其ノ伍:acgフリース

初期acgフリースは、現在のACG以上に多彩なラインナップを誇っており、
実際の世界の火山などをあしらった、「名山タグ」などいくつかの名作を残しました。


これは、POLARLITE PULLOVERという名前で売られた、初期のacgフリースです。いい色してるでしょう。こういう渋い配色のフリースって今じゃあまり売られていないですよね。Patagoniaをはじめ、今じゃワイルドシングスやカリマーなど、さまざまな海外のアウトドアブランドのフリースが出回っていますよね。でも、やっぱり自分だけの一着がほしいとか、ありきたりな色じゃつまらないとか、そういうのがあって、マイナーだけどいいものを探そうとしてしまいます。そこでこれまたacg!こんな感じの、なかなか今では無い配色やデザインのフリースがいっぱいあるんです。なおかつ、安いです。古着屋で、大体\3,000〜5,000くらいです。これも、渋谷で¥3,800で手に入れました。しかもすごく程度がよくてこの値段。うーん、なめられてるぜacg(笑)。
ポケットの裏地も気が利いた配色だー!でも、なんでこういう配色のフリースを置いといて、ワイルドシングスとかがんがん入れるんだろう。初期acgウェアって、なかなか見つからないんですよ。もっと日本のショップのバイヤーも注目してほしいな。埋れているナイスなブランド、もっとあると思うんだけどなー。ちょっと雑誌で持ち上げただけで、どこのショップもすぐおんなじブランド入れてくるし。置いてるブランドとかで、そのショップが個性を持ったショップかどうかがすぐ分かる。でも、個性ばかりじゃ今の厳しい景気を生き残るのは難しいのかな。

次にこれはSTATEMENT POLARLITE JACKETという名前の、フルジップフリースジャケットです。マカルジャケットに似た形をしていますが、フリース生地は上のPOLARLITE PULLOVERと同じ物が使われています。胸から背中にかけてと、両腕の肘から前腕にかけてナイロンで補強されています。胸にジッパーで開く2つのポケット、両脇にボタンで開くハンドウォーマーポケットがあり、計4個のポケットが付いています。左胸にacgロゴ、右腕にナイキロゴがついています。これも色バリエーションがいくつか出ていますが、画像のはナイキジャパンでも取り扱いされたものです。美配色ですね。

次に、私がacgフリースの中で一番気に入っている、Makalu Jacketです。肩部分に補強のためのナイロンが当てられています。胸にジッパーのポケットが2つ、両脇にプラスチックボタンで開くポケットがあります。袖口にボタンで開くフックがついています。肩以外は、フリース生地の表と裏で起毛状態が違う、ポーラテックで言うバイポーラテクノロジーが使われています。暖かく、冬でもアウターとして活躍します。

当時のacgフリースの中では最上位のモデルです。ナイキジャパンでも扱いました。当時の定価は何と¥26,000。デビュー間も無い、acgなんて聞いたことの無いブランドのフリースにそんなお金を出すアウトドア派はいなかったんでしょう。当時これを売っていたというショップのスタッフも、「ぜんぜん売れなかった」と語っています。アウトドアブランドって、やっぱり信頼性が一番大事だから、新しく出てくるブランドっていきなりはなかなか売れないですよね。

とはいっても、この古さをまったく感じさせないデザイン、配色、とても面白いと思いませんか?しかも、こういうのが古着屋さんで¥5,000前後で手に入る。最近初期acgフリースを買いつけてくれる古着屋が増えた感じで、ちょっとうれしいです。

 

色バリエーションがいくつかあります。また、このフリースは当時のacgゴアテックスジャケットに装着できるようになっているものもあれば、肘にナイロンがあてられているアウター色の強いものもあり、不思議です。首元についている長方形のタグは、'90年代初期のacgウェアに見られます。この首元のタグのacgマークは、青や赤、紫、黄土色などがあります。背中に山が描かれた、大き目のタグがついています。ほかにも、トランゴタワー、デヴィルズタワー、セントへレンズその他名山タグシリーズがいくつかありました。

これも名山タグシリーズのひとつで、デヴィルズタワーというプルオーバーフリースです。丈がやや長めに出来ていて、フリース生地自体も、初期acgフリースの中でも最も分厚い生地を用いており、ヘビーな仕上がりです。立ち襟や、肩、肘部分のナイロン生地による補強を見ても、このフリースがハードな条件下での使用を想定したものであることが伺えます。両脇にジッパーで開くハンドウォーマーポケット、腹部にベルクロで開くポケットがあります。ドラえもんみたいでかわいいですね。


お次は、名山タグシリーズの一つトランゴタワーです。当時日本でも定価\17,000で発売されました。このフリースは、青い部分と赤い部分で表面の起毛状態が違います。そして、裏側は繊維が横に走っている、前面バイポーラ構造になっています。前回紹介したマカルジャケットは腕と胴で生地の厚さを使い分けていましたが、このトランゴタワーはマカルジャケットの腕に使われている素材と同じ厚さの素材を全面に使っています。つまり、ややライトな仕上がりです。PatagoniaのスナップTと同じくらいかな?ベーシックな形で、腹部側面にプラスチックボタンで開くポケットが2つある他は、マカルジャケットのような小技はありません。

襟部分が表と裏で色の違うフリース生地を合わせて用いてあって、デザイン的にも優れてますね。独特なパイピング構造のため、立ち襟になっています。

いくつかのカラーバリエや、ポケットの位置などが少し違う様々なトランゴタワーがあります。私はこの色は、アウトドアスタイルというよりは、ジーンズなど、古着と合わせてみたりしてます。