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賞を取る

世の中には様々な子ども向けの賞が用意されています。我が子の特性にあった賞に応募してみてはどうでしょう。応募すること自体、子どもが達成感を得るためのとてもいい方法の一つです。もしうまく小さな賞でも受賞できれば大きな自信につながるに違いありません。

 上の息子が中学2年生のとき、休暇を利用して香港・広州に連れて行ったことがありました。以前、私が教育委員会に勤務していたときに中国との交流を担当していたことがあり、その頃の(中国人の)友人に会いに行ったのです。私たちに同行してくれたのは学生時代からの友人である、現外務省中国・モンゴル課長(2010年8月現在)の垂秀夫氏とその息子さんでした。現地では、私と垂さんが行動をともにし、子どもたちは子どもたちで別行動をとりました。これは大変刺激的な経験だったようです。

 その後、当時私が勤務していた高校が、台湾との交流を始めることになり、教頭である私がその下準備の中心を果たすことになりました。この仕事を通して、私自身が中国と台湾の共通点と相違点を強く感じることとなり、そのことを子どもたちに話して聞かせました。

 やがて産経新聞社が主催する「日台交流青少年スカラシップ」という企画で、作文・絵画・書道・マンガを広く募集していることを知りました。この企画は、、日本と台湾の青少年の文化交流促進を目指すもので、ちょうど息子にとって当時あれこれ考えていたことにマッチしていたのです。作文部門に応募したところ、「奨励賞」を受賞することができ、そのことがやがて本人の進路選択や大学入試に大きくプラスになっていきました。

 

 このような子ども向けの賞は、新聞、ポスター、学校の掲示物などで数多く紹介されています。その内容も、作文、絵画、書道、マンガ以外にも、写真、理科研究、工芸品、デジタル作品等、多岐にわたります。一人一人が得意とする分野において、学校以外の基準で自分の作品を評価されてみることを、どの子どもさんにもお勧めします。

  

 

(参考)

 

第4回日台交流青少年スカラシップ 奨励賞

 

父が感じた台湾と私が知りたい台湾

 

桃山学院高等学校 1年 谷井孝輔

 

 若い頃から中国大陸への出張や旅行をくり返してきた父が、昨年の10月に初めて台湾を訪れた。「大陸と台湾はずいぶん違う」と帰ってきた父は言う。二年前、父は私を香港と広州に連れていってくれた。私の中に中国大陸とはおよそこういうところである、という小さな基準が存在している。私は、台湾のどこが大陸と違うのか父に尋ねた。

 「台湾人は人情が厚い」と父は言う。3日間の出張期間、行動を共にした交渉相手先の台湾人がすっかり父と意気投合し、仕事が円滑に進行するようまわりの台湾人に熱意をもって働きかけてくれた。その結果、まわりの人たちもまた熱意をもってくれるようになった。熱い心の連鎖がとても新鮮だったというのだ。
 「台北の街は優しい」と父は言う。夕食の後、市内各地にある大小の夜市に出かけると、家族連れもいるしカップルもいる。彼らは、深夜になっても楽しそうに食事をしたり買い物をしたりしている。治安の悪さをまったく感じない。それどころか道に迷うと必ず声をかけられ親切に道を教えられる。台北は、肩の力を抜いて過ごしていける街だったというのだ。
 「台湾の料理は親しみやすい」と父は言う。台湾料理のレストランでは、家庭的な料理が多く出されるそうだ。「花枝丸」(イカ団子)、「潤餅」(台湾風春巻)、「炸_ 捲」(カキフライ)、「菜埔蛋」(干し大根の玉子焼き)、「小魚花生」(ピーナッツとじゃこの炒め物)と、父のメモにある料理は確かにおふくろの料理のようだ。ダイエットに気を配っている父がついつい食べ過ぎ
てしまう料理だったというのだ。
 「台湾は自然が豊かだ」と父は言う。台北近郊には情緒豊かな温泉地がたくさんある。台湾中部には険しい山と美しい湖がある。台湾東部の沿岸は黒潮で日本とつながっている。今回訪れることがなかった台湾南部にも「また訪れてみたい」と子どものように話す父から、台湾の自然環境が過ごしやすいものだったことが伝わってきた。
 そして父は日本と台湾の深い関わりや歴史について話してくれた。
 近い将来、私も台湾を訪れてみたいと思う。人情に厚い台湾人の友人を得ることができたら、私たちはどんな風に心を通じ合うことになるのだろう。台北の街の優しい空気を感じることができたら、私もじっくりと夜市を歩いてみたい。親しみやすいという台湾料理も自分で味わいたい、豊かな台湾の自然も自分で確認したい。そして、父の行ったことのない地域も訪れてみたい。
 父に話を聞いた後、インターネットのweb サイトを使って台湾に関する様々な情報に目を通してみた。「台湾は親日的な地域である」とほとんどの資料に書かれている。私はそのことを心から嬉しく感じた。しかし、「日本の植民地だったことが良かったのだ。だから親日感情が豊かなのだ」という意見には私は賛成できなかった。植民地となった国の人たちが、植民地にされたことそのものを歓迎するはずがないではないかと素朴に思えたのだ。ではなぜ、多くの台湾の人たちは親日感情を今も持ってくれているのだろう。それは、他民族に治められたことを歓迎しているわけではないが、ヨーロッパ人の支配より、中国内戦の影響を受けた時代より、日本の統治の方が良かったと、比較の上で感じてくれているからかもしれないと私には思えた。
 台湾に対して抱き始めた私のそんな考えを、いつか同世代の台湾の若者に質問してみたい。「日本に対する親しい思いをみなさんも持ってくれていますか」、「日本と台湾の過去の深いかかわりをみなさんはどう感じていますか」と訊いたら何という答えが返ってくるだろう。また、日本の高校生活のことを彼らに伝えたいし、台湾の若者たちが何を考え、どんな日常を送っているかも訊いてみたい。どんなファッションや音楽が好きか、そしてこれから私たちはどんな風に仲良くやっていけるのかを。
 同世代の台湾の若者と思う存分語り合いたいものだ。それはどんなに有意義で楽しいだろう。私はこの思いをいつか実現させたいと思っている。