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『囚われる想い』 セイドメイドシリーズその7

byオゾン

第4章「推理と罰」

 シャワーを終えてガウンをまとった冴は、夫婦用の寝室へ戻った。
ミヅキのはからいで、4人の寝室は健一郎と冴、ユカとミヅキという
組み合わせで分けられている。

健一郎はそれを知った時、割り振りに不満そうだったが
夫婦だということを世間体に考慮すれば当然の部屋割りだ
という強引な彼女の主張にしぶしぶ納得させられた。
それ以上ミヅキと面を向かい合わせるのが嫌だったせいもある。

「あの二人はもう寝た?」
濡れた黒髪を拭きながら冴が聞く。
「ああ、ぐっすり眠ってたよ」
ワイシャツ姿でベッドへ横になり、天井を見上げたまま健一郎が答えた。
「そう・・・・・じゃ、久しぶりの二人きりね」

意味深なセリフをつぶやき、冴は化粧棚の前へ座った。
無言の中、髪を乾かすドライヤーの音だけがゴウゴウ響く。

そして、髪の手入れを終えた冴はベッドの端に腰掛けると
バッグから錠剤を2粒取り出し、コップの水で喉の奥へ流し込んだ。
「まだ続けてたのか?その薬」
「別にいいじゃない、体調管理できるんだし」

健一郎の子供を産まなくてすむ薬。冴が結婚後にしたささやかな抵抗。
それがその避妊薬、ピルだった。だが、夫婦の情事がほとんど無い今では
続ける意味はあまりないだろう。

「ねぇ、今夜は・・・いいでしょ?」
冴は少し恥じらいを含んだ妖艶な微笑みをさせ、健一郎の傍に寄り添った。

「・・・・・・・・・・・・・・」
しばらく続く無言の間。そして、健一郎は上を向いたまま一言呟いた。

「何をたくらんでるんだ?」
不意な質問に顔をしかめる冴。
「? 何言ってるの?別に何もないわよ」
「なら、どうしてそんなに焦っているんだ?」

冴はその言葉にため息を一つついてから、きっぱりと断言した。
「本当に、何もないわ」
「じゃぁ、お前のたくらみ、当ててみせようか?」
「ふん・・・どうぞ」
あきれたように冴は健一郎を促す。

「お前の行動に、一つ嘘がある」
「嘘・・・って?」
「今まで、お前が俺の目の前でピルを飲んだことは、一度もなかった。
 そうだよな?俺に見られるのは屈辱だから嫌だったもんな。
 だが、今はあからさまに見せつけるように飲んだ。」
「・・・・・」

「つまりそれが嘘だ。多分、そのピルは飲んでも効果のない偽物だ。
 中に出しても絶対に妊娠しないと、俺に思わせたかったからだ。」
「・・・たいした妄想ね、感心するわ」
冷ややかに呟く妻を無視して彼は続けた。

「裏を返せば妊娠したがっている、ということになる。
 それが冴にどう得になるか?考えられる中で
 もっとも可能性が高いのは、離婚できなくなることだな。
 別れさせたがってる親族への言い訳としては最適だ。

 しかしそれだけでは、理由として弱い。今の焦りから考えると
 今すぐにでも妊娠したいかのような様子だった。
 つまりこれは、もう妊娠していることにしたい。
 親に『もう妊娠しているから離婚は無理だ』と嘘をついた可能性が」
「ストップ!」
健一郎が口早にまくしたてるのを、冴は叫んで止めた。

「大当たりよ、ほんとにもう嫌なくらい鋭いんだから・・・」
憂鬱そうに片手で顔を押さえ、残念がる冴。

「それともう一つ、お前は嘘があまり得意じゃない。
 下手な嘘をわざわざ言うはずが無いことを考えると
 妊娠は、あの付き添いがついた嘘なんだろ?」
「ふっ、そうよ」
自嘲気味に笑いながら彼女は肯定した。
「ははっ、ははははははっ!」
途端に健一郎は大笑いし、冴を驚かせる。
「ほとんど想像だったんだが、まさか全部当たるとはなぁ」
「・・・・・あきれた」
だが、その想像の鋭さも健一郎の恐さなのである。

「さて、おしゃべりはこれぐらいにしておくか
 俺を騙そうとしたからな、久しぶりのお仕置きだ」

『お仕置き』その言葉に、冴は肩をビクッと引きつらせた。
静かに怒る健一郎に、忘れていた彼の残忍な部分を思い出す。

「最後にこれだけは確信したぞ。冴、お前は本当は
 バレても良かったんだろ?俺の罰が欲しかったんだろ?」
「ち・・・違うわ、そんな・・・」

口では否定した。が、心の奥でそうかもしれないと冴は思った。
恐れつつも待ち望んでいたような、ぞくぞくする絶望感。
尿意のようにみぞおちあたりがしくしくする心細さで満たされる気分。
自分はこれを求めていたのかもしれない。

健一郎は冴のバスローブを一気にはだけ、胸元を露わにさせた。
「ぁうっ!」
こぼれ落ち、ぷるんと揺れる乳房を目で楽しみながら幅の広い腰紐をほどき
うつ伏せにした彼女からバスローブを剥ぎ取ると
彼はすばやく冴の両手首をほどいた腰紐で後ろ手に縛り上げてしまった。

「う・・・ふぅ・・・ぅ・・・」
「新婚旅行を思い出すな」
わざとその時と同じ状況を作られ、沁み込んだ陵辱の記憶に
冴の肉体が熱い反応を始める。自由を奪われ、怯えつつも
激しくなる息と鼓動。汗ばみ、火照り始める全身。
そんな彼女の姿を視姦しながら、健一郎は
ワイシャツのボタンを外し、衣服を脱いでいった。

「まずは、下ごしらえからか」
トランクス姿の健一郎が、両手の指を冴の肌へ滑らす。
優しく包むように撫で、くすぐるように指先を這わせ
わざと性器を避け、太もも、わき腹、背筋やヒップを愛撫する。

「は・・・・くふっ・・・・ひっ!」
全身にくまなく調理を施しながら、時々彼が舌先でちろりと舐めて味見をすると
その度に冴は腰をひくんと震わせ、小さな悲鳴を上げた。
とろ火の快楽にじわじわ肉体が火照り始め、白い肌がしっとり汗ばんでいく。

「感度の良さは相変わらずだな」
縛られた腕に持ち上げられ、反り返った冴の腹を撫でながら彼は呟いた。
「どうした?先に誘ったのはお前なんだろ?」
「だって・・・おしおきなんでしょ?」

 健一郎が普通にする性行為と、お仕置きとしてする性行為は
快楽を与えるという点では変わり無い。違うのは
どれだけ相手に屈辱と辱めを与えるか、という部分である。
屈辱に対する嫌悪が人一倍激しい冴にとって
彼のお仕置きは酷く辛いものなのだ。

すっかり尖った胸の先を、羽毛のように微妙な触れ方で中指がくすぐる。
「ん、どうした?もう感じてるのか?すけべな女め」
「や・・・ん・・・あっ!」
健一郎は、ぴくぴくと痙攣する肩や腰を楽しみながら
一つ一つ選んだ陵辱の言葉で冴をなじっていった。

悶える冴の表情を楽しみながら、柔らかな胸を揉みしだき、ピンクの突起を弾く。
感じやすい乳首や淫靡な顔を卑猥な言葉で形容し、辱める。
そして、焦らしに焦らされ、狂いそうなほど待ちわびていた胸先の蕾を
彼が口に含んだ途端、冴ははしたない大声を上げてしまった。
「はぅぅぅん!」
「恥ずかしい奴だ、二人に聞こえるぞ」
「やっ!はぅっ!ああ!」
「それとも、聞かせてやりたいのか?」
「ぃやぁっ・・・」
力なく頭を横に振る冴。
「聞いて欲しいんだろ?叫ばせてやるよ」

健一郎の舌が冴の腹を舐めながらゆっくり下っていく。
軽くヘソを弄んでから下腹の膨らみをねぶり、恥毛の生え際へと近づいていく。
「あっ!やっ!いやっ!あっ、お願い!よして!」
そこへの口淫はいつも自制できず、大声で喘いでしまうのは判っていた。
きっとあの娘にも聞かれてしまうだろう。それだけは避けたい。
ミヅキには、自分がいいように弄ばれて悶える姿や声を聞かせたくない。
だが、健一郎は彼女の哀願を無視し、静かに舌を進めていった。

「やめて!お願い!やめて旦那様ぁ!やめて!ああっ!」
内ももを舐って焦らし、露の溢れ始めほころぶ谷間へそっと息を吹きかける。
「欲しがってるじゃないか、こんなにひくひくさせて」
弱い刺激に花びらがひくつく様子を言葉で辱めた後で
健一郎は包皮の上から肉芽に唇を寄せた。

「んぅんっ!」
よがり所の全てを知る舌が蠢き出す。
何とか声を出すまいと口を閉じ、無駄な努力をする冴。
だが、その努力も彼の考えの内である。

耐えられるぐらいの弱い刺激から始めていき
自分の努力が虚しいものに過ぎないことを、じわじわと
思い知らせるのも手段の一つなのだ。

「んふっ・・・・・ひっ・・・くふっ!・・・はんっ!」
悪戯な舌先が徐々に動きを速めていく。
焦らしては少し責め、焦らしては少し責めを繰り返し
冴の欲情に熱を加え淫乱な女へ調理していく。

「はぅぅん!だめぇ!ああ!そこ!」
そして、彼の舌が剥き出しの肉芽を焦らすようにくすぐり始めた頃
冴の理性はとろとろに溶けてしまい、快楽に溺れる淫乱女という
メインディッシュが出来あがったのだった。

「ああああっ!そこ!そこぉ!」
尻肉をわし掴みにした健一郎が、肉芽や花びらを舌でほじくり
容赦無く舌技の快楽を注ぎ込んでいく。
「ほら、聞かれてるぞ。そんなに大きな声を出していいのか?」
「ああ!だってこんなこと、はぅん!ああっ!あっまたっ!」

絶頂寸前の波はもう何度も巡って来ていた。
ただ彼がその波を越えさせてくれないのだ。
「お願い、イかせて!我慢できない!イきたいの!」
全てを忘れ、半狂乱になって冴は今までとは正反対のおねだりを始めた。

「スケベなの!あたしは只のスケベな女なの!欲しいの!」
何度も言わされた屈辱の言葉を自ら口にし、はしたなく腰を蠢かす。
「ははっ、わかったよわかった。だからそんなに突き出すな」
限界まで股を開いて火照った秘部をさらけ出す彼女の肉芽へ
健一郎は舌を当て、きつく吸い上げながら容赦無く小刻みに振わせた。

「あぁ!いい!イくぅ!あああっ!」
とてつもなく甘い蜜の濁流に心が流されていく。
大きな花火のような悦楽が脳内で幾度と無く弾ける。
「んおおぉぉ〜っ!あああっ!んあぁーーーーーーーーっ!」
ビクビク痙攣する汗だくの全身。どっと溢れる愛液。
大きな淫声を上げながら、冴は深い極みに達してしまったのだった。


 思うが侭に翻弄され、冴はベッドの上でぐったりとしていた。
「ふ・・・・・はぁ・・・・・んふ・・・」
時折、腰や太ももが余韻にピクッとひきつって、快楽の激しさを現わしている。
挿入はされていなかったが、十分過ぎるほどの満足を冴は感じていた。

「さてと・・・冴、いいものを見せてやろう」
健一郎はベッドから降りるとその場にしゃがみ
ベッド下の隙間から、何やら大きなものをずるずると引きずり出した。


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