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『契約の夜』セイドメイドシリーズ

byオゾン

第2章 「浴室にて」

「どうした?脱がないのか?」
「いえ、その・・・」
 洋風の館に不釣り合いな和風の脱衣場でユカは戸惑っていた。なんの気兼ねも無しに
次々と衣服を脱いでいく健一郎から目をそらし、両手を胸に置いたままもじもじとしている。
 男の肉体を見るのは小学2、3年の頃に父親と風呂に入った以来であり、ましてや
彼女はまだ16になったばかりである。
 中学の3年間と高校の1年は女子校生活だったせいもあり
男の体に対し免疫が無い彼女はどうしてよいかわからず、ただおどおどしていた。

「あの、先に入っていてもらえないでしょうか?後から行きますので」
 いったん全部脱いでしまえば、タオルを巻いて体を隠すことができる。
ただ、脱いでいる間はどうしても見られてしまうのでそれだけは避けたかった。
「俺は君が脱ぐのを見たいんだがな。それとも、脱がしてもらうほうがいいのかい?」
 脱ぐのが嫌なら脱がしてやる。そういった意味合いを込めたセリフである。
もはやユカには選択の余地は無い。あきらめなければならない事を理解し
彼女は主人に背を向けたまま、ゆっくりとメイド服を脱ぎ始めた。

 白いエプロンをとり、ソックスを下ろし、背中の彼にちらりと目をやり
視線を感じながらも、やや間を置いて青い服とスカートを脱ぎはじめる。
カップの小ぶりなブラを外すと急いでパンティを下げて
オレンジ色のタオルをその身に巻きつけ、魅力的な白い肌を隠した。
「・・・きれいなお尻だな」
見ていたぞという内容を遠回しに表現し、健一郎はにやりと笑った。
ユカがまた頬を赤らめる。

 浴場は想像していたよりも小さなものだったが
部屋に備え付けられたものと考えるとそれはかなりの広さをもっていた。
八畳間一つ分の浴室に大人四人が余裕で入れる程の岩風呂。
 別に隠しもせず健一郎は湯の中で大股をひろげ、縁に肘をおいてくつろぐ。
それに対しメイドは湯の反対側で縮こまり、湯の中で揺らぐ彼のモノを見ないように
顔をそむけ、戸口の方ばかりを見ていた。

 彼は、和風の風呂が好きでわざわざここを改造させた事や、時々温泉に行ったりする話を
ユカに聞かせたが、彼女の方は「はぁ」とか「そうですか」など気の無い返事ばかりをする。
どうやら彼の体が気になってそれどころではない様子である。

「長話も飽きたな。そろそろ体を洗うぞ」
そう言って健一郎は湯船から立ち上がった。
「あ、はい。・・きゃっ!」
 ユカは主人のほうを向き直すがうっかり股間のモノを見てしまい
思わず小さな悲鳴をあげてしまった。妙に心臓の鼓動がどきどきしてくる。
「ははは、見慣れてないようだな。今から慣れておかないと後でつらいぞ」
 それは、ユカがこの後どんな事をされるのかという、その行為の内容を意味していた。
触られ、舐められ、そして今目にしたばかりのものを入れられる。ユカの乏しい知識では
その程度しか想像できなかったが、それでも彼女をおびえさせるには十分だった。

「あの・・・・本当にするんですか?」
「ん?何だ、そんなに体を洗うのが嫌なのか?」
「いえ、そうじゃなくて。その、本当にこの後、あたしと・・・するんですか?」

 ユカは『セックス』という単語を出すのを避けた。本でしか読んだことのない
その言葉は、まだ彼女が口にするには抵抗がある。
「恐いんだろ、セックスするのが」
健一郎は、ずばり彼女の心境と質問した理由を言い当て
そのものの単語を使い、彼女をどきりとさせた。
「心配するな。処女なのはさっき聞いた。手荒な真似はしないつもりだ。
 まぁ多少の痛みは覚悟しておかなければならないがな。『覚悟はできてる』はずだろ?」
「はい、じゃ・・・あの・・・なるべく優しくお願いします」
「それは君しだいだね。協力的なら苦痛は少ない。さぁ、それじゃさっさと背中を流すんだ」

 健一郎の背中をボディシャンプー用の柔らかいスポンジで洗っている間
彼女は少しづつ落ち着きを取り戻していった。
『手荒な真似はしない』
『協力的なら苦痛は少ない』
この二つの言葉が今のユカにとって拠り所になり。
今までの不安な気持ちをほんの少し解消する。

ミント系ボディーシャンプーのすっとする香りも彼女の不安を消す手伝いをした。
『なんだか・・・・お父さんの背中を洗ってるみたい・・・』
 彼の広い背中を洗っていると、今は亡き父親の背中を流していた小さい頃を思い出し
彼女はもうすぐ始まる恐怖を忘れ、幸せな昔の懐かしい記憶へと心を逃避させる。
「背中はもういい。次は腕を洗ってくれ」
ふいに聞こえた健一郎の言葉にユカはハッと我に返る。
そして、今洗っている相手は父親ではなく自分の所有者なのだという事を彼女は再認識した。

 そこから先が健一郎にとって一苦労だった。腕から胸、それが終わると足の先。
そこからだんだん上へと洗うように健一郎は命令し、ユカを男の肉体に慣れさせる
ようにしたのだったが、どうしても股間のモノを洗いたがらない。

 仕方無しに小さなイスからそばにある膝よりやや高い岩へ腰掛け、洗いやすい姿勢をとり
「早くしろ。今慣れておかないと後で辛いと言ったはずだぞ。
 それとも、罰のほうがいいのか?」
そう命令してようやく彼女は顔をそむけながらも彼の股間にスポンジをあてがうのだった。

 彼女に触られる感触のせいで肉棒がむくむくと大きくなっていく。
ユカはその物体の変化に驚いた様子だったが
その時の表情は恐怖というより、むしろ好奇心の方が表に出ていた。
そんな顔に気がつき、彼は直接触るように命令する。
「スポンジはもういい。両手で直接洗って大きさを確かめるんだ。命令だぞ」
命令という部分を強調し、それに触ることがけっして彼女の本意で無いようにしてやった。

 ユカはおずおずと手をのばし、泡まみれになって反り返る健一郎のそれに触れた。
最初は戸惑い気味に撫でていた両手は、見慣れぬその形の不気味さに慣れてくると
次第にその動きが大胆になり、そむけがちだった顔も最後にはしっかりと
肉棒を見つめるようになってくる。
『うわぁ・・・こんなふうになってるんだ・・・・』
 その顔はすでに嫌がってさわる者の顔でなく、好奇心でいっぱいの子どものような
表情になっていた。時々ひくつきながら熱く反り返るそれを両手で握り
袋のほうにまで手をのばす。
初めて触れるおもちゃを試すように彼女は丹念に全体を撫で回していた。

「そんなに強くしたら、痛いぞ」
健一郎の言葉にユカはハッと我に返り、顔をあげる。全てを判っているような
にやにや笑いで見つめる彼。
途端に彼女は自分がとんでもなくいやらしい行為をしているのに気がついた。
急いで両手を外すと耳までまっ赤に染めてうろたえ始める。

「あっ、あの、すいません!あたしそんなつもりじゃ・・・」
「『申し訳ありません』だ。別に興味を持つのは悪いことじゃない。
 むしろ慣れてもらった方がお互いに都合がいいはずだ。そうだろ?」
「は、はい・・・」
「じゃあ、俺のほうはもういい。今度は君の体だ」
「あ・・・・はい、わかりました」
体を洗われるのには抵抗があったが。自分がさんざん触ってしまった後ろめたさもあり
彼女は素直にその言葉に従った。

 背中に柔らかくあてがわれるスポンジの感触。誰かに体を洗われるなんて
何年ぶりの事だろうか。久しぶりに感じる背中の触感と、鼻腔をくすぐる
女性用ボディーソープのバラの香りにユカはうっとりと目を閉じ、その身をまかせていた。
 が、それでも両腕は乳房と股の間をしっかりとガードし
健一郎に対してまだ気を許していない事を示していた。
『そろそろいいな・・・』
 健一郎は彼女の緊張がとけてきたのを見定めると、スポンジを持たない左手を使い
白い柔肌への蹂躪をはじめる。始めは肩から腕へを指を這わせ、くすぐったそうにしながらも
抵抗しないのを確認した後、脇腹や腰、そしてお尻の上あたりにかけてを撫で回した。

「あ・・・や・・・そこ、くすぐったい」
「我慢するんだ」
もじもじと反応する動きを楽しみつつスポンジで脇腹を洗う。太股の外側へ左の手のひらを
這わせゆっくりと往復させると、こらえきれなくなった彼女が口を開いた。
「あ・・もっ、もう、いいです。後は自分でします」
「だめだめ、まだ洗ってないところはいっぱいあるぞ」
「や・・・ぁ・・ほんとに・・・いいですからぁ」
右手を前に回し、腹部全体を洗いながら彼女が逃げないように押え込む。
左手も彼女の隠す胸の膨らみの上部から肩にかけてを攻め
彼の手にだんだん恐怖を感じ始めたユカは、胸と局部を隠す腕に力を込めた。

 健一郎の理性はそろそろ限界にきていた。今すぐこの場でユカを犯し「契り」という
性の契約をしたい欲情にかられたが、今ここでそれをしては後の楽しみが薄れてしまう。
もうしばらくの辛抱だと自分に言い聞かせながら、健一郎は両の手による陵辱を続ける。
 すでにその手にスポンジは無く、思うがままに彼女の魅惑的な肉体を直接撫で回していた。
きめの細かいすべすべした感触が彼をいっそう興奮させる。
「ひっ・・・・あ・・・やだぁ」
 嫌がる声が脳の中にじんじんと響くのを感じる。快楽神経の高ぶりが
激しくなり始めているのだ。バラの香りと少女特有の甘酸っぱい体臭が彼の理性を
とろけさせ、頭の中にはすでにもやがかかりはじめていた。
肉欲の海にその精神を溺れさせ、彼女の白い柔肌を我が物にしようと撫で回す。

 が、彼女のほうはいまだ知らぬ性に対する恐怖と、急に無口になり耳元で
荒い息を吐くだけになった主人の変化に、ただおびえ震えるばかりであった。

 そんな可哀相なメイドの肉体を健一郎は器用に責める。
局部と胸のガードが固いのを見定めると、より知略的に指の動きを変化させた。
 彼女を抱える右腕を、左わきから胸の下にかけて這わせ
胸を攻めきれなかった左手で、彼女の背筋を腰までなで下ろし
そのまま中指を尻の谷間にゆっくりと侵攻させていく。
「あっ、・・・・だめっ!」
緩やかなカーブを描き、尻肉の狭間へと埋没していこうとする指に気づいた彼女は
胸を隠していた左手をお尻に回し、腕をつかんで指の進みを食い止めようとする。
 開いた左胸に先ほどからすぐ近くの脇腹で待機していた右手がすかさず覆いかぶさり
少し小ぶりでスポンジよりも柔らかい乳房を揉みしだいた。
「んん!そんなぁ・・・」
 なおも奥へと進みたがる中指のため、左手を放す訳にもいかず彼女が悲鳴をもらす。
耳元の荒い息づかいと背中にあてられた厚い胸板。そして腰のあたりに時々
擦りつけられる熱く反り返る肉棒が彼女の心をいっそう不安にさせた。

 左胸を十分に揉みほぐした指はその後、先端の小さな突起への攻撃を開始し
人差し指でコリコリ引っかいたり、きつく摘まんでぬるりと逃げる感触を何度も味わったり
薄い乳房へぐっと押し込んだりして、小つぶの肉塊の感触を好き放題に楽しんでいた。
 そうしている内だんだんとそのピンク色の突起は固さを増し
彼女へ伝わる快楽の刺激も徐々に強まりはじめていった。
性感が彼女の脳をゆっくりと支配しはじめる。

「もぉ、やぁ!・・・」
 我慢できなくなったユカは下を隠していた右手を放し、左胸への攻めを
続ける指を払いのけようと掴んだ。が、その行動もすでに彼の計算の内にある。
下半身の防御が薄らいだのを見計らい、彼は右手を胸から放し、固く閉じられた両腿の間へ
素早く割り込ませる。彼女があっと思った時にはすでに遅く
その指はメイドの一番恥ずかしい谷間にあてがわれた後であった。

「お願い!そこは・・・よしてぇ!」
悲痛な涙声でユカは健一郎に哀願するが、彼にやめようという意識は微塵もない。
「だめだ、ここの正しい洗いかたは知らないんだろう?臭いあそこをご主人に
 見せる気か?きれいにしとかないと自分が困るんだぞ」
「でも、でもぉ!・・・」

 がっしりと足の間に固定された右腕の指が優しく秘肉を上下に撫で始めると
彼女は半狂乱になって何とか振りほどこうと、必死にもがく。
 後ろで彼の手首をつかんでいた左手も使い、彼の右手をどかそうと
懸命に掴むがぬるぬると泡ですべってうまくいかない。
 そして束縛から放たれ、自由になった彼の左指がユカの狭間を滑り降り
彼女の前後の谷間は完全に主の指に支配されてしまったのだった。

 前と後ろの指が、彼女の奥の方で触れ合い、ひだの一つひとつまでも存分に味わう。
「あぁ、そんなぁ・・・・ひどい・・・」
 一番感じる彼女の肉芽を擦り上げ、柔らかな花びらを丹念にソープでぬめらせつつ
主は左手の指先で後ろの小菊のひだの具合を確かめる。
ユカは涙を流しながらも、なんとかその手を振りほどこうと無駄な努力を続けていた。
 だが、彼の指は情け容赦無く彼女を攻める。まだ男を迎え入れたことのないとば口を
円を描くようにいじりそのまま中心の蜜壷への侵入を開始する。
「ああっ!・・・許してぇ・・・・あっ・・だめ・・・・・・
 やだぁ、指入れないでぇ!・・・・」
指の送り込む快楽と後ろの穴までもいたぶられる感触。触られる恥ずかしさ。
耳元の荒い吐息。背中の胸板と腰の肉棒。今まで一度も体験したことのなかった感覚が
彼女の体に一度に訪れ、ただただ恐怖ばかりがつのる。
 混乱のあまりもうどうしたらいいのかわからなくなり、とうとう
限界に達してしまったユカの理性がその時ぷつりと途切れてしまった。

『しょぉぉぉぉぉ』
「おやおや、お漏らしか。はしたないな。せっかくきれいに洗ってやったのに」
しょうがないなぁと言った風に健一郎は彼女を屈辱する。
「う、うぅ・・・・・うわあああああぁん!」
 泣く、というより悲鳴に近い声での号泣。
これには健一郎も驚き、今度は逆に彼の方がうろたえてしまった。
「お、おい、いきなり泣き出す奴があるか」
「あああぅ、だってだってぇ!こんな・・・こんなことぉ!」
もはや何を言っているのかわからなく、口から出てくる言葉は意味をなしていなかった。

 はらはらと涙を流すのならまだ性欲はかきたてられるだろうが、こうもわんわん
泣かれてしまうと、男としてのやる気を削がれ、萎えてしまうのは当然である。
が、それ以上に健一郎は人付き合いの少なさでこういう時の対処がわからなかった。
「悪かったよ、おい、泣くな。泣きやむんだ」
「わあああぁん!あああぁあん!」
いくらなだめすかしても彼女は泣くのをやめず、彼は途方にくれてしまったのだった。

「ええい、くそっ!」
半ばやけくそになった健一郎は傍にあった風呂桶に湯を汲むとバシャァッと彼女に浴びせる。
「けほっ、けほっ!」
すこし湯を飲んでむせ返る彼女を今度はお姫様を抱くようにひょいと抱え上げた。
「ひっ!」
 突然の健一郎の行動に、泣くことも忘れ小さな悲鳴を上げるユカ。
彼はメイドを抱え上げた状態のまま湯船に入り、そのままザブンと腰を下ろす。
「あ・・・・・・え?・・・」
いったい何が起こったのかわからず彼女は戸惑いの声を発した。

 そんな彼女の右手をとり、彼はその小さな手を自分の厚い胸板にあてがわせる。
「ほら、心臓が動いてるのがわかるか?俺は別に悪魔じゃない。
 普通の人間の男なんだから、そんなに怖がらなくたっていいじゃないか」
赤ん坊は鼓動の音を聞かせると安心する。どこかで読んだ本の内容を思い出し
色々と考えた末に起こした行動である。
彼に思い付く方法がこれより他に無かったので仕方なかった。

 普段本ばかり読んでいるとは思えない立派な胸板の奥から、とくんとくんと鼓動が
伝わってくる。命のリズムと肌の触れ合い。抱きかかえられ、包まれる安心感も加わり
ユカはだんだんと落ち着きを取り戻していった。

「あの・・・ご・・申し訳ありません。あたし・・・覚悟はしていたつもりだったんです。
 でも、すごく恐くて。どうしていいかわからなくなって・・・・」
「いいよ、俺も少しやりすぎた・・・・」
 そのままどちらとも黙り込む。初めて二人の間の緊張が解け、安堵感が彼女を満たした。
お互いの瞳を見つめ合う二人。湯船の中でメイドを抱きかかえる主人の目に悪意の色はなく
主人に抱かれるメイドの目にも恐怖は見えなかった。

 彼女の頭の後ろを支えている手に抱き寄せるような力が加わり、そのことを察したユカは
静かに目を閉じる。そして、軽く触れるだけの柔らかな優しいキス。
 健一郎はふと、舌を差し入れたい誘惑にかられたが、ここでまた泣き出されても困るなと
思い直し、少し残念そうに唇を放した。

「あ、やだ・・・・」
彼に抱きかかえられたまま、急にユカはもじもじと体を動かし困惑の表情を浮かべた。
一時的に萎えていた彼の肉棒が湯船の中でまた膨張しはじめ、ちょうど彼女のお尻の谷間に
あたり始めていたのである。
「また、大きくなってきたな」
彼がにやりと笑い、それにつられて彼女がくすくすと笑い始める。
「なんか・・・・お湯よりあったかい・・・」
浴室の霞の中に二人の笑い声がしばらくの間続いていた。

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