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『契約の夜』セイドメイドシリーズ

byオゾン

第3章 「肉欲の目覚め」

「下着はつけない方がいいぞ。どうせ汚れるからな。」
 体の洗い直しや洗髪をすませ、風呂から出た後の脱衣場。
いくら気を許したからといってもまだ恥ずかしいらしく
なるべく隅っこの方で後ろを向き、体を拭いているユカに健一郎が声をかける。
これからすることを想像させるような彼の言葉に彼女は少し頬を染めた。

 用意された新品の寝間着を、言いつけどうりに素肌の上につけ
頭から被ってそでを通す。白に近い、淡いピンク色をした少し子供っぽいパジャマ。
ブラもパンティもつけないのは少しすーすーして不安だったが
薄手ながらも暖かみのある布地のため、それほど寒さは感じない。
『ちょっと、小さいかな?・・・』

 確かにそれは彼女の体には少しきつめのようで、体全体のしなやかな曲線が
パジャマの上からはっきりわかる程だった。
が、弾力のある繊維のためかそんなに動きづらくはないようだ。
「ん、サイズが小さすぎたか?」
パジャマを確かめているユカの行動に健一郎が気がつく。
「けど、胸のあたりはだいぶ余っているようだな」
遠回しに胸の小ささを皮肉る。彼女はちょっと怒ったような顔をし
口をとがらせてぷいっとそっぽを向いた。

 寝室は、書斎部屋と風呂場の間にあり。落ち着いた暖色系の色で統一され
中央には三人でも大丈夫かと思われるぐらいの大きさのダブルベッドが置かれていた。
調度品はベッドも含めアンティークなラインのものが揃えられている。
高価というより古さを思わせる部屋だった。

 書斎よりも薄暗い照明の中、健一郎が二つのグラスにシャンパンをあけさせた。
弱いアルコールを飲み交わしながら主人とメイドの二人は他愛のない会話をする。
彼女は健一郎の第一印象がすごく恐かった事や屋敷の大きさに驚いたこと
書斎に来る時に迷ってしまって心細かった事などを打ち明けた。

『だいぶリラックスしてきたな・・・』
彼女のおしゃべりを聞きながら健一郎はそう考える。今まで一方的に聞くばかり
だった彼女が、自ら進んで自分の事を話すのはすっかり緊張がほぐれた証拠だろう。
「さて、それじゃ話しながらでもいいからマッサージをしてもらえないか?
 今日はいつもより少し疲れた」
「え、でもあたしやった事ありませんし・・・」
「肩とか背中とか足とか揉むだけでいいんだ。別に技術なんていらない」

 広いベッドの上でうつ伏せになった健一郎の、トランクス一つだけのラフな格好の体を
彼女は細い腕で揉みほぐし始める。手が疲れにくい揉みかたや丁度いい強さを
指示し、彼女もだんだんとその要領がわかりはじめてきた。
 だがその頃になると、あまり力を使ったことのないその腕には
だんだんと力が入らなくなり、彼の耳にも息切れが聞こえだしはじめる。
「疲れたら交代してやるぞ。俺がしっかり揉んでやるからな。」
「いっ、いえ。まだ平気です」
 ユカはさっき風呂場で撫で回されたのを思い出し、弱りはじめたその手に
もう一度力を込めた。あれを再び味わうのはもう少し先に延ばしたい。

 しかし慣れない力仕事にその腕はあまり耐えられず
彼の言葉で幾度か力を入れ直し、眉を歪めて懸命に頑張ってはいたが
数分とたたない内、とうとう疲れきって根をあげてしまうのだった。
「はは、もう限界か。それじゃ交代だ」
「あ、その・・あたしは別にいいですから・・・」
「言うことを聞くんだ。君もかなり疲れたんだろ? さ、腕を出して」

『腕ぐらいならいいかな?』とユカは考え、大人しく立場を交代した。
健一郎は親指のつけ根や疲労で筋張った腕の筋肉へマッサージを念入りにほどこす。
「どんな具合だ?」
「ん・・・思ってたより、気持ちいいです」
彼の言ったようにすっかり疲労していたその腕を揉まれるのは
ユカにとってくすぐったいながらも心地よいものだった。

「肩にもだいぶ力をいれてたようだな。背中をむいてごらん」
 言われるままに彼に背中を見せ、ゆっくりと揉みほぐしてもらうユカ。
同じ体を触られるのでもさっきとはまったく違い、安心できる心地よさがあった。
アルコールが入っているせいもあり、なんだか頭がだんだんぼうっとしはじめる。
『マッサージって、こんなに気持ちいいものだったのか・・・』
そんな事を考えながら彼のするままに身を任せていた。

 肩のすぐ下の肩甲骨のあたりを親指で押しながら健一郎が言う。
「少し揉みづらい位置だな。うつ伏せになってくれないか」
「あ、はい」
 ユカは命令どうりに胸と腹をシーツにつけ、うつ伏せの格好になった。
可愛らしいお尻が上を向き、柔らかいベッドの上で安定する位置を探してしばし揺れる。
『さて、ここまではうまくいったが。問題はこの後だ』
そんな事を考えつつ、健一郎はユカの背中を揉みほぐしていた。
 そう、これも先ほどの体を洗っていた時と同じ、計画的な行動なのだ。
ただ、今度は彼女を性の快楽に目覚めさせるのが目的となっている。

 彼女は奴隷に近い立場の奉公人である。別に強引に犯して「契り」という名の契約を
果たしてもよいのだが、また泣かれると困るのと、なぜか彼女には優しく接して
やりたいような気分になった事もあり、健一郎はユカの性感を彼女の知らずしらずの
うちに開花させる方法を選んだのだった。
『それに、制限をつけた方がやりがいがあるしな』
心の中で自分に向かい、そんな言い訳を聞かせながらユカの背中をほぐし続ける。

「なんだか・・・・眠くなってきちゃった」
目をとろんとさせながら彼女がつぶやく。
「そうか?それじゃそろそろ強くするぞ」
腰の後ろを揉んでいた親指にさっきより力を込めてツボを押す。
と同時に薄地のパジャマの上から脇腹を撫でていた四本の指も、円を描く動きを早めた。
「ん・・・んふ・・・・」
やや刺激のある快楽を感じ、ユカはほんの少しだけ声をあげる。
強まったのはツボを押す力と脇腹への性感の両方。

 続いて彼は背筋を何度もなで上げながら脇腹のツボを中指でクリクリと回して刺激する。
「ここは、どんな感じだ?」
「やふ・・・・そこ、くすぐったい・・・・」
腰を弱々しくくねらせながら彼女がそう答えた。
うっとりとした表情で瞳を閉じ、彼の指にすっかりその身をまかせる姿には
もはやおびえも緊張も見られない。計画は順調に進んでいるようだ。

 健一郎がユカの顔を覗き込むと、火照った唇が乾くのか舌を動かし唇を濡らすのが見えた。
「ん・・・・ふ・・・・」
と、半ばあけた桃色の唇から、かすかな吐息をする彼女。 
 そんな彼女の姿を楽しみながら健一郎はユカの腰のツボや背筋、脇腹や腕
手の平に指の先までじっくりと時間をかけてマッサージをほどこす。

「気持ちいいところがあれば言ってごらん。いっぱいしてあげるから」
「ぅん・・・・」
艶っぽい声で返事をするユカ。『これもHな事になるのかな?』とぼんやりとした頭で
考えてみたが、今の甘い蜜のような快感に比べると、もうそんな事はどうでもよくなっていた。

「あふ・・・ん、いい・・・・・・そこもっとぉ・・・・」
 脇腹を、そろえた四本指で擦ると彼女が腰をよがらせながら切なそうに声をあげた。
だいぶ感じ始めてきたらしく、さっきと違いくすぐったがる様子は見せない。
 ユカは思わずはしたない声をあげてしまった自分に驚いてしまった。
だんだん自分が自分でなくなるような、妙な気持ちになってくる。

『もうそろそろいいだろうな』
そう考えて健一郎は彼女への攻めを次に移し始めた。
「足の指もマッサージしておくよ。土踏まずを揉むと足の疲れがよくとれるんだぞ」
「うん・・・・・・・んふ、やぁ、くすぐったい・・・」
さすがに足の裏はこそばゆいのか、足をばたばたさせて逃げようとする。
「こらこら、このくらい我慢するんだ。」
そうたしなめつつ、足の指の間や土踏まず、指のつけ根の裏までじっくりとこすり揉みほぐす。

 その後、健一郎は揉む位置を可愛らしいくるぶしから柔らかなふくらはぎ
膝の裏のへこみとだんだん上に移していった。
 恥ずかしい部分に近づいているのを察知したのか彼女がきゅっと股を閉じる。
まだあまり熟れていないお尻の双丘も反応し、少しだけひくっとするのが見えた。
柔らかい太ももをすりすりと刺激しながら彼は少し意地悪っぽく質問をする。
「お尻はどうする? 揉んでもいいかい?」
「や、やだぁ・・・んん・・・・」
「ほら、別にいいだろ?マッサージなんだから」
「でもぉ・・・」

 互いの立場を考えるなら。別に承諾せずにいきなり揉むなり、「揉ませろ」と
命令すればそれですむのだが、それでは彼女が性感に心を開く様が確認できない。
 恥じらいと快楽を葛藤させ、快楽の方を選ぶ彼女を健一郎は見たいのだ。
「どうする?揉んでもいいかい?」
「あっ・・・ん・・・・ちょっと待って・・・」
脇腹に、広げた5本の指を立て爪先で回すようにくすぐりつつ
太もものつけ根の筋肉を、ヒップとの境界線に集中して揉みしだく。
 下着をつけていないパジャマが双丘の山の曲線をひくつかせるのは
彼女が十分に感じている事を示していた。
『まだ恥ずかしいみたいだな。もう少し興奮させておくか』
 両手を脇腹にやり、人差し指と中指を使って健一郎は
卵巣のあたりを皮膚の上からぐりぐりと刺激してやる。
「んふ・・・あ・・・なんか・・・ひびくぅ・・」
 ユカは、圧迫されている卵巣から子宮をじゅくじゅくと伝わって
何かが分泌してくるのを感じ、股の間の恥ずかしい部分がどうしようもなく
じんじんと痺れ、高まっていくのを意識し始めていた。

「ほら、どうする?さわってもらうかい?」
 普段パンティの境目があたっていると思われるお尻の横のラインをこすりつつ
意地悪な主は、理性と欲望の間を揺れ続けるメイドにしつこく詰問する。
 背筋を開いている左手の2本の指で撫で上げ、撫で下げ、何度も往復させながら
彼女が承諾するのを待っている。
「んふ・・・・ん・・・・ふぅっ・・・」
 撫で上げる時と、双丘の谷間へ近づく時の動きを同調させると
ユカは背中を反らせて、切なそうなため息を何度も唇から漏らした。

「な、いいだろ?さわっても」
もう幾度目の質問だろう。何度も聞いてくる主人から繰り出される愛撫によって
理性のすっかりとろけてしまったメイドはとうとうその要求を受け入れてしまった。
 恥ずかしさより『触られたらどんなに気持ちいいだろう?』という好奇心と
じれったいような快楽の方が上まり、我慢できなくなったのだ。
「・・・・・・好きにして」
「・・・じゃ、いいんだね?お尻を揉んでも?」
恥ずかしそうに黙ったまま、コクンと彼女がうなずく。
 恥じらいと快楽。その二つのうち彼女は快楽を選んだ。これは彼にとって
とても喜ばしい事だった。ついつい口の端に笑みがこぼれてしまう健一郎。
 メイドの承諾をもらった主人は柔らかい双丘を円を描くように撫で回し
時々きゅっと力を入れて揉み、じっくりと刺激を与えはじめる。

「んふ・・・・ん・・・はぁっ・・・」
シーツを握り締め、彼女は下半身からの快感に耐えていた。
自分の理性の防波堤が、津波の様に何度も押し寄せる快楽に崩され
少しづつ流されていくのが判る。心がとろとろと溶かされていくような不思議な気分。
汗ばみ始めた体全体が性快楽によって火照っているのがはっきりと判る。
 広げた手のひら全体でお尻を揉まれ、親指でお尻の谷間のすぐ脇
恥ずかしい後ろの穴の近くをくりくりとこすられると、さらにその奥の割れ目から
熱を持った潤いがじわじわと湧き出して来るのが感じられた。

『やだ・・・濡れてきちゃった』
 一人で触った時と同じ、いやそれ以上に感じる肉の刺激によって
股間が潤い始めてきているのが自分でも判る。彼の指が疲れを取るマッサージから
いやらしい愛撫に変化している事は理解していたが、なぜだか止めて欲しいとは思えない。
『見つかったら、どうしよう・・・』
そんな不安な気持ちでいた時、急に健一郎が声をかける。
「ちょっと片膝だけ曲げてもらうぞ」
「え?あの・・・曲げなきゃ、いけませんか?・・・」
「どうした?足を開いたら困る事でもあるのか?」

 まさか『濡れているから』と言うわけにもいかず、ユカは諦めて彼の指示に従った。
右膝を半分ほど曲げ、丁度片足だけ平泳ぎのような格好にされてしまう。
『だいじょぶかな・・・』
パジャマが湿気ていないか心配で、少しどきどきしながら彼の指に身をまかせる。
健一郎は、やや浮いている右の太股の内と外を両手で挟み、しばしの間よく揉みしだいていた。
「あ・・・・ふ・・・はぁ・・・・・・」
「ん?やけに湿っぽいぞ、どうしたんだ?」
「ん・・・その、部屋が・・・暑くて、汗が・・」
 彼の言葉にユカはぎくりとし、白々しい言い訳をした。
腕を伸ばして湿り始めた部分を見られないように手で覆い隠す。
 が、健一郎は腕のマッサージという理由でその手を外させ
恥ずかしい部分を隠させないようにした。

 その後も曲げる足を幾度か変えられ、彼女はマッサージという名の愛撫を受け続けた。
背中や腰も揉まれ、触られていたが、どちらかというと彼の指の攻めは下半身
特に尻と内腿の部分に集中している。
 脚の内側をさすられる時々に、指先がかするようにして秘部にあたったが
それがわざかどうか聞くのはやぶ蛇になりそうなのでユカには出来なかった。
 自分でもだいぶ濡れてきていると判る恥ずかしい部分をユカは何度か隠そうとしたが
その都度彼はその手を取って腕へのマッサージをし、隠させないよう意地悪をした。

 ふと、健一郎はパジャマの股の真ん中にぽつんとシミになっている場所を見つける。
そっと中指を伸ばし、その部分をつつきながら彼女に質問をした。
「汗じゃないよな?これは」
「あっ!や、やあっ!」
濡れているのを見つけられた恥ずかしさより
つつかれた時のじゅんとする刺激に驚き、急いで両の手で隠すユカ。
「はは、あんまり濡らすと透けて見えるからな、気をつけろよ」
忠告になっていない忠告で彼女を屈辱する健一郎。恥じらいで彼女はきゅっと瞳を閉じる。

 いつの間にかユカの脚の間に置かれていた健一郎の膝は太股の位置にまで来ていた。
彼は少し身を乗り出すと、うつぶせの体とベッドに挟まれている脇乳をぷにぷにと触る。
「ぅん、や、やだぁ・・・」
彼女は急いで脇を閉め指を排除するが、彼の目的はそこには無い。身を乗り出した分
奥に進んだ膝頭が彼女の気づかない内に大事な部分に当たっていた。

 指は再び下半身へと戻り、今度は後ろからの尻肉の刺激と、
前に当てた膝の刺激により彼女をサンドイッチの状態にする。
「んふぅ・・・ふ・・・あ・・・・はぁ」
「どうだ、気持ちいいか?」
「あふ・・・は、はい・・・」
 膝を当てられている事はしばらくしてから気づいたが
もう今の心地よさがどこからくるものなのかは、どうでもよくなってきていた。
お尻を強く揉まれる度、あそこが固く押し付けられ、ぐりぐりと刺激される。
 秘部の潤いは更に増し、蜜をねっとりと沁み出させパジャマのシミを大きくさせた。
ふくよかな秘肉全体に湿りは広がり、それは彼の膝をも濡らすほどになっている。
「あっ・・・はあっ・・・ん・・あひ・・あっ、あぁ・・・」
「前と後ろ、どっちがいい?」
健一郎が、また意地悪な質問をする。
「やふ・・聞かないでぇ・・・恥ずかしい」
「ご主人様の質問に答えられないのか?」
「お、お願い・・・あっ・・・」
「しょうがないなぁ。それじゃ後でお仕置きだぞ」
「んぅ・・・そんなぁ・・・」

 尻肉を揉む両手を離し、しばらく脇腹に指を移し、撫でこする。
その間も彼女が可愛いお尻を揺らし、艶っぽい喘ぎ声をさせながら秘部を
押し当てているのを見とどけ、彼はにやりとした。質問には口でなく体が答えてくれた。
それを確認し、また双丘への攻撃に戻る。

 ユカは健一郎の愛撫にすっかり虜になってしまっていた。
部屋の暖房は高めに設定されていたが、それよりも自分の肉体が熱い。
下半身の濃密な愛撫によって一気に上昇した性感が体中から汗をどっと吹き出させる。
薄いピンクのパジャマは汗によってじっとりと湿り、所々自分の体に張り付いていた。
『すごい、こんなになるなんて・・・』
 今まで感じた事のない程の高みにまで昇らされ、ユカは急に自分がどうにかなって
しまいそうな不安を感じ始めた。
 いったん膨れ上がりかけた恐怖は、与えられる快楽が増すにつれ
どうしようもなく大きくなっていく。

「お願い・・・・抱っこして・・・」
尻の肉を揉み続ける健一郎の手を突然つかみ、ユカは言った。
「?・・・どうしたんだ?」
「恐いの、なんだかとっても・・・・」
「やれやれ、甘えんぼさんだな、君も。これじゃどっちが主人か判らないじゃないか」
そう愚痴りつつも彼はその願いを素直に聞き入れる。
「いつも、この位でやめてるのかい?」
「・・・・・・・・」
その質問に彼女は恥ずかしそうに黙ったまま何も答えはしなかった。

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