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『ひとときの夢』 セイドメイドシリーズその3

byオゾン

5章 「性の交わり、愛の交わり」

 発端は、健一郎が
『冴がまだ起きていたら、来るように呼んでくれ』
とユカに頼んだ事からだった。

本に読みふけり、30分過ぎても戻らないユカに気づいた彼が
メイドの身を案じて冴の部屋まで足を運んだ時。
健一郎はそこで起きている事態がすぐには理解できなかった。

「ああっ、んふぅうっ!奥様ぁ!また、また!・・・」
扉の奥から小さく聞こえるユカの喘ぎ声。
その淫声に健一郎は全身が凍りつくような思いがした。
頭に血が昇り、それとは反対に顔から血の気が引いていく異様な感覚と
胸が締めつけられ、胃液が込み上げてくるような鳴咽。

 すぐにでも飛び出して、ユカを助けたかった健一郎だったが
どういう訳かまるで足がその場に張りついたように動けない。
一度か二度、ユカの絶頂を耳にした時間が彼には永遠のように思われた。
その硬直が冴の叫びをきっかけに、ようやく解かれたのだ。

 突然現れた健一郎に対して、冴は驚きと焦りを隠せない様子だったが
すぐさま態度を開き直らせ、彼とユカを侮辱する悪態を二つ三つ吐いた。
だが、その言葉は健一郎の耳には一切届いていなかった。

「すまんな、ユカ。助けるのが遅れて」
冴を無視した健一郎がメイドをいたわるように声をかける。
そして、憎々しげに黙っている冴に向かい
「冴、おまえとユカの違いを見せてやろう」
そう言ってにやりと笑った健一郎は、ゆっくりベッドへ近づいていった。

「と、その前にだ。お前には『おしおき』が必要だな」
ズボンのベルトを外す彼の口元は笑みを浮かべていたが
冴を睨む目にはかなりの怒気が含まれていた。
多分、自分の大切なメイドを陵辱されたからなのだろう。
「ご主人様・・・」
自分の為に怒っている主人に、ユカはどこか嬉しい気持ちを感じた。

 激しい雨風が窓ガラスを打ちつけ、ギシギシときしませていた。
彼の怒りを表わすかのように稲光が瞬き
間髪を入れずガラガラと雷鳴が吠える嵐の夜だった。
「これなら、いくらわめいても誰にも聞こえんぞ」
そうつぶやいた健一郎は、またニヤリと笑った。

「あっ!くっ!ううっ!」
引き抜いたズボンのベルトで、冴を後ろ手に縛った健一郎が
両の乳房を鷲づかみにして彼女の肉体を責め始める。
痛みに変わる寸前の力加減でふくよかな半球を揉みしだき
尖った乳首の先端を指先で幾度も荒々しくめり込ませる。

 カーペットにしゃがんだユカはピンクの毛布をまとい
部屋の隅で壁にもたれたまま、ぼんやりとその光景を眺めていた。
「ほら、ユカが見てるぞ」
冴の耳元でそっとささやく健一郎。
「ああっ、いやぁっ」
メイドに痴態を見られ、冴は恥じた。
だが恥ずかしいのは見られているのが理由ではない。
自分もユカと同じ、健一郎に玩ばれている身だという事実を
彼女に知られるのが屈辱だからなのだった。

「ほら、いつものはどうした?」
首筋を舐め上げつつ、健一郎は恥辱のセリフを冴に強要した。
キーワードを決め、それを口にさせる事で
服従を確認するのは、彼の好むやり方である。

 さっきまで優位だったメイドの前で、その言葉を
言わねばならない苦悩に冴は恥じらった。
「おまえは屈服させられなければ、感じないんだろ?」
「あぁ・・・ゆるして、旦那様ぁ・・・」

 普段の強気な態度はどこにも見られなくなっていた。
人前なら、例え健一郎が相手でも強がる冴だが、それには理由がある。
健一郎はそんな冴の振る舞いを許していたのだ。

服従は、ベッドで確認すればいい。
人前とのギャップがあればあるほど
二人きりの時に、より屈辱を感じるのだから。
それが今までの冴に対する思惑なのだった。

「んふっ!・・・んんっ!んくぅっ!」
ねっとりとした口づけが、冴の心に甘い蜜をとろとろ流し込んでいった。
脳が麻薬に犯されていくようなキスの味わいに、冴の精神が溶け崩れていく。
昔のようにまた快楽を味わえる喜びに、全身がうずうずと反応していた。
理性では嫌がっていても、肉奥から湧き起こる衝動にはとうていかなわなかった。

「言ってごらん・・・楽になれるぞ」
そっとささやかれた誘惑に背筋がぞくぞくし、心が揺らぐ。
健一郎の与えたキスのせいで、冴の心と口元はすっかり緩んでしまっていた。
そして、理性の隙間から這い出た肉欲がその言葉を口にさせた。

「あたしはただの・・・・・すけべな女です」
ユカに見られないように窓の側へ顔をそらし
冴は擦り込まれたセリフで自身を虐げた。
どこか悲しい開放感を心に感じる。
「よし、よくできたな」
「ありがとう・・・・ございます、旦那様・・・」
感謝の言葉も健一郎に数え切れないほど言ったものだった。

「じゃ、いくぞ」
 服従を確認した健一郎が、冴へのいたぶりを始めた。
うつ伏せにした彼女の腰をぎゅっとシーツに押し付け、尻の狭間に肉棒をあてがう。
そして、彼はじっくり時間をかけた挿入で徹底的に冴の肉欲を焦らしていった。

「動くなよ。動いたらすぐにやめるからな」
そう忠告した健一郎は、冴の腰をしっかりと掴んだまま
ナメクジが這うような遅さで彼女のとば口から先端をじわじわ埋め入れる。
突き当たりまで来るとまたゆるゆると引き抜いていき、それを何度も繰り返す。

「ぁあっ、はぁっ!・・・・お願い。お願い、ねぇっ!
 も、もっと速くぅ!・・・・・・んっ!んふぅっ!んんんんっ!!」
むず痒いような焦れったさに、冴の尻が勝手に蠢き、わなないていた。
だが冴の腰は、健一郎の両腕でがっしりとベッドに押さえつけられ
快楽を得るためにできる動きと言えば、膣肉で彼を締めつけるぐらいだった。
びくびくと痙攣する淫洞の蠢きを楽しみながら、健一郎は冴をじっくり犯し続ける。
「あんん!イくっ!イくぅっ!」
10分近く、そのじわじわ埋め込む注挿が繰り返された頃。
ねっとりした鈍い悦楽に我慢ができず、冴は軽いオーガズムに達してしまった。

望んでいた高みがおさまり、額に汗を浮かべる冴。
放心する彼女を眺め、健一郎はニヤリと笑った。
「どうだ?満足したか?」
「はぁ、はぁ、あ・・・・・・まだぜんぜん、足りないです・・・」
「やれやれ、スケベな奴だ」
「だって、旦那様が・・・・」
「ん?俺のせいにするのか?そんな奴は・・・」
絶頂後の休む間も与えず、健一郎は再び肉棒を引き抜くと
また、蜜肉への圧入を始める。

「あっ!まって!あふっ!まだ体が!はクゥっ!」
「イったばかりだから感じ過ぎるんだろ?
 何回かイってからが好きじゃなかったのか?」
「お願い!ちょっ!休ませ・・・・あぅんん!」
「いくらでもイける体にしたはずだが、しばらくしてない内に鈍ったようだな」

エクスタシーを迎えたばかりの肉体にとって
ぬるぬると侵入される圧迫感は強すぎるものであった。
「はぅぅっ!・・・・んっ!・・・・・あぁっ・・・・」
責めを休めず健一郎はスローモーションの注挿を続ける。
「あっ!やっ、また・・・・・あああっ!」

二度目の絶頂は、十数回程度の埋没を繰り返した後だった。
「はぅぅっ!ま、またっ!・・・・どうしてぇ!?ああっ!」
次の絶頂が更に早く訪れる。焦れったくてたまらないはずなのに
冴は立て続けに軽いオーガズムへと昇りつめていった。
「ああぅ!だめぇ!また!またイっちゃうぅ!」
「ほら、入れるぞ。また入れるぞ、ゆっくり入っていくぞ」
「やっやぁっ!もう勘弁してぇ!・・・・あっイクッ!あぁあっ!」
健一郎の焦らしが、彼女の精神と性感をじっくり溶かし、崩れさせていく。
「はあぁんっ!どんどん良くなって!すごぃ・・・・ああっ!」
焦らされれば焦らされるほど、少ない快楽をより強く感じようと
冴の膣感は鋭くなっていった。

 普通、膣内での性感は意外と低く、肉体的な快楽だけなら
クリトリスを責めたほうがよっぽど効果がある。
が、本当のオルガスムスとは、精神的な部分がかなりの大半を占めているのである。
 焦らしの効果により、健一郎の剛棒が何倍にも膨れ上がったような錯覚を冴は感じ
秘裂を刺し貫く一物に内臓やのどをえぐられ、脳奥にまで達した亀頭に
頭蓋を犯されているような淫苦の妄想に身悶えた。

「駄目ぇっ!お願い、もぉ入れないでぇ・・・あっ!ああっまたっ!」
絶頂感が回を繰り返すたび、狂おしいほど強くなっていく。
達するまでの間隔も、ますます短くなっていき
しまいに冴の体は健一郎のペニスがじわじわ侵入する一回ごとに
イくようになってしまっていた。

「抜いてるぞ、わかるだろ?抜くのがやだって、お前のがからみついてくるぞ」
「あくっ・・・ううっ・・・・・・・んふぅっ!」
「じゃ、また入れるぞ・・・・ほら、どんどん入る。どんどん中に入っていく・・・」
「あっ、あああっーーーーっ!イっちゃうぅー!またイっちゃぅうーー!」
奥までずぷずぷと埋め込まれて極みに達し、カリを引っかけながら抜かれていく。
また、のろのろ挿入されて今味わった以上の絶頂を迎える。
「たっぷりイっていいんだぞ。今までしてなかったぶん、イかせまくってやるからな」
肉洞のひくつきをじっくり味わいながら、健一郎は冴の奥を幾度もえぐり続けた。

 すっかり壊れてしまった冴が、喜びの表情で何度もイく。
理性も、羞恥も、自尊心さえも捨て去ったまま
終わり無く打ち寄せるオーガズムの荒波に冴は溺れていった。
「いいのっ!お○んこがいいのっ!あっ、またイくぅ!イく!イく!イくぅーーー!」

          ◆

「さてと『おしおき』はもういいだろう」
満足げにそうつぶやいた健一郎。その脇で、ベルトの戒めを解かれ
ぐったりした冴が静まりかけた息をはぁはぁ言わせていた。
「ユカ、こっちへ来るんだ」
「え?・・・あ、はい」

 ピンクの毛布にくるまり、二人の行為をぼんやり見つめていたユカが我に返った。
虚ろな意識だったのは、健一郎の情事を客観的に見るのが始めてだったせいで
過去の彼を覗いているような、主人と自分の行為を端から見ているような
不思議な感覚に浸っていたからなのだった。

「ユカ、お前の優しさを冴に教えてやってくれないか?」
ベッドのすぐ側、彼の元へと近づいたユカに、健一郎が頼む。
「・・・はい、わかりました」
少し考えたのち、主人が何を言いたいのか理解したメイドが微笑み、そっとうなずいた。

 ユカと冴。二人の立場がさっきまでと逆転する。
「あふっ・・・・・・んっ・・・・・ふぅっ」
ユカの細い指と柔らかい唇が、冴の肌を舞台にして踊る。
優しく、あくまでも優しい感触で彼女の心を包むように奉仕する。
「はんっ・・・・あ・・・・はぁっ」
気持ち良い、と冴は素直に思った。こんなに安らぐ愛撫は初めてだった。
 背筋に優しく口づけされ、下腹を開いた手のひらで触れられる。
きゅっと抱かれたかと思うと、半開きの唇へくすぐるように
ソフトなキスが与えられ、頭の後ろをゆっくり撫で降ろされる。
ユカの愛撫が甘く優しく冴の心をとろかせていく。

 思えば、冴の性行為はいつも片方が相手を
一方的に責め立てるものしか知らなかった。
強い快楽で支配し、翻弄させることが彼女にとってのセックスだった。
 だが、今ユカから受けているものは、まるで様子が違った。
セックスというよりスキンシップという方が正しいのかもしれない。
母親が赤ん坊を慈しむような、そんな安らぎを冴は肌に感じていた。
「ふぅぅっ・・・・・んふ・・・」

「ユカ、そろそろ俺もいくぞ」
 しばらく二人の様子を満足そうに眺めていた健一郎が彼女達に加わる。
後ろから抱きついてきた健一郎に冴が気づき、弱々しく叫びを上げた。
「あっ、やぁっ・・・お願い。あたしもう・・・」
「大丈夫だ、そんなに強くしない。愛してやるよ」

『愛してやる』
健一郎から初めて聞く言葉に、冴はドキリとした。
今まで彼の口から一度も聞いた事の無い、自分へ与えられる「愛」という言葉。
ユカの愛撫と夫の優しさに、冴は今までとは違う何かが始まりそうな予感がし
すっと抵抗を弱め大人しくなった。

 健一郎とユカ。二人の唇が冴の背と腹をついばみ、口づけする。
それに加え、四つの手のひらとその指先が感度の良い肌を撫で回していた。
肉体を焼くような強い快楽ではなく、とろ火で暖められているような安心感。

高価な乳液により、整えられたきめの細かい肌は昔から敏感で
自分で乳液をつける時や、体を洗う時の指が滑る感触が冴は好きだった。
それを思うと昔から淫乱な素質はあったのかもしれない。
ただ、強い理性がそれ以上先へ進ませなかっただけなのだ。

「あ・・・・・んふ・・・・・あふっ!」
不意に背筋を舐め上げた健一郎の舌に、冴が過敏に反応した。
少し遅れてユカが彼女の乳首をそっと吸う。
 互いの意志を通じ合わせるように主人とメイドが手を握り合い
もう片方の手で冴を愛撫しながらその舌先を降ろしていった。
彼女の唇が可愛らしいへそから下腹部へ、彼の唇が背筋からふくよかなヒップの狭間へ。
そして、淫蜜の溢れる源泉にたどり着いた二つの舌先が
粘り気のある露をすすり始める。
「あっ!あはあっ!あうぅぅん!」

健一郎がアヌスと会陰を舌でくすぐり、ユカは脹らみきったクリトリスへ吸いつく。
前後同時の舌技に加え、二人の指が絡み合い、冴の秘裂へ差し入れられる。
二つのひとさし指はそれぞれ別の動きをさせながら
指先で慈しむように膣肉への愛撫を与えていった。
「あっ!ああっ!いいっ!すごくいいのっ!」
激しいはずの快楽だったが、どこか優しいものを冴は感じていた。

 そして二度目の挿入。屈辱感のない、ただただ甘美な奉仕を冴は味わい続けた。
寝そべる健一郎へ馬乗りになった彼女の正面からユカが寄り添い
揺れる乳房に小ぶりの胸を合わせ、両の乳首で奉仕する。
「あっあっ!もっと!もっとぉ!」

体位を変え、ユカが下になって冴と抱き合い、口づけ合う。
絡み合う女同士の下半身に健一郎が肉棒を割り込ませ
二人分の蜜でよく潤った男性自身を上下に並ぶ肉道へ交互に抜いては差し入れる。
「んんぅっ!んっ!くふ・・・」
「ほら、次はユカの番だ」
「きゃふっ!んっく・・・あっ、はぁん!んぐ・・・」
けして離れぬキスのせいで、ぬめる淫音とくぐもった喘ぎが部屋に響いていたが
全てはイナヅマの轟きにかき消され、その声は室内の三人以外に聞くものはいなかった。

 続いて、背面座位に繋がる冴の包皮を彼が剥き
露になった淫核をユカが舐めながら主人の袋を撫でさする。
「いいのっ!あふっ!お豆が、お豆がいいのぉっ!」
「んっ、なかなかいい具合だぞ、ユカ」
快楽という点のみなら、先に受けた『おしおき』の方が強かったが
優しく慈しむような性行為による喜びと幸せは、それ以上に心地よいものだった。

「ふぅぅっ・・・・・んっく・・・あんっ!」
「どうして泣くんだい?」
向かい合った座位の姿勢になった冴へ健一郎が問い掛けた。
彼女の瞳は涙が滲み、こぼれそうなほど潤んでいた。
「んぅっ!だって、手を・・・」
「手?ああ、そういえば握るのは初めてだな」

心を通わせるように指を絡ませ、健一郎は冴の手を握っていた。
思えば、健一郎が最中に手を握るのは、ユカとするようになってからだった。
「嬉しいのかい?」
「は、はい・・・嬉しいの、すごく・・・」
「そうか。じゃ、このまま続けるぞ」
「ん・・・」
 健一郎が深く繋がったまま腰で円を描いて冴の中をぢゅぷぢゅぷかき回し
冴がぎゅっと握り締めてくる彼の手を感じ、握り返しながら身悶える。
「ぁふぅ、奥様ぁ・・・」
喜びに震える彼女を包むように背後から奉仕をするユカ。
乳房を愛撫し、サクランボのように脹らんだピンクの先端をこねる彼女は
もう片方の手で結合部の上にある肉芽の突起をくすぐっていた。

荒れ狂う夜闇の嵐。激しい雷光も、稲妻の轟音も
ベッドの三人にとってはまるで無関心の事だった。

「うっ、くっ!冴、中に出すぞ。いいな?」
「あぁっ!はい!出して!中に出してぇ!」
抜く動作の無い、行き止まりにズンと響く突きと、かき混ぜを繰り返しながら
健一郎の動きが激しさを増していく。
「あっ!あっ!旦那様ぁ、あたしも!あたしもイくぅ!」
「御主人さまぁ、あたしも、もぅ!」
冴を挟んで主人との口づけを繰り返し、彼女のクリットを愛撫しながら
ユカが自愛の指を強めていった。
どこからともつかない、ぬちゅぬちゅという卑らしい音が
イナヅマにかき消されながら部屋中に響いていた。

「出すぞ、ぐっ!・・・くふっ!」
彼が手を握る力をぎゅっと強める。
そして、限界を超えた健一郎が冴の奥深くへ
白濁のスペルマをどくどくと注ぎ込む。
「あっあっあっ!イくっ!イクッ!ああっ〜〜〜〜〜!」
「奥様ぁ!あたしも!あっ!イっ、イくぅ!」
同時にユカが自分と冴、二つのクリットを押し潰しながら昇りつめる。
粘つく彼の体液を奥に感じた冴が、歓喜の絶頂感から
意識を真っ白にさせ、恍惚の表情を浮かべた。
「あぁ・・・・・」
溢れた涙がこぼれ落ちる。
彼と離れ、一人でしていた時にはけして味わえなかった満足感。
今まで健一郎から受けた陵辱では味わえなかった幸福の時。

クリットを刺激し、肉体だけで迎える上っ面なオルガスムスでなく
強烈な膣快楽に支配され、精神全てを官能の海に溺れさせるのでもない。
初めて『愛されている』という、甘い幸せを感じながらの絶頂を冴は堪能していた。

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