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勉強・習い事をする

 芸は身を助けます。自分の好きな道を究めることも達成感と自信を得ることにつながります。 一方、勉強についてはなかなかひと言では言えません。予備校、塾、家庭教師、万人向けの特効薬はありません。本人の意思を尊重しながら、本人に合ったサポートが必要です。

 

 我が家ではあまりお金のかかる習い事をさせる余裕はありませんでしたが、自分の好きな習い事、将来どうしても必要になることは、何とか学ばせてやりたいと思ってきました。

 習字は、二人の息子の両方にやらせてみた数少ない習い事でした。ところが上の息子は、左利きなのに右で書くよう指導されたこともあってか、すぐに嫌気がさしてしまい、数ヶ月でやめてしまいました。下の息子はねばり強い性分に合ったのか、2年生から小学校卒業まで続けることができました。先生の熱心な指導もあって、硬筆九段・毛筆八段まで上達しました。派手な特技ではありませんが、本人にとっては自信になっていることと思います。

 本人の嗜好にあった習い事を長く続けることができれば、どの子どもさんにとっても大きな財産になっていくにちがいありません。

 

 さて、親にとっても子どもにとっても、最も心配なのが勉強(学校の成績)です。私は大阪府立高校の化学の先生になって以来、進学校である天王寺高校で10年、岸和田高校で5年勤務した経験がありますので、大学入試のことはよくわかっているつもりです。また、教育委員会の指導主事を3年務めたこと、昨年まで勤務していた住吉高校、現在勤務している四條畷高校では教頭として高校入試業務の中心となっていることもあり、高校入試についてもよく理解していると思います。

 私自身は他人からものを教わるより、我流で何でもこなしていくことが好きな人間でしたので、子どもの頃から塾・予備校に通ったことはありません。でも、自分自身が高校入試と大学入試に挑戦した時のプレッシャーは、今でも昨日のことのように覚えています。けっして簡単に乗り切れるものではありませんでした。

 勉強について、一般論として次のようなことが言えると思います。

 

 もし家庭の状況が許せば、中学校では塾に行った方がいいように思います。

 公立学校の職員として、こう書くのは少し抵抗があります。また、自分自身のことを振り返って、塾に行かなくても何とかなると言い切りたい気持ちもあるのです。でも私の場合は、たまたま中学・高校で教科指導の上手な先生に恵まれたこと、既に受験を経験した兄が助けてくれたこと、自分と同じレベルで勉強のことを相談し会える友人がいたことなど、幸運な要素が強かったことは否定できません。現実問題として、塾に行った方が、必要なノウハウを効率的に身につけることができ、高校入試を乗り切りやすいと思います。ただ、これは塾を中心にして学校をおろそかにしていいということではありません。そういう過ごし方をした子どもは、慢心して高校入試そのもので失敗するか、高校入試には成功しても考え方のどこかを欠落してしまい、将来にわたって目の前のことだけを優先させて、学校や仕事や家族をおろそかにしてしまう危険があると思います。

 さて、学校以外の教育力を利用する際、大手の塾がいいか、地元の塾がいいか、家庭教師がいいか・・・という質問をよく耳にします。私見ですが、現時点で勉強がよくわかっている子どもは大手の塾で切磋琢磨する方が効果的です。どこかにつまずきを感じている子どもは小規模な塾で丁寧な指導を受けることが得策です。家庭教師は・・・これはその先生の資質と、子どもとの相性によりますので全くコメントすることができません。

 

 もし進学校とよばれる公立高校に進学したとしたら、当面は予備校に行くべきではありません。

 高校の学習内容は膨大です。特に、英語と数学は予習と復習が日々必要です。進学校が要求する家庭学習の習慣をまず確立させなければなりません。予備校で、学校と別の内容や観点を身につける余裕は当初は全くないはずです。

 問題なのは高校生活の後半(あるいは3年になってから)です。高校での学習習慣も身につけたあと、いよいよ大学入試を目指す受験生活に入ったとき(それは部活などを引退する時期と重なります)、負担のない範囲で予備校を利用することは一つの選択肢です。具体的には、数学か英語のどちらかを、あるいは物理や化学を含めてせいぜい2教科までを予備校で受講するのです(3教科以上は消化不良になることが目に見えています)。予備校を利用することの利点は、全国の情報が手に入ること、他校の秀才たちから刺激を受けること、自習室を夜遅くまで利用できることなどがあります。その点私立高校は予備校機能を学内にもっていることが多いようです。

 勉強の中身そのものは、予備校を利用するにしても、自力でやりくりするにしても、本人が目一杯の努力をするしかありません。苦しい受験勉強を越えて幅広い教養を身につけた大学生になれば、やがて社会に貢献できる大人になってくれるものと思います。