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『夜這い−ラストチャンス−

byオゾン

第5章 「愛合編」

 俺は右手で自分の分身を支えながら麻弥の亀裂にその先を当てがった。
が、さっきあまりよく確認してなかったせいか穴の位置が良く判らない。

「あ・・・・あれ?」
何度もあてがって腰を突き出すが、そのたびぬるりとすべって
別な方向に先端が進んでしまう。気ばかりが先走りどんどん焦っていく。

「そんなに焦んないで・・・あたしも、手伝うから」
 その時だった、うまく行かなくて焦っている俺に気遣ってか
麻弥が自分のふくらみを左右に広げ、俺の先端をつまんで導いてくれた。
女の子にとってそれはかなり恥ずかしい行為なのだろう。
麻弥は眉をひそめて半分泣き出しそうな顔をしている。
「ここよ・・・」
「あ、ありがと」
こういう時にお礼を言うのも何だか変な気がしたが、俺はただ純粋に感謝したかった。
そのまま、落ち着いてゆっくりと俺は腰を下ろしていく。

「ん!」
苦痛の表情を見せる麻弥。
先端を押し進めていくたび、俺の怒張した亀頭にも痛いほどの強い圧迫感を感じる。
『麻弥は、これ以上の痛みを感じてるんだよな。』
そう考えて、あまり痛くないようにゆっくりゆっくりとその身を埋めていく。
時々彼女が小さく悲鳴を上げる。痛みを与えてしまう事が切ないほど心苦しかった。

 とうとう先端が奥にまでたどり着き、二人の草むらが交じり合う程までに俺達は繋がった。
『やった!とうとう麻弥と!・・・』
生涯にたった一度だけの最高級の感激。俺は彼女をきつくきつく抱きしめる。

俺の腕の中で、麻弥は苦しそうにはぁはぁと肩で息をしていた。
「大丈夫かい?」
「平気・・・我慢できる」

『枕で練習はしてたけど初めてだからな、まずはゆっくりと・・・』
 そう考えて、俺は麻弥の中の自分の分身を、ゆりかごのようなゆったりしたリズムで
動かし始めた。まだ圧迫感が少し痛かったが、その痛みが逆に放出を耐えさせてくれた。

「んっ・・・・くっ・・・・ふぅっ・・・」
突く度に荒い息を吐く麻弥。苦痛を与えてしまうのがとても申し訳なく思う。
これが男と女の差なんだよな。と考えていた時、突然俺の背中に痛みが走った。
「つっ!」
「あっ。ご、ごめんなさい。引っかいちゃった」
痛みのあまり思わず力が入ってしまったのだろう。麻弥がその事を素直にあやまる。

「ううん、マヤも痛いんだろ?引っかいていいよ。どのくらい痛いか、爪を立てて教えてよ。」
「え?でも、いいの?」
「うん、マヤの痛みを知りたいんだ」
「アキ君・・・うん、判った」

 俺が動く度、麻弥が爪を立てる。麻弥の痛みを背中で強く感じる。
痛さを分かち合えるのがとても嬉しかった。痛くて嬉しいなんて、初めての経験だ。
愛するが故の俺達の痛みの与え合いは、それからしばらくの間続いた。


 スローペースで上下に動いているうち、だんだんと麻弥の通路がなじみ始める。
内壁を潤わせる潤滑剤が俺の動きをスムーズにさせてきたのだろう。
『そういえば、愛液にはこういう効果があるって本に書いてあったな』
なんとなくそんな事を思い出してみる。

 幾度かの往復運動をするうち、背中に加わる痛みはだんだんと無くなってきたようだ。
爪を立てる間隔も次第に広まってくる。可愛い顔から苦痛の表情が取れてきた事から
彼女が幾分慣れてきた事を俺は理解した。

「慣れたみたいだね」
「うん、まだだいぶ痛いけど・・・大丈夫みたい」
「続けるよ」
「ん・・・」

 何度も口づけを交わしながら、俺達は熱く交じり合っていた。
「ちょっと、動きを変えてみるよ」
「え?」
やや余裕の出てきた俺は、今までの繰り返し突く動作を変え
腰を中心に円を描く動きに切り替える。
「あっ、やっ、そんなぁ・・・んっ、あぅん!」
二人の恥骨に挟まれたクリトリスがぐりぐりと刺激され、麻弥に強烈な刺激を与えた。
「痛くない?」
「うん・・・んっ、これなら、い・・・いい」

『やっぱり、本と同じなんだな。クリトリスで感じるんだ』
 自分のしたいように愛するんだとは思ったけど
結局最後に頼るのは本だというのがちょっと情けない。
でも、彼女がより一層感じてくれているんだからこれでいいんだよな。
と、俺は思い直した。

 再び動きを突く方へと戻す。今度は前よりもスピードを上げてみよう。
腰を引くのもさっきより長めにして、動いてみる。

「あっ!・・・あっ!・・・うぅん!」
 突き入れる度に麻弥が可愛らしい声で鳴き、俺の欲情を刺激した。
動きを速めたため、ベッドのきしみにちゅぷちゅぷといういやらしい音が加わりだす。
ぬるぬるする麻弥の中には、もう圧迫の痛みは感じない。
それどころか、まるで何かが吸い付いてくるような感覚がそこにあった。

「すごいよ、マヤ。中がとっても気持ちいい!」
「あっ、あぁん!・・・なんか・・・あたしも、すごく良くなって、はぅん!」

 嬉しい、愛しい、切ない、気持ち良い、恋しい、感激。頭の中でいろんな言葉が
ごちゃごちゃと回り、俺は麻弥に「愛してる」「大好きだよ」と何度も何度も語りかける。
麻弥も「アキくん!アキくぅん!」と何度も切なそうな声で喘ぎながら
足も腕も絡ませ俺にしがみついて泣いていた。

『そ、そろそろ限界だな』
もう、精液の本流は、俺の先端間際まで来ていた。
放出の限界まできていた俺は、最後の絶頂に向けて激しく腰を動かす。
ちゅぷちゅぷという音が更に激しさを増していく。
「い、いくよ、マヤ!」

 が、その時だった。あまりにも勢いよく腰を引き過ぎてしまったせいで
うっかり俺の肉棒が麻弥の中からちゅぷりと抜け出してしまった。

『しまった!やばい!』
急いで入れなおそうとしたが一旦抜けたそれはなかなかうまく戻らない。
『は、はやくしないと・・・』

 今にもびくびくと爆発しそうになっている俺の肉棒。
麻弥の中に出したいんだ、麻弥と一緒にイきたいんだ。
気ばかりが焦って、再突入に失敗した先端が彼女の花びらにぬるぬるとこすり続けられ
その刺激が更に暴発を速めていく。

「うっ!もう、もう駄目だ!」
びくびくと震えた俺の一物は、無念にも彼女の下腹に白濁の流れを描いて果ててしまった。


「・・・ごめん」
下腹部の草むらについた精液をティッシュで拭っている麻弥に、ぽつりと謝る俺。
「初めてだもん、うまく出来なくてもしょうがないわ。それに
 赤ちゃんできても育てられないから・・・・これで良かったのよ。ね?」

 麻弥はふがいない俺の事を優しく取り繕ってくれたが、俺はそこでやっと
中で出した後のことをまるで考えてなかった自分に気づき
よりいっそうの罪悪感が湧いてきてしまった。

「ねぇ、そんなにしょげてないで」
「・・・・・・」
慰める麻弥に、俺は何も言葉を返せなかった。
イった後の寂しさに加え、自分への情けなさが交じり
おのれに対して怒りすら湧いてくる程だった。

「・・・・白状しちゃうけどね。」
落ち込んでいる俺に麻弥が言葉をかけてくる。
「あたし、実はアキ君のえっちな本。時々こっそり読んでるんだ。」
「へ?」
確かにベッドの下とか、引き出しの奥とか、よく探せば見つかるような場所に
隠してはあったけど、まさか彼女が読んでたなんて・・・・

「ね?あの本に書いてあったようなフェラチオ、してあげよっか?」
大胆なセリフをあっさりと麻弥が口にする。思わず目が点になる俺。
「え、でもそんな事・・・」
「さっきだって一緒にしたばっかりじゃない。今度はあたしだけにさせてみて?ね?」

 そのまま返事も聞かずに、麻弥はベッドの端に座っている俺の足の間に顔をうずめると
出したばかりで、まだだらしとしている俺のモノに、優しく奉仕を始める。
「お、おい・・・」
そこまで言いかけた時、俺はやっと彼女の思いに気がついた。
『そうか、慰めてくれてるんだ』

 俺は麻弥のしたいように任せる事にした。彼女の舌と唇から繰り出される
強烈な快楽は、本から想像できるような生易しいものでは無かった。
たどたどしいながらも、心のこもった口技の奉仕が俺の精神を熱く狂わせる。

 先端の頭の部分を舐め上げたり、キャンディーを舐めるみたいに棒に舌を這わせる。
かと思えば亀頭全体を口に含みながら、的確に見つけた裏の小さな凹みを
舌先で器用にくりくりと刺激してくる。

「うっ・・・そ、それ、いい!」
「ぷはっ・・・やっぱり、ここの凹んだとこがいいの?」
「うん」
「ふふ。じゃ、もっとしてあげる」

 勝手に俺の下半身がびくびくと震え、麻弥の舌に反応していた。
袋を優しく撫で回しながら彼女の舌の攻撃は続く。
出したばかりのはずの俺が、また絶頂に達するのにはそれからたいして時間はかからなかった。


「んっ、こふっ、けふっ!」
喉に引っかかったと思われる粘り気を、麻弥が苦しそうに飲み干す。
「口にだけど・・・これであたしの中に出したんだから、いいでしょ?」
「マヤ・・・ありがと」
もう一度唇を深く重ねる。多少残っていた精液の味が俺の舌にも感じられたが
汚いなんて思えなかった。きっと麻弥が飲んでくれたものだからこそ、そう思えたんだろう。

 つつと口を離した時に粘る糸が引き、てらてらと月光に輝く。ちょっぴりHで綺麗な光景。
その時、唐突に麻弥がくすくすと笑い出し始めた。
「な、何?」
「ふふ・・・なんか今、これでもアキ君の精液があたしのお腹の中に
 入ってるって事になるんだなぁって考えてたの。」
お腹のあたりを押さえながらそんな事を麻弥が話す。
俺はその言葉になぜだかとても気恥ずかしいものを感じてしまった。

「絶対・・・離れないようにしようね」
俺の腕の中で麻弥が誓うようにつぶやく
「うん、絶対だ。絶対離れない」

この幸せを離すまいと俺達はきつくきつく抱きしめ合い
二度と離れないよう固く約束を交わした。


 その時だった。ふいに窓から階下の方で何か声がするのが聞こえた。
どうやらそれは喘ぎ声らしい。どこかで聞いたような声に俺達二人は顔を見合わせる。
『やめ、やめてぇ!』『あっあっ、嫌ぁ!』
喘ぎに交じり、悲鳴のような声が聞こえてくる。

「やだ、これお母さんの・・・・」
口を抑えて顔を赤らめる麻弥。俺も母さんの喘ぎ声を聞くのはやっぱり戸惑ってしまう。

「ちっ、親父め。どうせ別れるんなら散々やっちまおうってつもりか。
 あいかわらずやる事がえげつないよな。」
照れ隠しに、親父をけなす。

「あら、アキ君だってあたしに夜這いしに来たじゃない。」
「うっ・・・」
「ふふ。やっぱり親子よね」
 あんまり認めたくは無いけど、確かにそうなんだよな。
あんなこと言っててもやっぱり俺は親父の息子なんだ。
長年のつき合いのせいもあって、どこかしらで似通ってしまうのだろう。

「でも、どうしよ。止めた方がいいかな?お母さん心配だし。」
だが、夫婦の真っ最中の部屋に乱入したりなんかしたら、違っててもそうでないにしても
それこそ翌日から顔が合わせられないのは確実だ。

 俺と麻弥は話し合った結果『Hが目的なんだからそれほど酷い事はしないだろう』と
親父を信じて聞かなかった事にするように決めた。
部屋に入れない以上、こうするより他に仕方が無かった。

 明日は飯の時の事、素直にあやまってやるか。
それに離婚解約も頼まないといけないし・・・
すうすうと寝息を立てる麻弥を腕に抱きながら俺はそんな事を考え続ける。

ようやく声の静まった明け方。俺はやっと自分の部屋に戻る事ができたのだった。

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