byオゾン
| 第6章「翌日編」 「いや〜ははははは!すまんすまん! 昨日の話な、あれは無しだ。」 「は?」 昼食時もすっかり過ぎた日曜日。 全員すっかり寝坊して昼過ぎにようやく起きた一家四人は台所で遅めの朝食を取っていた。 離婚を説得しようと切り出した俺に、親父が一言そう言い放つ。 どうやらあの後和解したとか言っているが 察するところ母さんに新しい快楽を見い出させて、お互い別れられなくなったんだろう。 和解というより和姦なんじゃないか?とは思ったが、もちろんそんな事は口に出さない。 夜中に聞いた喘ぎ声で、まともに顔が見れなかったけど どことなく肌の色つやが良くなった母さんも、少し頬を赤らめながら 「そうなの。あれからお互いよく話し合ったの」 などと妙に白々しいセリフを言っている。 俺達は親父達ふたり、特に親父には改めてほとほと呆れたが お互いの心変わりにはとても感謝していた。 「いいよ・・・もぅ。あきれて何も言えねぇや・・・」 「言ってるじゃねーかよ、おい」 「んだと?こら」 「「よしなさいよ、二人とも!」」 俺と親父の会話が悪化しそうになりかけた時だった。 麻弥と母さんがまったく同時に同じ言葉を発して俺達を制した。 「・・・・・・」 そのあまりのタイミングの良さに、家族全員で見詰め合い、沈黙する時間が生まれる。 「ぷっ・・・くくく」 「ふふふ・・・」 「あははは・・・」 誰からともなく吹き出して、食卓は和やかな笑いに包まれた。 「お、親子だなぁ。あはは」 「お互い様よ、ふふふ」 今までとは違う関係だけど、きっとこれからもいい家族でいられるだろう。と俺は思った。 あ、もちろん、このくそヒゲ親父はその中から省かれるけどな。 『夜這い−ラストチャンス』完 |