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『秘書、怜子の場合』

byオゾン

 「孤高」

一つだけ他を寄せつけず、優れていること。
その、孤高という形容がふさわしい会社と建築物が
とある地方都市に存在した。

 一流企業グループ「ギガレット」
その中核の一つ「桐ノ宮総合株式会社」は
ある地方都市の産業すべてを、根本から支える会社である。

 子会社、孫会社、さらにその下。がっちりと基盤を固め
完全な独占状態の企業が建てた、地方でただ一つの高層ビル。
そのビルが、他に競争相手がいない現状を示すように
今日も広い空の下、孤高の姿で街並みを見下ろす。

そんな建築物を本社にかまえる会社に秘書怜子は勤めていた。

昼食時も終わった午後の社内。電話のベルやプリンター、事務的な社員の声などが
室内から漏れ聞こえる廊下に、ヒールの音がひときわ高くカツカツ響く。

社長専用の秘書。本名、笹川 怜子(ささがわ れいこ)

 彼女独特の、ほんの少し下がり気味の眉に、度の薄い眼鏡。
油断の無いきゅっと締まった口元。
大人の女性の雰囲気と、知性をあわせ持った顔立ち。
肩まで伸びたゆるいウエーブの黒髪をなびかせつつ怜子が歩く。

 非の打ち所の無い、モデルのようなすらりとしたスタイルは
その自信のある歩き方にふさわしい。ただ一つ難点があるとすれば
スーツを突き上げ、過剰に自己主張する豊満な胸くらいであろう。
社員の目を引き、歩調に合わせて揺れるスーツ下のEカップは
普段から怜子の悩みの種だった。

「あ、笹川さん・・・」
 書類を手にした専務と、廊下で2、3事務的な会話をすませる。
が、会話の内容に関係なく、専務もちらちらと胸に目をやっているのが
怜子にもよく判った。彼女自信、それが男の本能だとは理解しているのだが
感情的にどうしても納得できない。
 専務の話が終わり、また歩き出した彼女は、誰にも悟られぬように
安堵とも、ため息ともつかぬ吐息をそっとついた。

 社長室直通の専用エレベーター。
普段この機械は最上階で待機しているため、下に到着するまで時間がかかる。
この、待つための無駄な時が怜子は嫌いだった。
もともと彼女は待つのが嫌いな性格なのだが、今はもう一つ理由がある。
「ん・・・・・」
扉の前に立つ彼女が一瞬、ぴくっと肩を震わせる。
が、怜子の動きに気づく者は、周囲には誰一人いなかった。

 エレベーターの中。怜子はもう一度ぴくっと身震いをする。
そしてスカートの上の細い指をゆっくりと彼女の中心へ這わせると
「ふ・・・・・ぅ・・・・・」
と、喉奥から絞るような吐息を一つ放った。

数秒ののち、『ぽぅん』と柔らかい音を立て、その箱は最上階に到着した旨を告げた。

              ◆

 エレベータの扉が開いた途端、怜子はそこからあふれる光に目を眩ませた。
最上階は、床から天井までのガラス張りで、外の景色が良く見える。
蛍光燈の照明に慣れた彼女の目には外の光はまぶしすぎ、怜子は少し目を細めた。

少しのめまいの後、外界の様子が目に飛び込む。
眼下に広がる一面の街並み。はるか遠くに山脈が横たわる、展望台のような風景。

怜子は2、3度まばたきをすると、なるべく外の景色を見ないように視線をそらした。
そして少しずれた銀の眼鏡を指で直し、隣の社長室へ歩を進めていった。

 社長室は木目調で統一されており、豪華さはなく
落ち着いた雰囲気で整えられ、そこに窓側へ背を向いた木製の広い机が一つあった。
ビジネスデスクより数倍広い漆塗りの社長机。
きっちり整頓された卓上の隅にそびえる漆黒の三角錐には
『桐ノ宮』という文字が彫られている。

「お待たせしました、社長」
尊厳さをかもしだす口髭に、鋭い眼光。オールバックできっちりまとめた頭髪。
座っているだけなのに、どこか威圧感のある桐ノ宮社長が
書類から目を離さないまま、怜子へ質問する。
「ああ。言ったとおり、時間は空けてあるな?」
「はい・・・」
「ん、結構」

そのまま視線を動かさず、社長は秘書との事務的な会話をしばし交わした。

ふと、会話が途切れた時。
「あの・・・もう、いいでしょうか?」
怜子がやや恥じらいを含めた面持ちで桐ノ宮に問う。
「ん?ああ、そうだったな」
白々しく返事をする社長。書類から目を離した桐ノ宮がようやく秘書と目を合わせた。

「まず、例のものを確認しておこう」
「はい・・・・」
怜子は、短いスリットの入ったタイトスカートを両の指でつまむと
その端をゆっくり引き上げていった。

ストッキングに包まれた太股が次第に露になっていく。
年齢を思わせない、張りのある太股がその表面を次第に見せていく。
社長は、口髭をいじりながらにんまりとし、ゆるゆる上昇していく
スカートの動きを目で追って楽しんでいた。

 やがて、紫色のレースの下着が、逆三角の形を下から見せはじめる。
「ちゃんとつけていたようだな。えらいぞ」
「ありがとう・・・ございます」
頬を染めながら怜子が服従の言葉を口にした。

 だが、桐ノ宮がつけていたと指摘したのは、パンティの事ではない。
紫の下着から垂れ下がり、十センチ程で途切れている細いピンクのコードを示していた。
これは、社長がトイレで着けるように指図したものである。

「準備はいいな。よし、応接室へ」
「はい」
逆らう意志など微塵も見せず、怜子は静かに返事をした。

          ◆

 社長室の隣にある応接室。重要な客が来た時にだけ使われるこの部屋は
普段の使用を社長のプライベートな事のみに限定されていた。

控え室と同じ天井から床まではめ込まれたガラス張りの窓。
クリーム色に統一された室内に数点の観葉植物が飾られている。

 部屋に入った怜子は、社長に命じられるままスーツを脱ぐ。
ブラウス姿の上半身にやっと収まっている巨乳が
ぴんと張った布越しに、自身とその先端を強調していた。
上着をソファーに置き、ふとガラステーブルに視線をやった彼女は
そこに置かれたポラロイドカメラを見つけると、黙ったまま俯き、頬を赤らめた。

『ビッ!ビビッ!』
 ストッキングが社長の手によって引き裂かれる。
この破くという行為は、桐ノ宮が好んでわざとしているものであった。
代えの用意はいつもあるので幾ら破いてもかまわない。
 自らスカートをたくし上げ、太股を覆うストッキングを破られ続ける怜子。
猛獣に襲われ、皮を剥がれているような気分を感じながら
彼女はされるがままに瞳を閉じ、ストッキングの悲鳴を聞きつづけていた。

 そしてなんの断りも無く、社長は紫の下着に手をかけ
彼女の大切な部分を覆うレースのパンティを脱がしていく。
「いい湿り具合だな」
 火照りを持ち、じんわりと潤う秘部を桐ノ宮は時間をかけてじっくり眺めた。
彼女の秘裂は濃い毛並みに覆われていたが、小さな滴が彼女の興奮の具合を十分現していた。
そしてその下には、十センチ程のコードが一本。

尻肉を荒々しく揉みしだきながら、彼は自分の秘書に命令を下す。
「出してみろ。手を使わずにだ」
「は、はい、社長・・・・・・んっ・・・・・く・・・」
耐えるような吐息をつき、両の太股を半開きにした怜子は
下がり気味の眉をひそめた泣きそうな顔で下半身に力を入れた。
そして、ぬらり・・・ぬらり・・・と時間をかけ、彼女の中からひり出されるもの。
『ンィィィィィィィィ』
 秘書の奥から出てきたものは静音式のバイブレーターだった。
小さな振動音で怜子の内側を責め立てていたそれは、円柱型の底部から
亀頭部分まで出たところでぬるりと抜け落ち
桐ノ宮は落ちてきたバイブを左手で受け取った。

「しっかり受信していたようだな。どこで反応したんだ?」
「はい、エレベーターの前と・・・上っている時でした」
 線が途中で途切れている以外は、見た目一般的なバイブだったが
普通とは違う機能がある。無線で外部からオンオフを自在にコントロールできるのだ。
垂れ下がったコードは電源線でなくアンテナであった。

「感度はいいようだ。これなら商品価値がある」
あくまでもビジネス、といった風に社長が感想を漏らす。
 が、実際これが商品として表に出る訳ではない。
秘書に淫らなテストを強いる口実にしか過ぎないのである。
怜子自身もそれは知ってはいたのだが、社長命令である事と
自分の中のもう一つの意識から、拒否する事ができなかった。

『ちゅっ・・・じゅるっ、ちゅちゅっ!』
「あっ!はっ!・・・あぅっ!」
 突然、桐ノ宮が濃い毛並みの中へ舌を差し入れ、彼女の亀裂をすすった。
不意の刺激に腰を仰け反らせ、立ったまま舌技に喘ぐ怜子。

「ぁ・・・・くふっ・・・」
はしたない淫声に緩みそうな口元を怜子はどうにか抑えようとした。
スカートをめくり上げていた手を片方外し、ピンクの唇へもっていくと
曲げた人差し指を歯に当て、きゅっと噛む。

 しかし、彼女が快楽に耐えられるのは、いつも初めのうちだけにしか過ぎない。
桐ノ宮はそんな抵抗すらも楽しむかのように、蜜の滴る淫裂を貪り続けていた。
『ちゅくちゅく・・・ちゅぅっ!ずずっ!』

舌先で包皮を剥き、舐め上げると両の膝がきゅっと閉じる。
充血したクリットを含み、そっとすすってやると、花弁がわななき
軽く歯を立てれば、指を噛んだままか細く「くぅ!」と悲鳴を上げる。

 鼻の下の口髭をこすりつけたり、舌先で細かく震わせたりなど
様々な趣向を凝らし、熱く震える淫核へ社長が口撃を集中させるうち
彼女の啜り泣くような喘ぎが、絶えずその唇から漏れ続けるようになっていた。
「はん・・・ああぁっ!・・・あっ、ふぅぅん!・・・んっ!んんっ!」
ふらつく上半身を桐ノ宮の頭でスカート越しに支え、怜子は膝をがくがく震わせる。

「あぅっ! 社長ぉ、わっ、わたしもぅ!」
 彼女が達しそうになる寸前にまできたのを見計らうと
桐ノ宮は責め立てていた舌を離し、彼女から離れた。
支えを失い、怜子がくたりとその場にしゃがみ込む。
「あ・・・はぁっ、ふぅ・・・・ふぅ・・・・」

 ふと、気がつくと彼女の視界から社長の姿が消えていた。
「・・・社長?・・・・・あっ!」
不意に後ろから抱きつかれた感触で、怜子は彼が背後に回ったのを理解した。
前に伸ばした桐ノ宮の両手が、布越しのバストを鷲づかみに揉みしだき
その弾力性に富むEカップのふくよかな感触を楽しんでいる。
焦らず、戸惑わず、手中の獲物をもてあそぶ肉食動物のように
社長は秘書をじっくりいたぶり続けた。

『ブチブチッ!』
「んっ!」
ブラウスのボタンが飛び散り、彼女の胸元が両開きに引き裂かれた。
ぷるんと大きく揺れ、飛び出したむき出しの乳房。
大きさの割には形の整った果実の先端に、さくらんぼ色の乳首がかすかに震える。
ブラジャーは社長命令でここに来る前から既につけていない。

 すっかり尖った先端を二本の指でしごきつつ、桐ノ宮は彼女の耳元で囁いた。
「ここに来るまでにジロジロ見られたんだろ? 誰に見られたんだ?」
「は、はい。専務に・・・見られました」
耳にかかる吐息にぞくぞくしながら白状する怜子。
囁かれた方が彼女は感じやすいのを、社長は知っている。
そして、大きさの割に胸の感度が良いのも彼は熟知していた。

「そのでかい胸で誘惑したんだな?」
「誘惑だなんて、そんな・・・あっ!ああっ!」
言葉の途中で彼が乳首を責めるスピードを速めていく。
「ふっ、いやらしい奴め」
反論する余裕を怜子に与えず、桐ノ宮はピンクの突起をしごき続けた。
「して、ませ・・・んっ!ぁうン!」
「誘ってたんだろ? 誰でもいいからして欲しかったんだろ?」
「そんなこと・・・うふぅっ!」

 誰でもいいなんて思われたくない。その一心で怜子は一途な想いを口にした。
「わたしは・・・社長だけです、んっ!・・・社長以外のかたに
 して欲しいなんて、思ってませ・・・ハんっ!」
「ふふ・・・・可愛い奴だ」
わざと突き放し、向こうから求愛させるのも、彼の得意な手段であった。

 容赦の無い乳房への責めが続く。すっかり膨れ上がった突起を押して
巨房の中へ埋没させたり、片手に余る程の乳房を荒々しく鷲づかみにし
与えられる刺激に声を荒げて喘ぐ怜子を社長は楽しんでいる。
 そうしてしばらく胸をこね回されているうち、彼女の身体は快楽によって
前かがみになり、四つんばいの姿になってしまっていた。
桐ノ宮社長は彼女の肉体に覆い被さるような格好で責めを続ける。
いつの間にか、怜子は自分の太股の狭間に肉棒が挟み込まれているのに気づいた。

「ああ・・・社長ぉ・・・」
知的な顔が淫靡にゆがむ。その紅潮した顔に桃色の唇をわななかせて、怜子がつぶやいた。
素股で淫裂がこすられ、怜子はねだるように自ら下半身を蠢かせ始める。
とろとろと湧く愛蜜で肉棒はすぐに濡れ、いつでも挿入できる状態になっていた。

「ほら、入れてやるから立つんだ。いつもの訓練だぞ」
「は、はい。お願いします! 早く、早く入れてくださいっ」
淫棒の挿入を求め、怜子は背の低いヒールを脱ぎ捨てると
よろめきながらもどうにか立ち上がった。
桐ノ宮は、前かがみで待ち望む怜子の股間に狙いを定め
自分自身の先端を、じわじわと彼女の蜜奥へ潜り込ませていった。

「ああっ!はっ!・・・・・んうぅ!」
淫棒が奥へと進むたび、怜子が悶え、淫らに喘ぐ。
自身を限界までうずめさせた桐ノ宮は、そのまましばらく静止し
彼女のひだ肉の密着感や肉壷のひくつく具合を、楽しんでいた。
「は、早くぅ!動かしてください。お願いします、社長ぉ・・・」
「そうあわてるな、時間はたっぷりある」
ねだる彼女を言葉で抑えると、細い腰を引き寄せ、秘書の身体をその腕に抱く。
「じゃ、歩くぞ」
「は、はい・・・・」

 後ろからの交合で繋がったまま、一歩、また一歩と二人は窓際へ歩いていった。
桐ノ宮が歩みを進ませるたび、怜子の豊かなバストがたわわに揺れる。
 揺れる乳房を隠そうともせず、怜子は背後の彼に腕を伸ばし、しがみついていた。
窓に近づくごとに、社長のズボンを握り締める彼女の握力がだんだん強くなっていく。
腕が、太股が、首筋がふるふる震え、あからさまな恐怖の姿を彼にさらしていた。

 怜子は極度の高所恐怖症である。彼女がそうなったのは大きすぎる胸が原因だった。
豊満なバストで足元が見えず、幾度か階段から落ちた過去があったからなのだ。

 社長は、秘書の恐怖症を直すという建前でこういう訓練をするようになったのだが
実際二人にとって、高所の克服はもうどうでもいいものになりつつあった。
今では、恐怖を含んだ快楽に浸るのが目的だと言ってもよい。

 天井から床まで全面にはめ込まれたガラス窓。
今、二人はそのすぐ手前にまで来ていた。
桐ノ宮は秘書の身体をさらに押し、自分の体と窓の間に秘書を挟む。
ガラスに押しつけられ、淫猥に変形する豊満な乳房。

火照った乳首にひんやりとする感触が、彼女にはとても心地よいものに思えた。
窓際にいる恐怖を忘れるため、怜子はガラスに手をついたまま瞳を閉じ
その心地よさに意識を集中した。

「目を開けろ、街並みをよく見るんだ」
びくっと秘書の体がひきつる。だが、社長命令には逆らえず、怜子は恐々と薄目を開けた。
「ほら、見られてるぞ」
「ぁあっ・・・は、恥ずかしいです」
 他に見える高層ビルも無く、眼下の車が豆粒ほどにしか見えないこの場所を
誰かが見ているのは、事実ありえないことである。
ガラスコーティングによる光の反射もあり
眼下からはマジックミラーのように空が映った窓しか見えない。
 だが、屋外に向けてむき出しの乳房や、結合したままの陰部をさらすのは
例え誰も見ていなくても、羞恥を誘う行為ではあった。

「誘惑するのが好きなんだろ? 街中の男達に見せてやれよ」
たった一つの企業の力を元に、発展した街並み。
青空の下、桐ノ宮総合株式会社が築き上げた都市が眼下に広がる。
「お願い・・・見ないで・・・・・」
高所の恐怖でめまいがする怜子。くらくらする意識のせいか
彼女は、街中の男から視線を注がれているような錯覚を感じていた。

 秘書のヒップを腰でぐいぐい押しながら、桐ノ宮が耳元で冗談をつぶやいた。
「今、窓が外れたら、二人とも落ちてしまうな」
ガラスと社長に挟まれ、圧しつけられながら彼女は囁きを聞く。
「あっ!やぁっ!」
しっかりはめ込まれた窓枠が外れる訳がないのだが
怜子はその光景を想像しただけで恐怖におののき、全身を震わせた。

 窓にかける体重を乳房にまかせ、伸ばした腕で桐ノ宮のズボンをぎゅっと掴む。
柔らかな二つの脹らみがさらに加わった体重により、奇妙でいやらしい姿に形を変えた。

「恐いか?」
「は、はい・・・」
「安心しろ。俺がついててやるぞ」
 彼女がとろけそうな言葉を耳元で囁きながら、社長は秘書の腰を後ろから抱きしめた。
ゆるいウエーブの黒髪の香りを楽しみながら、ずぶっ、ずぶっと下半身を突き押すたび
彼女の眼鏡とガラスのぶつかる音がコツンコツンと軽く響く。

「あっ!いっ!イきそうです!社長っ!」
「俺は全然まだなんだがな。しかたない、先にイっておけ」
「あはっ!はいっ!」
 怜子のエクスタシーを許した桐ノ宮は、腰の動きを一段と激しくさせた。
乱暴な突きを怜子の臀部へ加え、社長は彼女を絶頂の高みに昇らせていく。
「あっ!んっ!んっ!・・・んぅうっ!」
イく寸前にまでなった怜子を確認した桐ノ宮は
指をガラスと巨乳の間に差し入れ、圧しつぶれたピンクの突起をつまんだ。
「あふっ!イくっ!イきますっ!はぁぅ!」
駄目押しに、彼女の耳元へ羞恥を誘う言葉を囁く。
「みんな見てるぞ。街中の男がお前のイくのを見てるぞ」
「はあんっ!恥ずかしい、です・・・んふぅ!イくぅ!」

オーガズムの頃合いを見計り、桐ノ宮はつまんだ突起をちぎれそうなほどギリギリつねる。
「あーっ!あーっ!イくぅっ!んんっ!はぁっ!あぁーーーーっ!」
脳内をどくどく流れる快楽のせいで、痛みは性感に変っていた。
怜子はかん高く一声叫ぶと絶頂に達し、桐ノ宮が乳首を離すまでずっとイき続けていたのだった。


 それから数分後、気がつくと怜子はいつの間にか来客用のソファーに寝かされていた。
すぐそばで、微笑みながらじっと彼女を見つめる桐ノ宮社長。
「あ・・・・・・すみません・・・わたし」
そこまで言いかけて、怜子の言葉が止まった。
彼が突然、怜子の口をキスで塞いだせいである。
『ああ、社長・・・』
瞳をうっとりさせたまま、彼女は差し込まれる舌の動きにしばらく夢中になっていた。
口髭のチクチクする感触にもかまわず、怜子は唇を桐ノ宮に圧しつける。
絡み合い、互いを貪るように戯れる二人の舌。

程なくして唇がついと遠ざかり、最後に離れた舌先から唾液が名残惜しそうに糸を引いた。
「愛してます、社長・・・・」
他に意図も何も無い、純粋な恋慕の言葉。

 彼女の言葉を耳にして、桐ノ宮はニヤリと笑った。
飴と鞭を巧みに操った成果により手に入れた、逆らうことの無い牝奴隷。
その事実を再確認した社長が、ソファーで横になっている彼女の腹へのしかかる。
そして、いきり立った自分のモノをEカップの巨乳に挟み、ただ一言。
「舐めろ」
と彼女に命令を下した。
「はい・・・・」
 嫌がる様子を微塵も見せず、怜子はふくよかな乳房と唇を使い、社長への奉仕を始める。
硬直した肉棒を二つの球体で優しく包み、飛び出した先端を舐める怜子。
たれた眉をひそめ、犬のように舌を突き出して亀頭を舐める淫靡な顔を
社長は含みのあるニヤニヤ笑いで見下していた。

 いつから社長へ想いを寄せるようになったのだろう?
舌先で社長のモノを舐めながら、ぼんやりした頭で怜子は考えた。
威圧感が尊敬に、尊敬が恋愛感情に変わり、想いを見透かされ
肉体を弄ばれるようになったのはいつからだろう?

 昔からの優等生で、誰からも大切に扱われていた自分を
初めて虐げてくれた唯一の存在、桐ノ宮社長。
一人遊びの時、いつも妄想していた強制的に辱められる行為。
被虐で感じるはしたない優等生という図式が、更に自分を虐げていた卑猥な淫夢。
心の奥に隠していた妄想を初めて実現してくれた相手が彼だった。

「よし、もういい」
しばらくした後、桐ノ宮が淫棒への接吻を止めさせた。
奉仕の間、社長が背後に手を伸ばし、亀裂を弄んでいたせいで
彼女の股間はジンジンとじれったく痺れていた。
「はぁ、はぁ・・・お願いします、社長」
膝裏を抱え、V字に開かれた怜子の脚。
その狭間の中央に、蜜でしたたる濃い毛並みがあった。

「毛がべっとり貼りついてるぞ。恥ずかしい奴だ」
「ァはっ・・・い、言わないで下さい・・・」
彼女の哀願を聞き流し、社長は彼女の秘部をじっくり観察し、充血したひだひだの具合や
こりこりに硬くなったクリットなどをいじりながら、猥褻に表現する。
「いやらしい花びらだな。穴と一緒にひくひくしてるぞ。そんなに俺のが欲しいのか?」
「はい、欲しいです。ぁあっ!社長ぉ、早くぅ・・・」
「クリトリスだってこんなに勃起させて、すけべな女だな」
「あっ!そこぉっ・・・・んっいいっ!もっとぉ!」
すっかり恥じらいを忘れて、怜子は社長を求め腰を蠢かせる。
「例のセリフはどうした?言わなければやらないぞ」
「は、はい。ああ・・・く、ください。怜子のバギナに、社長のペニスを下さい!」
「よし、よく出来たな」

 奴隷秘書の服従を確認した桐ノ宮は、彼女の上にのしかかると
準備の整った剛棒で一気に怜子を貫いた。
「ああーーっ!いっ!いいっ!あはぁっ!」
「いい顔だぞ。笹川君はセックスしている時の表情が一番いいな」
「あぅっ!お願いします。『怜子』って・・・呼んでください。ァふっ!」
「ん?笹川君は笹川君だろ?」
「・・・・・お願い」
 『笹川』の名字で呼ぶのは、相手と離れた距離を意味する。
怜子は、わざと存在をつき離すその呼び名に耐えられず
たれ気味の眉を悲しそうにひそめ、社長に哀願した。
「・・・判ったよ、怜子」
仕方なさそうにため息をついた彼が、ようやく彼女の名前を呼んだ。
「あっ、ありがとうございます。んっ!」

『じゅぷ!じゅぷ!じゅぷっ!じゅぷっ!』
「あっ!んっ!ひっ!・・・あぅぅ!」
腰を打ちつけるリズミカルな注挿のせいで、たわわな双なりの果実がゆさゆさ揺れる。
豊かな胸のぷるんと弾む様を、桐ノ宮はしばらくの間、目で追って楽しんでいた。

 欲情的な乳房のダンスに満足すると、次に社長は秘書のふくらはぎを肩にかつぎ
両足を腕に抱えると、彼女の膝頭をピタリと閉じさせた。再び彼が注挿を始める。
「くっ、いい締まり具合だな。出し入れがたまらんぞ」
「あっ!はひっ!ああ・・・締まるぅ!」
膣肉を締めつけるのは、男のみの快楽ではない。
締める側に同じだけの圧力が加わるのは当然の結論であり
敏感な秘肉で締めつける怜子にとっても、その内部からの膨張感は
息苦しさの伴なった悦楽なのであった。

「ああ・・・社長ぉ・・・」
「いい顔だ。怜子は泣きそうな顔が一番綺麗だな」
知性あるいつもの顔だちは、もうどこにも無かった。
息苦しい快楽から、眼鏡の奥にある目元にうっすらと涙が浮かぶ。
下がり気味の眉には、今にも泣き出しそうな顔がふさわしい。

 桐ノ宮が脚を抱えて持ち上げたせいで
怜子は尻の浮いた恥ずかしい格好で奥を突かれていた。
「はクっ!ひぁっ!あぅぅ・・・んふっ!」
臀部の谷間を伝わって愛蜜が流れ、菊座を濡らし腰近くまでとろとろ垂れていく。

「あっ・・・んっ!イっ・・・またっ!」
膣肉の痙攣と感極まった表情から、桐ノ宮は彼女が絶頂に近いのを感じ取った。
怜子の膝を曲げさせ、屈脚の姿勢に移した彼が、最後の突きを加速させる。
深い繋がりと、二人の恥骨に挟まれた淫核をぐりぐり圧しつぶす刺激のある体位は
怜子の好きな責められ方だった。
「いっ、いいっ!イくっ!イきます!」
「どこがイくんだ?はっきり言うんだ」
「はぃ!・・・お、お○んこが!お○んこがイきますっ!」
「ふふ、いい子だな。じゃあ、今度は一緒にイこうか」
服従のほうびに、桐ノ宮は腰の動きを突きから回す様に変えた。
彼女の好む子宮口をえぐり、クリットをすり潰す旋回運動。
「あひっ、奥がぁ!お豆がイっちゃうぅ!お○んこがイっちゃうぅ!」

『パシャッ!ジー・・・・パシャッ!』
突然、激しい光の瞬きが彼女の目の前で起こった。
それは、桐ノ宮が予め用意したポラロイドカメラのフラッシュだった。
「あーーーっ!いやぁっ!イくぅーーー!あぁーーーーっ!」
『パシャッ!パシャッ!ジー・・・』

 激しいフラッシュとフィルムを巻き取る音、写真の吐き出される無機質な音が
撮られているという事実を、嫌がおうにも彼女に認識させていた。
だが、見られているという羞恥は今の怜子にとって
快楽を増長させる材料にしかすぎない。

「お○んこイくぅ!お豆がイくぅ!あぁーーーーーっ!」
女にとって一番いやらしいエクスタシーの顔を撮られている。
それを認識させる音とフラッシュによって、怜子の悶えはますます高まっていく。
どくどくと膣奥に注がれる白濁液を感じた彼女は
激しい喜びの声と共に深い絶頂へ達し、そして奈落へ落ちていった。

          ◆

「今日のは特にいい表情だったな」
 いやらしい歓喜に悶える数枚の写真を、社長室の机でくつろぐ桐ノ宮が
自分の髭をもてあそびながら、じっくりと眺めていた。
 その中から特に出来がいいものを2枚ばかり選び出した桐ノ宮は
写真の余白に今日の日付やコメントをボールペンで書き加えると
一番右下の引き出しからぶ厚いファイルを取り出し、広げた。

彼女の最も美しい瞬間を収めたフォトファイル。
そこには、これまで撮影し続けたオーガズムの淫らな顔写真が
日付にそって幾ページも並べられている。

 側に立つ怜子のまだ火照りの消えない顔と、イく瞬間に写された表情を見比べた社長は
満足そうに下卑た笑みをし、一番新しいページにそれを追加した。

「そうだな、確かおまえの誕生日も近いことだし、今日のも含めて何かやろうと思うが」
「はい、ありがとうございます」
どんなに酷い目に合わされても、後で必ず優しくしてくれる。
怜子が彼から離れられないのは、そんなせいかも知れなかった。
飴と鞭を巧みに操って、桐ノ宮は彼女の心を完全に支配していた。

「望むものはあるか?」
「あの・・・・なら、これからはお名前で呼ばせてもらっても、よろしいでしょうか?」
「名前か? 別にいいぞ。ただし・・・」
桐ノ宮社長が一つ、つけ加える。
「二人きりの時だけだ。普段はそう呼ばないように注意しろ」

彼の忠告を聞いた怜子が嬉しそうに返事をした。
「はい、ありがとうございます。健一郎様・・・」
「『健一郎様』か・・・ん、悪くない」

 口髭をいじりながらアルバムを眺め、桐ノ宮健一郎はニヤリと笑う。
たまっていく写真と共に、ますます淫らになっていく怜子。
もうここから逃れられない。いや、逃れたくないという感情が
自分の中にしっかり根づいてしまっているのを
怜子は薄々判り始めていた。

『秘書、怜子の場合』  (完)

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