葉月

前略、呑兵衛様、喰兵衛様。
先日、やきとり屋へ行った時の話ですが……。
私の店は肉物があまりないので夜中に急にウーン腹へった、やきとり喰いてえーなんて事を、
たびたび、うちの嫁さんと話しまして、朝まで営業してる元住の店へさっさとシャッター閉めていってしまいました。
生ビールを注文して、やきとりを頼み、店内を見回しますと、
「地酒各種有ります。」
全国の地酒の紙が貼ってありました。生ビールを飲みほし、新潟の大吟醸をたのみました。
そこまでは、少なからずとも、仕事の後の幸福のひとときだったのですが、
酒を一口飲む、んっ…
今度は口に含み、ジュルジュル、だめだ、苦い、こわれてる。
一升びんの封を開けたものは冷蔵庫に入っているのですが、
その他の酒はずらりとカウンターの上に並んで置いてあるのです。
今は夏です。
クーラーが入っているときはいいかもしれないけど、店が終わり閉めきった店の温度はどうなっているでしょう。
並んだ酒を見ながら、まるで墓場の塔婆を眺めている気持ちになりました。
店の人に文句も言わず、その店を出ましたが、何だかやり切れない気持ちになりました。
蔵の人達が一生懸命作った酒、その中でも、精魂込めて作ったであろう大吟醸。
悔しい気にも、なります。
昔は他所の店は、どうでもよかったのですが、自分で店を始めて、酒と正面から向かい合って二年、
酒蔵の人達やラベルの向こう側が少し見えてきた今、
美味い酒を、お客様に喰んでもらう最低限のことも守れない店に、なぜ酒はこうも簡単に流れてしまうのか?
今回、私かなり怒ってます。
何とかならないのかヨオー、バッカヤロー。
(海山便りNo.15より)


海鮮山鮮メニュー

これは、8月8日のメニュー
かますはたたきで、真子鰈は薄造りでいただく。
小柱かき揚は三つ葉のいい香り。
南瓜豆腐はなぜか涼しく感じる一品。
吟醸酒と合わせて涼をとる。


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水無月
皐月
卯月
弥生
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