修正作業の雨あられ

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私が自分の文で一番気にしているのは、読みやすさです。
その中で注意しているものを、分けて書いておきます。


単語の注意点

「誤字脱字のチェック」

 これはまぁ、当然と言えば極当然な修正。自分も小説読んでる時、それに気づくと
そこで一気に冷めてしまうので、一番注意している部分です。

「〜た。〜る。〜い。単語止め。の量の調整」

 語尾にも気をつかいます。うっかりすると、「〜た」の連続や「〜る」の連続というみっともない
文章になってしまいますので。下書きの時は気にしてませんけどね。後で直すし。
前後のバランスからも考えて、発音しても気にならない程のレベルに慎重に調整します。
「〜る、で止めるのはよくする。〜た、も頻度は多かった。他にも語尾は色々あり
動詞で書く。名詞という方法。名前で止める方法も使うオゾン。
あと、形容詞でも面白い。そういえば疑問という方法もあっただろうか?」

「同一単語のダブり」

 主人公の名前や登場人物の名前は文章内で良く使いますが、あまり頻繁に
誰々は〜。誰々は〜。と書くと、読む側としてはうっとうしいです。
こういう時は単語がダブらないように「名前」「彼」「主人」など
三種類程度の単語にばらして使ってます。わざと主語を書かないのも手です。

「間接的な表現」 NEW!

 性器の名前を直接書いてしまのは、意外に萎えるものです。
官能小説系に良く使われるので、わざと間接的に表現する方法があります。

女体のお尻や胸やあそこを、別なもので例えるのは常套手段ですし
女淫を花に、男根をミツバチの針として、蜜を貪る様子を描写したり
童貞を食らう未亡人を、小魚を捕らえたイソギンチャクに表現したり(笑)

人間は想像する生き物なので、そのものをそのままに描かれるより
もっと綺麗なもの、もっと激しいものに例えた方が
想像を膨らませやすいんですよね。

「漢字の使いすぎ」

 例えば、解す(ほぐす)煩い五月蝿い(うるさい)鬱陶しい(うっとうしい)などの
普段使わないような漢字は、ひらがなで書くようにします。
えっち系でなく、官能系の小説なら雰囲気を出すのにこういう漢字を使うのもありですが
「なんて読むんだ?」と悩ますのも何ですので、わたしは適度にひらがなを使ってます。
ここはひらがなの方が雰囲気がいい! って時もあるなぁ。
他にも「その後」(そのご、そのあと、そののち)と複数読める単語の時に
音韻重視のため、ひらがなのままにする事もありますね。

「点と丸のバランス」

 文章内で、点と丸の位置は思ったより重要です。
私の文はどうしても句読点の丸が少なく、一つの文に説明を次々追加して
長くしてしまう癖があるので、所々に点を入れ、読みやすくするよう心がけてます。
この場合も、かなり長い文章ですよね。その他にも
点の代わりに改行ですませる事もあります。
目で、追いやすくなる他にも、脳に、一呼吸させる効果があるので、短い文で
音韻を、含ませたい場合にも、点を、使います。これは、ちょっと、使いすぎの例(笑)

「改行位置、空白行の区切り設定」

 長々と改行せずに書き、HTMLの自動改行機能を使うと、単語の途中で区切られてみっともない文章になってしまう時があります。例えば「文」と「章」を切られたら読みにくいですもんね。
あと、空白改行で文章を数行毎にまとめ、複数の固まりにして見やすくします。
基本的に展開が進むごとに空白改行を入れて、間を空けます。
読んでて話が進んだ事が、なんとなく判りますからね。間(ま)も、作品のうちです。
 ◇
あ、そうそう。かなり時間がたったような場合は、2行改行したり
明らかに場面が変わったような場合は、こんな風にで分けちゃったりします。

「場面を見せる単語」

 「見た」「言った」などの単語でも小説は書けますが
それだけだと、具体的な様子は読者に判りません。
書かれた場面は、作者の脳内だけに存在する場面になってしまいます。

「言った」という単語一つにしても、その場の雰囲気でかなりの言い回しが使えます。
それを一つの単語に限定させておくのは勿体無い話ですよ。
一例を申し上げましょう。
 言う、話す、語る、話し掛ける、語り掛ける
 聞く、問う、質問する、問い掛ける、詰問する、問い詰める、問いただす、文句、咎める
 答える、返事をする、解答、言葉を返す、反論、白状、否定、打ち明ける、吐く
 つぶやく、ぽつりと漏らす、囁く、独り言、言葉を漏らす
 命じる、命令を下す、言い聞かせる、強要、強制、説得、頼む、願う、請う
 呼ぶ、呼びかける、呼応する、サインを送る、連絡、伝える
 叫ぶ、吠える、絶叫する、悲鳴をあげる、助けを求める
 けなす、ののしる、なじる、暴言、卑下する、けだし文句、からかう
 口を開く、会話、口にする、感想を漏らす、挨拶を交わす
使える場面がかなり限られる単語もありますが
ちょっと書いただけでもこれだけあります。御参考になればどうぞ。

文章の注意点

「興味を引く出だし」

 読み始めから状況説明ばかりで、なかなか本編が始まらなかったり
Hにいくまでに、延々と重要度の低い場面が続くと、読む側が飽きてしまい
読み飛ばしたり、読むのを止めたりする人ばかりになってしまいます。
状況説明しながら読み手を楽しませたり、Hに行くまでの場面でも
興奮してしまうような文章ならいいけど、さすがにそれは難しいですし。
初めに引き込ませて、これからどうなるんだろう?と思わせるような
文章の出だしは重要です。つかみはオッケイというやつですな。

「説明抜け、不足、し過ぎの調整」

 私は説明的に細かく書いてしまう癖があるので、説明しすぎな文章で読者が
冷めてしまわないよう、短いまま判りやすく書くように気をつけてます。
でも、これがなかなかできないんですわ(^^;
それと、後で読者の気持ちで読み返して、説明抜けな部分がないか探すのも基本です。

「切るところはすっぱり切る」

 小説で起こったことを全て書いてしまおうとすると、助長になってしまいます。
こういう時はすっぱりと切って、あっさりさせてしまうのも手です。
「エクスタシーバージン」は特にそれが多いです。
冒頭から彼女が相談し始める部分を飛ばしてますし、脱衣シーンも中略だし
お漏らしの後始末も飛ばしたし、雪久が姉に相談するシーンも
姉が翌日両親を連れ出す場面も無いです。
壮大な物語でもないですし、重要度の薄い部分を飛ばして
早い展開にするのも、読み手を引き込ませる条件ですね。

「五感による情景描写」

 普通の小説って、視覚による描写が多いですよね?
でも実際、私たちが日常で体験している感覚ってそれだけじゃないハズです。
マックで女子高生とすれ違った時の、ふわっとした香りや、黄色い笑い声。(嗅覚と聴覚)
オレンジジュースの甘い味や、ハンバーガーのふかふかなバンズの感触。(味覚、触覚)
「あ〜なんかいいなぁ・・・」と、ほのぼのしてしまう自分(笑)(感情的感覚)
視覚以外にも描写できるものは、色々あるはずです。
その描写だけで臨場感がぐっと増すのですから、状況描写を
見た目だけに頼るのは、すごくもったいない事だと思います。

「余分な情報のカット」

 たとえば、まるで関係ない人物の名前や、複線になりそうでならない余計な情報が
文章のそこかしこにあったら、読む人が覚えるのに大変ですよね?
その中の一つに複線を仕込ませたとしても、読者は一々読み戻って確認しなければならず
非常に無駄手間です。
 「切るところはすっぱり切る」と似たようなものですが、記憶という点で
読みやすい文章にするためにも、余計すぎる情報はカットするべきでしょう。
 まぁ、場の雰囲気を出すための描写に、多少の余分な説明をするのも必要ですが。
とりあえず裏設定を盛り込もうと、情報を詰めすぎるのは
小説の味がごちゃごちゃ雑になって良くないです。

「説得力ある理由」

 今起きている出来事を、ただ延々と書き連ねていくのは文章に説得力がありませんし
読者が「なんでこいつはこういう行動したんだ?」とか
「なぜこいつはこう感じたんだ?」と思った疑問にお構いなく進んでいくのも不親切です。

ストーリーの合間に「なぜなら、こう考えていたからだ」「こんな過去があったのだった」
という文を加えるのは、話に深みを増すための重要な部分です。

読者に疑問を持たせる行動をさせておいて、後で解説し納得させるという
手法もできるので、読者を楽しませる手段としてぜひ活用したいですね。

「盛り上げるリズム」

せっかくの盛り上がるシーンなのに、普通のシーンと同じく
淡々と文章が進んでしまうのでは盛り上がれません。

ここぞという時は文章のリズムを変えて雰囲気を変えるのもいいです。
盛り上がれないのだ、普通のシーンと同じでは。
淡々と進む文章。それだと、とてもじゃないが盛り上がるシーンとは呼べない。

ここぞという時に変わるリズムは文章の雰囲気を、そして読者の心をも変えるのである。
白い文と、紫の文。同じ意味でも書き方を変えるだけで
読んだ感触が大分違ってきますね。
でも、リズムの違う文は読み難い文とも言えるので、やり過ぎには注意です。

「映像のような緩急の流れ」

 次々場面が展開していくシーンをじっくり描写するのは
助長になっていけません。その逆で、じわじわ進む場面なのに
あっさりとした描写しかないのも読者が想像できませんし。
その場の流れに合った文章というのは、やっぱりあるんですね。
ダメ例1:走り去った彼女を探し回る場面で、あちこち聞きまわるのを詳しく描写。
 
ダメ例2:一室の部屋だけで話が進んでいるのに、部屋の描写が何も無い。
良い参考は、同じ小説よりも映像メディアのほうがいいです。
場面が変わったら遠間で風景を見せておいて、次に人物を映しますし
じっくり話し合うシーンは色々角度を変えて室内を見せてます。
刑事があちこち聞き込むのは、それぞれ一瞬しか出しません。

テーマとはずれますが、文章を映像として描写するには
映像の方が参考になるんですよね〜

「共感しやすい比喩」

例えば洞窟の闇を表現するのに、空間の広さ、湿度、温度などの
データーを数値で表現しても、読者が共感できるとは限りません。
自分の心の中にある風景と同じ場面を、読者が心に描き出せるような
そんな描写ができれば言うこと無しです。
もう何時間歩いただろう? 時間の感覚も判らなくなるほど
どこまでも続く洞窟を、私はペンライトの明りを頼りにふらふら進み続けていた。
分かれ道のないその穴は、まるで大蛇の腹に居るかのような錯覚を
起こさせ、ひたひたと冷たく頬に貼りつく湿った闇により
私の脳は絶望と悲観しか存在できないよう次第に麻痺していった・・・・
湿度が100%とか、歩いた距離が何キロとか、数値的にわからなくても
陰鬱とした闇の表現は十分できますね。

「想像させる描写」 

何の飾りもないそのものの描写は、読者の気持ちを動かしません
思わず想像してしまうような描写をするのもいい文章のコツです。
●草が風にそよいでいる丘
 
●これからの波乱を思わせるような強風にざわめく草の丘
 
●優しく囁くかのように葉擦れを奏でる草の丘
似たようなシーンでも全然感じが違ってきますよね。
他にも、わざと描写しないで省いた部分を読者に想像させるという手段もあります。
「夫婦の秘めごと」の序盤にある「大学時代の色々」はその例です。
あと、一部だけ詳しく描写してその前後を想像させる場合もあって
例えばキノコ怪人が叫ぶシーンだったら
 
「よくもやってくれたなぁ!」
 
と叫ぶよりも
 
「よくも俺様の密室トリックを見破ったなあ!」
 
とした方が、読者は思わず何が起こっているのか想像してしまいますもんね。

「読んだ後の気持ち」

 私もなかなかうまくできないのですが、エンディングのシーンも
小説にとって大切な部分です。
興味を引く出だしより重要で難しいだけに、これが決まると
小説としての魅力がかなり良くなります。
終わり良ければすべて良しというやつです(^^)

全体構成の注意点

「視点の問題」

 これは下書きや書き始める前に決定するものなんですが、視点の問題。
主人公の視点か第三者からの視点で書くかという部分です。

視点をどうするかで、臨場感や文章がガラリと変わるので重要な部分ですね。

私が普通書くのは第三者からの視点なんですが、それだけだと
ただ淡々と情景説明するだけの文章になってしまうので
全体的に視点を誰かに寄らせてみたり、一時的に個人の心境を
語らせてみたりすることで、文章にメリハリをつけさせてます。

「性格矛盾、背景矛盾」

 性格づけはかなり重要。例えば、小説の冒頭で引込み思案と説明した女の子が
気軽に彼を誘ったりするのは変な話ですからね。性格矛盾になりそうな所は
その行動の理由を書き加えたりして、説明します。
舞台背景に「なんでこうなるんだ?」という矛盾を無くすのは一番最初と最後にします。
これは全部読み返さないとわからないからです。
でも、よほど酷くないと気づかないもんでしょ? たいてい最初のうちに無くせますし。
昔のジャンプの「きん肉マン」は強烈に矛盾が酷すぎでしたけど(笑)

「一章毎のボリューム調整」

 それぞれの一章が全体的に平均したバイト量になるよう調整します。
長かったり短かったりだと、読んでてペースが掴めないので。

「全体の調整」

 長い文章の場合、書き終わりと書き始めの時期がかなり開くのですが
そういう文章を後々見直すと、前半と後半でまるで文章の作りが違う時があります。
長文の場合、何日も時間をかけて書かねばいけないので、その時々の気分によって
文章の作りが変ってしまうんですね。
やはり、そういう長文の場合は後で必ず通しで見直して
全体の調整をするのが必要です。

「ここが見せ場だ!」

 盛り上がる場面の無いまま、ただぼんやり終わるだけの小説は
読み終えた後で心に残ることができません。そんなシーンが少ない小説は
読んでてつまらないですし、逆に多すぎてもテーマを絞りきれないです。

心に残るシーンは小説にとって大切なメインディッシュなので
テーマを絞ってここぞというものを用意しておきたいです。

また「オレはこんなシーンが書きたいんだ!」という思いから
まず始めに見せ場を作り、前後のストーリーを後で考える、なんて方法も。
オチを思いついてから前振りを考えるのは、4コマと同じですね。
慣れればこちらの方がやりやすいと思います。

 ここでは技術的なことばかり書きましたが
一番大切なのは、本人の「書きたい!」という思いですね。
その気持ちを大切にするのが、いい文章のコツだと思います。

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