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『セイドメイド番外編2』

byオゾン

 『愛しいクリスマスプレゼント』


「やれやれ、とんだクリスマスイブになったな。」

 二人きりになりたくて、執事達に休みを取らせたのが
返ってアダになってしまった。
彼らがいれば停電してもすぐに自家発電へ切り替えられ
こんな寒さは味あわなかったのだが・・・

 だが、電源がなくても凍えない場所はちゃんと屋敷にある。
窓の無い寝室は、隣の風呂場と燃料を同じにする床暖房なので
他の部屋に比べれば、まだ幾分暖かいのだ。
一度暖めれば後は電源が必要無いという旧型の蓄熱式だから
朝までここにいれば凍え死ぬことも無いだろう。

「わっ、あったかーい!どうせなら食事もここで取ればよかったですね。」
ユカの言葉で思考が遮られる。まぁ余計な考えはもうやめておこう。
「ユカ」
「はい、何でしょう?」
「二人が凍えないようにするには、どうしたらいいか判るな?」

 彼女の両肩を後ろから抱き、これからする行為を遠まわしに伝えてやると
ユカは恥ずかしそうに「はい。」と一声返し
一枚ずつメイド服を脱いでいった。

 そして、軽すぎる羽根布団を補うように幾枚もかけた毛布の中
生まれたままの姿になった俺達二人はきつく抱きしめ合った。
普段より室内の温度が低いせいか、ユカの体温がより暖かく感じられる。
「ふふっ、御主人様って、とてもあったかい・・・」
「ユカもあったかいよ。」
体温による奇妙な一体感があった。まるで、二人で一つの生命体のようだ。
指を、足を、舌先を絡ませ合い、俺達はより強い一体感を求め合う。

「ん・・・あは・・・」
しっとりと吸いつくような肌触り。彼女の体はもう汗ばみ始めていた。
だが、あまり激しくしても体力を消耗するだけだ。
それに汗をかき過ぎると、濡れた毛布で後から体を冷やすのが恐い。
俺は控えめの愛撫で弱火のような快楽をとろとろ続けた。

「ねぇ、御主人様ぁ。もっとぉ。」
甘いねだりがユカの口からこぼれる。
「だめだめ、朝まで体力を温存しないと。」
「でもぉ・・・」
むずがり、抱きついてくるユカが可愛かった。

「あ、これ、あったかい。」
彼女がそう言って俺の分身に手を伸ばし、きゅっと握った。
確かに男にとって血液が一番集中するそれは、肉体の中でも
最も体温が高い部分なのだろう。
「なんか・・・凄い。あったかいんじゃなくて、熱くなってる・・・」
ユカは感心しながら熱くなった俺のモノをさすり続けていた。

こうなると今度は逆にこちらのほうが自制がきかなくなってくる。
しなやかな指で丁寧に俺のモノを包んでさする指使いは
粘るようにじっくりしたものだった。
「ユカだって、中が熱くなってるよ。」
「あん・・・」
濡れたとば口へ、つぷりとひとさし指を入れてやる。
彼女の体内の温度を指先に直接感じる。そこはすっかり熱くなっていた。
「あふ・・・・ん・・・・やん」
腰をくねらせてよがるユカ。そのまま互いに指の愛撫が続く。

 ふと、彼女の指使いが、いつもと違うのに俺は気づいた。
亀頭裏の凹みや、カリの周囲という一番感じる部分をぎりぎり避けているのだ。

なるほど、そういうつもりか。
ユカの意図はすぐに判った。徹底的な焦らしである。
求めても無理だから、俺を焦らしてその気にさせ
こちらから入れたくなるように仕向ける魂胆なのだろう。
だが、そういうテクニックなら俺の方がずっと達人だ。
こちらからもお返しをしてやろう。

 ニヤリと笑った俺は、ひとさし指と中指を彼女のクリトリスにあて
二つの指で揉むように愛撫してやった。こねまわし、くすぐり、そして
ほんの少しだけキュッと官能を与えてまた焦らす。
「ふくっ!・・・んっ!んんぅ!」
むずがるような喘ぎをさせながらも、ユカはまだ俺のモノを
必死に焦らそうとしていた。どうやら彼女も俺の考えに気づいたようだ。
いいだろう、こうなったら根比べだ。

互いの弱点を知り尽くした指使いで俺達は攻め合い、焦らし合う。
じっくりと、じっとりと相手の理性を溶かしていく。

 かなり長い時間だった気がした。股間のもどかしさが
時が経つのをいっそう遅く思わせているからだろうか。
だが、結局先に根を上げたのはユカの方だった。
「あぁん!こうさん、こうさんです!」
涙目になったユカが腰をよがらせながら叫んだ。

「ください!ご主人さまのオチンチンください!」
もう我慢できないという感情をありありと表に出し
ユカは握り締めた俺の一物を必死にしごく。
「さ〜て、どうしようか?主人に意地悪するような
 メイドには、御褒美なんてとてもあげられないなぁ。」
「ああんそんなぁ!」
プレゼントをお預けにされた少女のようだ。
ユカはけなげに「申し訳ありません」を何度も繰り返していた。

「ウソだよ。ほら、ちゃんとあげるよ。今日は特別に許してやろう。」
「あぁ・・・ありがとうございます。」
彼女の指で肉棒を導かせ、切っ先をとば口にあてがう。
そしてすっかり準備が整い、潤っていた彼女の奥へ
俺はゆっくりと沈み込んでいった。
「ふぁぁ!あっ!いっいいいっ!」
待ち受けていたもので満たさせる喜びにユカが喘ぐ。

 重い毛布のせいで体位は変えられないが、今夜はこのままでいいだろう。
たっぷりと正常位でユカを愛してやるつもりだ。
「はあん!だめ!イっちゃう!もぉイっちゃう!」
「もぅかい?いいよ。先にイってごらん。何度でもイかせてあげるよ。」
ユカの好きな腰使いで、ぐりぐり責めてやると、彼女はそのまま
「ひっ!」と小さく鳴いて痙攣し、やがて糸が切れた人形のようにくたりと脱力した。

 しばしの休みを与えたのち、再び彼女を悶えさせる。
二回、三回・・・立て続けに彼女が絶頂へ昇りつめ
深い快楽の海にまた沈んでいく。
「ユカ、今度は一緒にいくぞ!」
「はひ・・・は、はいっ!あああっ!ああああっ!」

 寝室の寒さは、もう微塵も感じなかった。
ベッドの中にある熱いぬくもりが世界の全てだった。
スプリングのきしみと。毛布で遮られくぐもった粘る音。
荒々しく、熱く、そして愛を込めた注挿が際限なく加速していく。
「うっ!ぐっ!」
「ああっ!熱い!なか、中がぁ!ああーーーーっ!あーーーーーーっ!」
脳の髄まで痺れるような快感を感じながら、俺はユカの奥へ向けて
白く粘ついた液を解き放った。それと同時に彼女が俺のモノをきゅぅぅっと締めつける。
まるで俺から与えられたもの全てを受け入れようとしているかのようだ。
二人同時に最高の高みを感じたこの瞬間、俺は本当にユカと交じり合い
一つの生命体になってしまったような気がしていた。


          ◆


「わぁ!真っ白!」
クリスマス当日の朝。寒さは厳しいままだったが、空はすっかり晴れていた。
眩しいほど輝く庭の雪景色を初めて見たユカが嬉しそうに声をあげる。

「綺麗だろ?俺もこの景色が気に入ってるんだ。」
ユカは数センチほど積もった足元の雪をさくさく踏みながら
小犬のように庭ではしゃいでいた。
「御主人様ー!雪だるま作りませんー?」
「おいおい、あんまりはしゃぐとプレゼント落とすぞ。」
「はーい!」

 メイド服の上からコートを羽織った彼女の首元に
きらめく雪の結晶に似たネックレスが光る。
もちろんそれは、俺からのクリスマスプレゼントだ。
朝、枕元に置いてあったそれを見つけてから
ユカはずっとはしゃぎっぱなしだった。

「今、そっちに行くからな。」
厚手の手袋を二組ぶん用意し、彼女の元へと急ぐ。
二人きりのクリスマス。銀白に輝く今日の幸せを、俺は一生忘れないだろう。
可愛いユカの存在が、俺にとって最高のクリスマスプレゼントだった。


『愛しいクリスマスプレゼント』 (完)




『後書き』

てなことで二人の「自家発電」で「ユカ暖房」なネタでした〜♪(笑)
冗談はツカミ程度にして・・・

さてさて、今回特別のクリスマススペシャル、いかがだったでしょうか?
「夫婦の秘めごと」と相成って、ぎりぎりで完成できましたが
楽しんでいただければ幸いです(^^)
ユカちゃん、素敵なクリスマスで良かったですね〜。

私の現実世界の方では・・・まぁ考えないようにしましょう(T_T)
ああん、誰か可愛い女の子プレゼントして〜!(笑)

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