欲しくなったんだ。それともう一つ…」
健一郎は、彼女が昼間、自分と顔を合わせるたび
やけによそよそしかったことを聞いた。

「………言えません」
「どうして?」
「どうしてもです」
幾度か問い返しても、ユカの返事は頑なに「言えません」の一言のみであった。
彼女がここまで拒否するのは珍しい。どことなく恥らうその態度から
何か主人にも言えない恥ずかしいことであろうと予想した健一郎は
ユカを快楽と苦痛の拷問にかけ、聞き出すことに決めた。

「ご主人様に隠し事か?これはちょっとお仕置きが必要だな」
「あっ、そんな!」
こんな時にこのメイドを白状させる方法を健一郎は熟知している。
布団を剥ぎ取り、パジャマの上から彼女の全身をまさぐると
ユカは敏感な部分にはビクンと過敏な反応を示し、性感帯を暴露する。
「ああんっ!や!ちょっと!んむぅっ!」
キスで口を塞ぎ、そのままねちっこく舌を絡めると
しだいに彼女は抵抗する気力を無くし、大人しくなっていった。

「言う気になったか?」
その問いで悦楽に流されそうになっていたユカは我に返り、慌てて首を横に振った。
「あん、痛っ!」
健一郎がきつく乳首をつねり、ユカの体が弾けるように仰け反る。
「いやぁっ、痛いです!ああ!」
つねっていた手をぱっと放すと、充血してしまったピンクの先っぽを
今度は優しくくすぐる健一郎。
「ふぅぅっ、んんっ!ふぁぅんっ!」
つねられたことにより充血し、血の巡りが良くなったぶん
過敏になった乳頭を刺激されてユカは鼻にかかったような声で喘いだ。

「あっ!痛っ!やだぁ、もぅ痛いの嫌ぁ!」
悦楽に彼女がとろけかかってきた頃を見計らい、健一郎は拷問を痛みに戻す。
「ほら、話してくれたら、痛くはしないよ」
飴とムチを巧みに使い分け、ユカの心に揺さぶりをかける。

それが幾度か繰り返されたのち、白状しない限りこの責めが続くことを
思い知らせた健一郎は、とうとうユカを降参させてしまったのだった。
「ああぁ!もぅ言います!言うから許してぇ!」
「ユカにしてはかなり強情だったな。ほら、話すんだ。」
「はい、実はその…最近…」
「最近?」
「その……えっと」

もじもじする態度をみて。健一郎は乳首をつまむ力を少しずつ強める。
「あっ、言います!言いますから!」
つねられるのを恐れ、慌てて話すユカ。

「実は、その………普通にしていても、なんだか急に思い出すんです…」
「何を?」
「その、エ…エッチしてる時の事を、体が勝手に思い出して…」
快楽を覚えた肉体が、夜に受けた強い刺激を不意に思い出す。
開発されてきた体がそういう反応をするのはごく自然なことだ。
ただ、ユカはそのことを知らなかったし、健一郎もあえてそれを言わず黙っていた。

「なるほど、それであの時も一人でしてたんだ」
「ちっ、ちがっ!そんなことしてません!」
「でも、したいと思ってはいたんだろ?」
「う…」
健一郎には、黙秘も嘘も通用しない。嘘でごまかしてもすぐにばれ
さっきと同じように白状するまでいやらしい拷問を受けるだろう。
しかたなしにユカはこくりと頷いた。

「ねぇ、一人でどうやってするのか見てみたいなぁ。」
「そんなぁ、恥ずかしい…」
とまどう彼女に、そっと口づけをした後、健一郎は耳元で囁いた。
「見せてくれたら、後でたっぷり可愛がってあげるよ。」
快楽の誘惑。先ほどまでのお仕置きで、さんざん高まっている肉体にとって
この交換条件は堪えがたいものだった。

「じゃ、むこう向いてちょっとだけなら…」
「ダメダメ、ちゃんとこっちを向くんだ」
背中を向けて始めようとしたメイドを制する主人。
ユカはしかたなく主人の方を向き、閉じた足の狭間に指を入れ
そっとこすり始めたのだった。

「ん…」
見られている。その意識がさらにユカの興奮を高める。
余った手で胸をいじりながら中指と薬指で谷間を作る二つの丘をこする。
「Hのない日はいつもそんな感じなのかい?」
「はい。」
「そうか、週に三回じゃ足りなかったみたいだね。」
「あ…」
奉仕のない日に一人でしていた秘密をうっかり漏らしてしまい
恥ずかしさにたまらなくなって両手で顔を押さえるユカ。
「もぅやだぁ〜、ご主人様に全部ばれちゃう。」
「ははっ、これからしたくなった日は、ちゃんとおねだりするんだよ。」
顔を隠したまま、ユカがこくりと頷いた。
「うん、それじゃオナニーShowの続きだ。」

 壁に背をもたれかけ、膝を立てた状態でユカは秘部をまさぐっていた。
パジャマの上からこする指は、奥から滲んだ粘つく液体により
卑猥な音をニチニチ立て、いやらしい沁みをさらに広げていた。
「ほら、もっと足を開いて。恥ずかしいとどんどん感じるだろ?」
「は、はい…はっはっ、はぅっ!ぁあ…」

布越しのもどかしさに我慢ができなくなったユカは
ヘソのあたりからズボンの中へ手を挿し入れる。

「直接したいんだね?それじゃこれはいらないな。」
健一郎はユカの腰に両手をかけ、パジャマのズボンを脱がしにかかった。
「やん、ちょっとパンティは…」
彼の指が同時に下着にもかかり、下半身につけているものを
全て脱がせようとしているのに気づき、慌てるユカ。
だが健一郎は、彼女の抵抗も構わずに足首から
パジャマズボンとパンティを抜き去ってしまったのだった。

「さぁ、続きだ」
顔にではなく、何もつけていない下半身へ向かって健一郎は語りかけた。
「そんなぁ、これじゃできません。」
シャツを引っ張り降ろして、ユカは足の間をなんとか隠している。

「これだけ暗かったら、はっきり判らないよ。」
「でも…」
主人の吐息を内ももに感じ、ユカは戸惑う。
「可愛がって欲しくないのかい?それとも、お仕置きの方がいいのか?」
ビクリ、とユカの指がひくついた。

可愛がるとお仕置き。どちらも性行為には変わらないのだが
ユカにとってその内容は極めて異質のものだった。
恥じらいを忘れ、最高の快楽と充実感を得られるご褒美に対し
痛みと恥ずかしさを強調されるお仕置きは、泣きたくなるほど辛いのだ。

おずおずと指が動き出す。なるべく見られないように両手で隠しながら
ユカは手の内にある秘部をゆっくり撫で始めたのだった。
「んふ……」
大人しかった指先が次第に大胆になっていく。
「あ…はぁっ………ふ…」
「可愛いよ」
見られている恥ずかしさを忘れようと、より快楽に集中するユカ。
溢れる蜜を指先ですくい、谷間全体にぬるぬる塗りつける。

「んぁっ!あっ、やだぁ、どんどん良くなっちゃう…」
花びらに分け入り、主人専用の入口をかきまわす中指。
弾くようにクリットを何度も擦り上げるたかと思うと
包皮の上から円を描き、膨らんだ肉芽をこね回す。
視姦による興奮も加わり、彼女が絶頂まで近づく道のりは短かかった。

「あっ、あっ、あっ、もぉダメ、ダメぇ!」
オーガズムの刺激に思わず力が入り、閉じようとする足を
健一郎は無理やりM字に広げた。
「見ててあげるよ。しっかりイくんだ。」
「はぅぅん!ぃやぁ!」
言葉とは逆に見られることで興奮したユカは自分で足を開き
よりいっそう指使いを早めて視姦の快楽に没頭していった。

ちゅぷちゅぷちゅぷちゅぷちゅぷ…
「あっ!イくっ!イくぅっ!」
ぬちぬちと水っぽい音が激しさを増し、彼女の全身に電撃のような快楽が走る。
「ああっ!あああぁっ!ぁあっーーーーー!」
腰をガクガクと震わせてユカは自慰による深いオーガズムに達したのだった。

「はぁ…はぁ…はぁ…」
「よく頑張ったね」
優しく微笑む主人が自分の顔を覗き込んでいるのに気づき
恥ずかしくなったユカは火照った顔をさらに赤くして隠した。
だが、これで全てが終わったわけでは無い。
主人からのご褒美はこれからなのである。

 ユカを四つんばいにさせた健一郎は、彼女の背後から覆い被さり
いきり立った先端をすっかり準備の整っている入口に当てがった。
「いくよ」
「はい…」
一言断ってから、ゆっくりとその先を侵入させていく。
「ぁふぅぅぅっ」
圧迫の悦楽がユカの心を支配する。物足りなかった奥を満たされる充実感。
彼の肉棒が行き止まりまでたどり着き、肉洞の壁が馴染んだのを見計らうと
健一郎は繋がったままのユカを抱き起こして、座位の形にさせた。

「ぁん、ご主人様ぁ」
自分の重みで主人のモノが深くめり込み、さらに奥まで満たされるユカ。
後ろから抱かれる喜びに、猫なで声で彼女が甘える。

手を前に回し、彼女のお腹を優しく撫でていた健一郎は
その手をゆっくり下へすべらせ、薄い恥毛を悪戯っぽくくすぐってやったあと
指先を亀裂の始まりへと進めていった。

固くしこった肉の芽を、つぼみの上から摘まんで揉んでやる健一郎。
「はぅ…ん…」
とろけそうな顔で包皮越しの快楽を味わうユカの手を握った彼は
その手を下半身へと導いてやり、肩越しに彼女の耳元へ囁いた。
「ほら、自分でしてごらん。手伝ってあげるから。」

健一郎の右手はユカの小ぶりな右の胸を揉んでいた。
左の胸は、ユカ自身が先端をこりこり弄って慰めている。
そして二人が繋がる部分では、ユカと健一郎の指が絡み合いながら
ただ一点を刺激し、快楽の共同作業に浸っていた。

「ユカはHだな、セックスしながらオナニーするなんて。」
「ああ、言っちゃやぁぁ」
だが、恥らいつつもユカは指を止めようとしない。
むしろその指使いはますます淫らに蠢いている。

「んっ!あっ、イきそぉっ!」
「どっちで?中で?それともここで?」
「やん、もぉ」
卑猥な質問をはぐらかすユカ。
「言わないと邪魔しちゃうよ」
健一郎の指がオーガズム間際の突起を触らせないように彼女の邪魔を始める。
「あぁん、意地悪ぅ」
「で、どっちでイくの?教えてよ」
「んふぅ、その…前の方です」
「名前は?なんていうとこ?」

わざと恥ずかしい言葉を言わせようと彼が辱める。
ユカはしばらくの戸惑いの後に、ようやくその単語を口にしたのだった。
「○リ…トリス…です。あっ!ああっ!」
直後に健一郎はご褒美の快楽をメイドに与えてやる。
「ここだね?ここでイっちゃうんだね?ほら、もっといじって」
「ああ、イくっ!イっちゃいます!ぁあっ!あっっっっ!」
ぶるっと小さく震え、ユカは短いオーガズムに達した。
「あ……………はぁ…」

繋がったまま、彼女にしばらくの休憩を取らせてやる。
そして健一郎は、官能の熱が冷めないうちに次の責めに移る。
今まで動かしていなかった腰を回転させはじめ
少しずつ速まる愉悦の渦に彼女をのめり込ませていった。
「ふぁぁ、だめぇ!もうちょっとゆっくりぃ!」
「まだまだ、どんどん速くなるよ」
「やぁん!あんまりかき回さないでぇ!」
「どうして?」
「あっ!だって、だってぇ!その…」
「言ってごらん」

「お……お昼に、思い出しちゃう。」
あまりに快楽が激しいと、体がそれを覚えてしまい
ふいに思い出してしまう時がある。
さっき白状していたことを言っているのだろう。

「じゃ、やめない」
「やぅ!そんな!ああっ!」
「いいんだよ、Hして欲しかったらいつ言っても。」
「だって、そんなはしたないこ…ひっ!」

ユカの言葉を遮るように、健一郎はいっそう回転を激しくしていった。
「はぅぅん!だめぇ、どんどんエッチになっちゃうよぉ!」
回転運動はしだいに不規則になっていく。8の字や∞の動きも混ぜて
内部の膣壁をまんべんなく肉棒がえぐり、うねらせる。
奥をかき回される悦楽に、彼女の理性はぐずぐずと溶けていき形を無くしていった。
「あっ!いいっ!いいのっ、もっとぉ!」
「ユカはほんとにエッチだな、すっごくスケベだな。」
「やぁぁん!エッチにしたのはご主人様なのにぃ!」

忘かけていた恥じらいを取り戻させながら
主人はメイドの肉体をいやらしく調教していく。
「あっ、また!またイっちゃう!」
「いいよ、どんどんイっていいよ」
ユカのお腹をぎゅっと抱きしめ、小さく速い回転を与えてやると
彼女の内肉はビクビク痙攣を繰り返し、オーガズムの予兆をみせた。

「イく!イっちゃう!あ!あっ!あああああぁっ!」
充血して膨らみきった肉の芽を二人で競うように穿り出し、揉みこする。
「イくっ!あーーーーーーーーっ!あぁーーーーーーーーーっ!」
ユカは抱きついている主人の手を力の限り握ったまま
全身を硬直させ、激しい絶頂に達したのだった。

          ◆

 午後の柔らかな日差しが差し込む書斎。
昼食後の、とろとろと時が流れる午後のひとときは
主人とメイドが二人きりで過ごす安らぎの空間だった。

「ふんふんふ〜ん♪」
鼻歌交じりにユカは窓際の植木鉢に水をやり
健一郎は本を読む手を止め、その光景を優しい表情で眺めていた。
「ふふふ〜ん♪………」
ふいに鼻歌が止み、彼女の動きが止まる。健一郎は彼女のお尻が
わずかにピクッと反応するのを見逃さなかった。
「ユカ…」
「あ、はい。なんでしょう?」
「いま、したいって思ってたろ?」
「え?そっ、そんな………」
慌てて取り繕おうとしたユカは、自分の主人に
嘘は通じないことを思い出し、言葉を改めた。
「…はい、思ってました。」

「正直だね、お利口さん」
誉めながら彼女の頭を撫でる健一郎。
見透かされた悔しさからか、ユカが怒ったように言う。
「もぉっ…こんな体にした責任、取ってくださいね」
「今から取ってやるさ。それじゃベッドに行こうか。」

少し膨れながらもユカは主人の腕にしがみつき
二人は寝室までの短い道のりを仲良く歩いていったのだった。

「END」




「後書」

夏コミで出した本の小説、一つ目がこれです。
オチらしいオチが無いのがちょっと弱いですね。
締め切りまで時間が無くて考える時間が無かったのが何よりも残念。

やはり締め切りとは魔物だなぁ(汗)

 本を閉じる