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『心の世界、夜の世界』

byオゾン

第4章「誰かに奪われるその前に」

「お願い。傷が恥ずかしいから・・・電気消して」
「うん・・・」
カチリと音がして部屋のまぶしい照明が消され、辺りは小玉ライトの薄暗い
だいだい色に包まれる。

 暗くなった途端、あたしは真の闇での出来事を思い出してしまい
ご主人様にしっかりと抱きついた。体の震えが止まらない。
「俺がいるから、恐くなんかないよ」
落ち着かせようとしてくれてるのか、ご主人様があたしに声をかける。

 一度。更にもう一度、薄明かりの中でのキス。
ご主人様の舌があたしの歯に当たり、ちろちろとくすぐった。
「んふふっ」
くすぐったそうにあたしが笑うと、ご主人様は口付けを放してにこりと微笑む。
「傷なんか、俺がすぐ消してやるよ。さっきの事だってすぐ忘れさせてやるからな。」
そう言うと、あたしの首筋にキスをして、そのままゆっくりとあたしの傷痕を舐め始めた。

 同じぬるぬるする感触でも、今度は気持ち悪さは何も感じられなかった。
何もつけてない全身の、傷の一つひとつを舌先で舐められる度、あたしの体が熱くなり
心臓がドキドキしてくるのが判った。

「熱い。でも気持ち良い・・・」
うっとりとつぶやくようにあたしは言う。首筋から肩にかけて、舌先で撫でられていく。
両の腕と手の甲の傷、足の先から太ももを這い上がり、お尻を渡って脇腹へ・・・
隅々にまでつけられた傷痕をご主人様は舐めてくれ、あたしの心を癒してくれた。
おへそのあたりを舐め上げられるのが、ゾクゾクするほど気持ち良い。

「ねぇ、薬つけたとこ舐めてて、にがくない?」
「ん? こうなるかもしれないって思ってたから、苦くないのを選んどいたんだ」
「・・・・えっち」
冗談なのか本当か、判らない答え。これも優しさなのかな?と思いながら
あたしは傷痕を舐められ続けていた。

『ちゅうぅぅっっ!』
「んっ! あっ! はんっっ!」
お腹からおっぱいの脇を舐めていたご主人様の唇が、突然あたしの胸の先端を含むと
音を立てて吸い上げた。思わずあたしは、はしたない声をあげてしまう。
「へへっ、ヤスミの喘ぎ声。初めて聞いたな」
「もぉ・・・・んっ!」

 柔らかく熱い舌先が、あたしの乳首を舐め上げる。
反対側の先端をひとさし指でコリコリと刺激され、少しずつそこが固くなっていくのが
あたし自身にもわかった。Hな本を読んだ時と同じ、じゃなくてそれ以上の感覚。
体中が熱くなり、鼓動が激しくドキドキしている。

 左右の乳首をかわりばんこに舐められて、あたしはぼうっとするくらいの
心地よさを感じていた。つつと、胸の谷間を舐め上げられたあたしは
何となくある事を思いついた。
「ねぇ、あたしの両方の胸、よせ上げてみて・・・」
「え?・・・・・こ、こうか?」
ふにゅっと二つの胸をご主人様がつかんで真ん中に寄せる。
「んっ! そう・・・それでね、そのまま間に舌をいれるの。やってみて」
「お、おぅ・・・」

 さっきの怪物にされたのと同じ行為。でも今度は気持ち悪さなんてまるで無い。
ご主人様に同じ行為をされる事で、あたしはさっきの感触を追い払おうとしていた。
胸の谷間に舌を差し入れられると、心と体の奥深くまで
ご主人様の舌を入れられているような不思議な気分になる。
「これが、いいのか?」
「うん。そぉ・・・」
「じゃ、もっとしてやるよ」
「あっ・・・はっ、はぁん!」
左右の胸を寄せてむにむに揉みしだかれ、両の乳首をつまんでしごかれながら
あたしはご主人様に胸の谷間を舌で攻められていた。おっぱいのあたりが凄く気持ちいい。
ご主人様の荒い鼻息が胸の谷間にあたり、熱い空気を感じる。

 「ご、ご主人様ぁ・・・キスしてぇ」
艶っぽい声をあげて、あたしは口付けをおねだりした。
体中いたるところに触れ合う感触が欲しくて、たまらなく疼いてしまう。
「ヤスミ・・・・好きだよ」
ご主人様はそう言うとそっと唇を重ねあわせ、そのまま舌をあたしの中に入れてきた。
暖かいお湯が心に沁み込んでいくような、心地よい感覚。
あたしもご主人様の舌の動きに答えて、自分の舌をからませた。唾液の絡み合う淫らなキス。

『うわぁ・・・Hだなぁ・・・』
そう思う事で、ますますあたしの興奮は高まっていってしまった。

 キスをしながら、あたしのおへそを撫でていたご主人様の手が
ゆっくりと下に滑り降り始める。下腹部のラインを撫で下ろし、アンダーヘアの生え際を
ひとさし指でこちょこちょとくすぐって、あたしを焦らしている。
「ぅん・・・やだぁ・・・」
「じゃ、やめとく?」
「・・・ううん・・・・・続けて」
指先が更に下へと向かう。あたしの恥ずかしい亀裂へ指先がゆっくりと進み
思わずあたしは両腕をご主人様の背中にまわして、しっかりと抱きしめた。

 優しく撫でるような指の動き。いつのまにか濡れ始めていたあたしの谷間を
ご主人様の指が上下に撫でて、ぬるぬるとくすぐっていた。
「もう、濡れてる・・・」
「言わないで・・・」
いやらしく乱れる自分が恥ずかしくて、顔を横に向け見られないようにする。
そんなあたしの気持ちに気づいたのか、ご主人様はちょっぴり意地悪っぽく
あたしに語りかけた。

「ほら、こっち向いてごらん。Hな顔を見せてよ。」
「やん・・・やだぁ」
「こっち向かないと・・・ほら、こうするぞぉ」
指先があたしの亀裂の上あたりをくすぐる。コリコリとあたしの小粒なお肉をほじっていく。
「あっ、あふっ! はぅん!んん!」
「Hだぞ、すごくHな顔してるぞ」
「あぁん!・・・・みっ、見ないでぇ・・・」

 意地悪される事ですらあたしは喜びを感じていた。何度も何度もそこをくすぐられ
肉の包皮をむかれて、Hなお露のついた指であたしの一番感じる部分がいじられ続ける。
「あっあっ、ああっ!・・・すごい、すごく・・・いいっ!」
生まれて始めて感じるいやらしい肉の快楽とその喜びに、あたしは夢中になっていた。

「んっ!痛っ・・・」
ご主人様の指が、クリトリスからあたしの恥ずかしい穴の方へ向かった時
あたしはそこの部分に痛みを感じた。
「あ、ごめん・・・まだ、痛かったか?」
「ううん・・・・あの、さっきそこも引っかかれたから・・・」
「・・・こんなとこまで・・・くそっ! ごめんな、俺が気づくのが遅れたから・・・」
ご主人様は悔しそうな声を出す。怪物よりも自分の方に怒りを向けるご主人様。

「ううん、もういいの。それより、今は早く忘れさせて・・・」
「ん、わかった・・・ここの傷痕も舐めてやるよ」
「え? あ、そっその・・・そういう意味で、言ったんじゃなくてぇ・・・」
あたしは慌てて否定したけど、ご主人様は聞こえないふりをしているのか
体をずらしてあたしの足の間に顔をうずめる。

「やっ・・・あの、そこまでしなくていいからぁ!」
間近で見られるのが恥ずかしくて、あたしはそこを両手で覆って隠した。
「お、れ、は、舐めたいんだけどなぁ」
意地悪そうに言いながら、隠した手の上からぺろぺろと指を舐めるご主人様。
あたしの両腕を優しくつかむと、ゆっくりとその手を外していく。ほとんど力は込めてない。
「・・・もぉ」
なるべく仕方ないような声をあげて、あたしはそっと手を取り除いた。

「・・・・・綺麗だ」
「・・・・・恥ずかしい」
素直な感想を互いにつぶやく。
そして、ふっとあたしに触れるご主人様の舌。じっくりと時間をかけて最後の傷痕を
ご主人様は舐めて治療してくれた。恥ずかしいけど、とても心地よい感覚だった。

 しばらくそうして舐めているうち、ご主人様の舌の動きがだんだんと激しくなっていくのを
あたしは感じていた。優しく触れるようなものから、強く舐め上げるような感じへ。
やがて亀裂をほじっていくような、いやらしい動きへと移り変わっていく。
「あっあっあっ、あぁん! あん、駄目ぇ!もぉ、もぉっ!」

 太ももで頭をしっかりと締め付け、あたしはご主人様の頭をつかんでいた。
腰から下がばらばらになりそうな、変な感覚。
そして、そのばらばらになりそうな下半身を繋ぎ止めようとするかのように
ご主人様の両手があたしのむき出しのお尻をつかんでいた。

 頭をひねってほじるような舌の動きはまだ続いている。自分の奥からどんどんと蜜が溢れ
はしたなく濡れているのが良くわかる。そして優しく吸われるあたしの恥ずかしいクリトリス。
『ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅぅぅっ!』
「は、はぁぁん! あ、や、なんか・・・ちょっとぉ!!」
びくびくと勝手に腰が蠢き、あたしは舌の送り込む快楽で痙攣していた。

「ああっ!あああっ! はぁん! で、出ちゃう!」
あたしのあそこから何かが溢れ出てしまいそうな変な感覚。
これがイくって感じなんだろうか? そう思っていた時だった。

 ご主人様があたしのあそこから顔を離し、体を戻してあたしを抱きしめた。
あたしは、なんで?って顔をしながらご主人様を見つめる。
きっとご主人様からは、凄くもの欲しそうな顔に見えただろう。

「そろそろ・・・いくぞ」
その言葉からあたしはご主人様が何をしたいのか理解した。
「・・・うん。早く、ご主人様のものにしちゃって」
誰かに奪われるその前に、早くご主人様のものになりたい。
今すぐご主人様に奪って欲しくて、あたしはぎゅっとその体に抱きついた。

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