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『囚われる想い』 セイドメイドシリーズその7

byオゾン

第1章「前夜祭」

「んっ、あっ・・・はぁっ・・・・・んふ・・・」
「ふふっ、可愛いわよ・・・」

 日本とは遠く離れたフランスの、夜も遅いホテルの寝室。
一般の観光客に使用を許されていない4つ星クラスのスイートルームだが
いくら高級とは言っても、寝室までもが派手な内装ではない。
むしろ、落ちついた木目調の上品な家具が並んでいる部屋だった。
確実に豪華と言えるのは、部屋の中央に置かれた
4人で寝てもまだ余るほどの広いベッドであろう。

「はくっ!・・・・んっ!あっ、そこっ!」
マシュマロのように柔らかなベッドの上で白いシーツがしわを寄せ、乱れる。
乱しているのは淫靡な吐息のリズムに合わせ、絡み合う二人の女性。

「ああっ、おねぇさまぁ!」
可愛らしい喘ぎ声を奏でているのは、二十を少し過ぎた年の割に
あまり発達していない体つきをした女性、というより
少女と呼んだほうが相応しく見えるショートカットの娘であった。

「ミヅキってば、ホントにいやらしい娘ね」
「あぁ、いやぁ」
その娘を責めているのは、年は二十代後半にもかかわらず
手入れの行き届いたみずみずしい白い肌を持つ大人の女。
黒いレースの下着で包んだ形の良いバストとヒップを
くびれたウエストでくねらせながら、彼女は下になった娘の奥を
しなやかな指先でかき回していた。

「ほら、もうこんなにしてる・・・」
すっかり濡れそぼった亀裂から、ぬちゅると音を立てて指が抜かれ
ねっとりした液をまとわりつかせた姿を現わす。

指を抜いた彼女は妖艶な表情させながら、ミヅキと呼ぶ娘の目前で
二本の指を閉じたり開いたりし、糸を引く様子を見せつけた。
「やぁん!恥ずかしいです、冴さまぁ・・・」
頭を左右に振り、肩で揃えた髪を振り乱すミヅキ。

ミヅキを責めていた女性。それは健一郎の妻、冴であった。


 二人がこういう関係になったのは、もう1年も前からだった。
冴にとって以前の彼女は、海外ビジネス時の世話係でしかなく
出張時の私生活面をサポートするだけの存在に過ぎなかった。

だが、ミヅキから見れば冴は尊敬できる立派な女性であり
恋心にも近い憧れを持って彼女を見ていた。

二人の関係が変わった原因。それは、やはり冴の結婚であろう。
屋敷の世話は任されておらず、健一郎の事をほとんど知らないミヅキだったが
冴の様子から、夫である彼が原因らしい事は容易に想像がつく。

 結婚後も海外を飛びまわる冴が、健一郎と顔を合わせる機会は
それほど多く無かったが、たまの出会い、しかも共に一夜を
過ごしたらしい後の冴は、よくため息をつきながらぼんやりしていた。

かと思うと、不意に苛立ち始めてそばの物に八つ当たりをし
ミヅキの前で精神不安定な様子をさらしていたのである。

『冴さま、最近どうしたんですか?』
同情されるのを嫌う冴の性格を、ミヅキはよく知っていたが
世話係である自分が、彼女を放っておく訳にはいかない。
『なに?その目は。あたしのことバカにする気?』
『い、いえ、別にそういう訳じゃ・・・』
心配したミヅキの言葉を、冴は同情としか受け取らなかった。

『あなた最近、生意気よ』
『やっ、ちょっと!ぁぅっ、そこは!いけません冴さま!』
『ふふっ、あたしの方が上だって事、とことん思い知らせてあげる・・・』
逆上した冴による陵辱。一方的に快楽を与え、支配する激しい責め。
ひどく甘ったるく、それでいて泣きたくなるほど切ない感覚。
それは、ミヅキにとって初めての経験であり、新たな目覚めなのであった。


「あっ、ひっ!ダメ、ダメッ!もぉっ!」
そして今夜もまた、二人きりの淫靡な性宴が繰り返される。
「まだよ、まだイっちゃ」
「そんなぁ、くふぅんっ!」

ミヅキの肌がじっとり汗ばみ、熱く淫靡な性臭をあたりに漂わせている。
うつ伏せのお尻を高くした格好で腰をよがらせながら
彼女は恥ずかしく濡れる部分をさらけ出し、冴の指責めを受けていた。

中指とひとさし指がクリットを包皮の上からつまみ、優しく揉みしだく。
不意打ちにそこをほじくり返して剥き身の肉粒をコリコリいたぶる。
弱く、強く、強く、また弱く、予測できない緩急をつけた責めによって
ミヅキの内股は、次第にその痙攣を増していったのだった。

「あっ!イっ、イきそぉっ!」
秘部を彩る桃色の花びらがひくつきを増し、絶頂間際を主張していた。
だが、ミヅキが限界を迎える前に、冴の指はそこからすっと離れてしまう。
決してイかせないように、二本の指で秘穴の内肉をこね回して焦らし
少しでも波が引いたと思うと、再びクリットへの陵辱で寸前に追い込んでいく。

「ぁんんぅ!お姉さまぁ、イかせてぇ!ああ!」
崖っぷちに追い込まれ、ふらふら揺れ続けるような恐怖と不安。
いっそ落ちてしまいたくても、落とさせてくれない泣きたくなるほどの切なさ。
それらを含んだ快楽がミヅキの心と下半身の奥で延々渦巻いていた。

「ひっ!ダメッ!そっ、そこはっ!」
アヌスの入り口を薬指でいじられ、ミヅキは小さな悲鳴を上げた。
「うそ、ほんとは好きな癖に」

ミヅキは、今までに幾度かそこを責められたことはあったが
あくまでも入り口やその周辺だけであり、中に至った事は一度も無い。
タブーだった場所へ侵入される恐ろしさに彼女はそこをキュッとすぼめた。

「お尻の力を抜きなさい。指が入ったらイってもいいわよ」
「そ、そんなぁ・・・」
「イきたくないの?どうなの?ねぇ?ねぇ?」

右手の人差し指でぷっくり膨れたクリトリスをくすぐる冴。
「あっ、あっ、あっ、あぅぅっ!わか・・・わかりました、おねぇさま」
拒否は許されない。冴は自分が決めたことは強引に進める性格である。
そんな冴をよく知るミヅキは、全てを諦めて受け入れるしかなかった。

「いい娘ね、可愛いわよミヅキ・・・」
つぷり、と左の薬指が菊座の奥へ侵入を始める。
「あっ!あぅぅっ!」
指は、爪が隠れるほどしか潜っていなかったが
初めて後ろの処女を奪われたミヅキにとって、それは辛いものだった。

「苦しい?」
「あああ・・・はい・・・・」
「そう、じゃぁ楽にしてあげる」
続いてもう一つの濡れた淫口へ、冴の指がぬるりと潜り込んでいく。
そして、ミヅキの辛さを和らげるため、前に挿し込まれた人差し指と中指が
さっきまでと違う、明らかに彼女をイかせようとする激しい動きを始めた。

『づぷっ、づぷっ、づぷっづぷっづぷっづぷっ!』
「あっ!あっ!あっ!ああっ!ああああっ!」
『づぷづぷづぷづぷづぷづぷづぷっ!』
「あああああああああああっ!!ィッ!イくっ!もうイっちゃいますっ!」
30分以上もの間、おあずけをさせられていたミヅキにとって
この快楽は一たまりも無い。数秒もしない内に
近づく絶頂感によって彼女の太ももはビクビク震え始めた。

「今日はこっちでイかせてあげる」
だが、ニヤリと笑った冴は秘肉を愛撫する指を抜いてしまった。
そして彼女は、残酷にもアヌスに入った薬指を更に一関節ぶん奥へ埋没させると
8の字を描くようにかき回し始めたのだった。

「ひんっ!嫌ぁ!お尻が!ああ、お尻でイっちゃうぅっ!」
無意識にひくつくアヌスが指を拒否してきゅっと絞る。
が、その刺激は菊座の圧迫感、快楽をより一層強めさせるに過ぎない。
「ふふっ、お尻の穴でイくなんて、変態ね」
「あーーーーーーーっ!お尻が!いやぁ、あぁーーーーーーーーっ!」
うねっていた指が動きを変え、間接の節をぬぷぬぷ出入りさせる。
ミヅキは、後ろの穴でイくのだけはなんとか耐えようと努力してみたが
絶頂寸前の下半身を責められては、もうどうすることもできなかった。

ミヅキの心奥から我慢できない絶頂感が、溢れ始める
どくん、どくん!どくどくどくっ!と甘く粘つく何かがアヌスを奔流し
そして感極まった彼女の奥底から蜜のようなオーガズムが弾ける。
「あーーーっ!あーーーーっ!あぁーーーーーーーーーーっ!」
タブーを破られたばかりの後ろ責めを受け入れ
とうとう彼女は、はしたない穴での絶頂を迎えてしまったのだった。


「くすん・・・・くすん・・・・・」
「よく頑張ったわね、ミヅキ」
「ヒドいです、お姉さま・・・」
それから、前と後ろを合わせ4回ほど激しく果てさせられた後
ミヅキはようやく淫らな快楽責めから解放された。

すんすん鼻をすすらせ、冴に抱きついているミヅキ。
冴はそんな彼女の頭を撫で、優しく語りかける。

「彼との件を一人で勝手に進めようとするからよ。これは、そのお仕置き」
「・・・・・ごめんなさい。もうしません」
ミヅキは、良かれと思ったことは一人で進めてしまう性格で
そのことで時々冴に叱られていた。その罰は今のように
ベッドの上で行われるのが最近の常になっている。

「ううん。でも反対って訳じゃぁ無いの」
「え?」
「あなたの計画を聞かせてくれる?」
「は、はいっ!」
怪しい会話と策略が、乱れた白いシーツの上で始まる。

「でも、お姉さまが必ず欲しいって言うなんて、その人かなり有能なんですね」
「・・・そうよ、彼は必要な人材なの」
その言葉にミヅキは何かを隠しているような含みを感じ、何となく気になったが
すぐに気持ちは自分の計画を話すことへと向かい、それきり忘れてしまったのだった。

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